享年三十八、五十一



選ばれて在ることの
恍惚と不安とふたつ
われにあり

という
ヴェルレーヌの詩句を
太宰治が好んだ
という

太宰は
小説を書く人
どうも並外れて
それだけの才能しか
ない人
であった

選ばれて
小説を書く人で
在る
とすれば

何に
誰に
選ばれたのか



ヴェルレーヌのように
神に
であったなら

自らいのちを
絶つことは
なかったのでは
ないだろうか

太宰は
自分で
自分を
選んだ

のかもしれない
しかしその
果てない循環に
耐えうる人は
いるのだろうか

太宰治
本名津島修治
享年三十八歳

一方の
ヴェルレーヌ

愛する妻に
厭われて

幾人かの
大切な友を失い

母を見送って

貧苦と病苦の
どん底のなかで

亡くなった
という

ポール・マリー・ヴェルレーヌ
享年五十一歳。




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