第7回講義 ウォーミングアップとクールダウン
📚はじめに
2023年2月18日(土)19時より御茶ノ水センタービル301教室にて、今年度第7回目の講義が開催されました!今回はスポーツ医学塾事務局の相馬琢朗先生に「ウォーミングアップとクールダウン」というテーマでご講義いただきました!🏃対面とオンラインのハイブリット形式で、学生計13名が参加しました。
✅相馬先生のご紹介
柔道整復師、鍼灸師、AT(アスレティックトレーナー)の資格をお持ちで、これまでセーリング、アルティメット、高校のサッカー・バスケ部などでトレーナー活動をされてきました。
✅講義内容1⃣ ウォーミングアップ
ウォーミングアップの効果とは
運動によるケガの予防や、準備能力を最大に発揮することのために行う。
【生理的効果】
・筋温の上昇
・酸素供給量の増大
・関節可動域の拡大
・神経筋伝達の促通
・心拍数、呼吸数の上昇 など…
ウォーミングアップで何をするか
ウォーミングアップでは、競技種目に合わせた動作を取り入れるようにする。そのため、それぞれの競技の主要な動作を抽出して、必要な動作を考えることが重要となる。
相馬先生がトレーナーとして関わっていらっしゃる、アルティメットの試合・ウォーミングアップの動画を観ながら、どのように考えていくのかポイントや具体例についてお聞きした。
【💡動作の抽出のポイント】
・一連の動作のなかで1か所を切り取り、それをさらに細分化する
・細分化した動作に対するアプローチを考える
【💡メニューを考えるポイント】
・選手たち皆がやりやすい
・選手たちの流れや盛り上がりを止めない
・複数のパートで分けると、組み替えがしやすくなり時間調整もできる
[参考:メニューの具体例]
・体幹の伸展・回旋動作
・股関節の回旋動作
・スプリント
・アジリティ
・ジャンプ・ランジ など…
[参考:ウォーミングアップ一連の流れ例]
①:ジョギング
ジャンプ・ステップ
⇩
②:体幹・股関節のバリスティックストレッチエクササイズ
体幹トレーニング(徐々に難易度・負荷を上げていく)
⇩
③:ランニング動作
ダイナミックストレッチ
ジャンプ・ステップワーク
⇩
④:アジリティ・スプリントの向上
✅講義内容2⃣ クールダウン
クールダウンには2種類ある
・アクティブクールダウン:ジョギング
・パッシブクールダウン:アイシング・交代浴、マッサージ など…
クールダウンに効果はあるのか
クールダウンの効果として、心理的・生理的な回復、またパフォーマンスの低下を防ぎむしろ向上させるといったことが言われているが、明確に証明されている報告は少ない。
現在ある報告から、クールダウン(特にアクティブ)の身体への効果についてご紹介いただいた。
・代謝産物の除去能力
低強度~中強度のアクティブクールダウンは、
・心拍数の回復が早い
・のちの筋肉痛が少ない
・代謝産物が減少する といった効果がみられた。
ただし、クールダウンを行わなくても代謝産物は減少はする。クールダ
ウンを行った方がpHを安静時レベルに戻すのが早いということ。
・遅発性筋肉痛
低強度のアクティブクールダウンを行うと、リモデリングは加速して、
のちの筋肉痛が少ないという効果がみられた。(ただし、主観的な調査の
ため精神的要素の関連も考えられる)
また、アクティブクールダウンに含まれる、プールとジョギングにおい
て効果に有意差はないが、季節や体調などシーンを考えて実施する。
・柔軟性
運動後は組織の硬さが増大するとされているが、アクティブクールダウ
ンを行っても関節可動域の低下を抑制する効果はみられなかった。
・筋グリコーゲンの再合成
有酸素運動によって、筋グリコーゲンが筋細胞に取り込まれ、再合成が
行われる可能性がある。
・長期的な適応反応
嫌気性乳酸閾値(AT)の向上がみられた。
✅講義内容3⃣ レーティンワーク
レーティン(ルーティン)ワークは、よりよいパフォーマンスを生み出すための道筋を確認するもので、「ゲン担ぎ」とは異なるものである。
(参考:https://mainichi.doda.jp/article/2018/10/01/414.html)
練習や試合の前に毎回同じ動作をして自分の状況を確認することで、集中力の向上や自信を持つこと、そしてケガの予防にもつながる。そのため、1⃣のウォーミングアップの内容は大きく変えずに選手自身のの変化に気付かせるようにしている。
レーティンワークをつくる時には、目的を明確にしてマイナスとプラスの両面あることを理解する。
✅Q & A
Q:チームスポーツでよくみられる、”アップ時の声出し”に意味はあるのか?
A:試合前のメンタルは上がる人も落ちる人もいる。心理的な面で、チームの一体感やテンションを上げるには効果があるのではないか。
Q:ウォーミングアップをチームでレーティン化するとあったが、ストレッチなどを個人で行っている場合も。このようなときの対応は?
A:ウォーミングアップの中にフリータイムを設けて、チームでの時間と個々の時間とを分ける。相馬先生はレーティン化をおすすめしているが無理につくるということではない。
Q:試合と練習でウォーミングアップを変えているか?試合の方が気持ちを盛り上げる必要があると思うが、試合時の工夫点があれば知りたい。
A:基本的に試合でも練習でも内容は同じ。気が散るときには鬼ごっこなどのレクリエーションを取り入れて、集中力やアジリティの向上を促す。
📚最後に
今回は対面とオンラインのハイブリット形式であったため対面の参加は少人数でしたが、その分先生と近い距離で講義をお聞きすることができました。学生の皆さんにとって、自分の取り組んでいる活動やスポーツにすぐにでも活かせる興味深い内容となったのではないでしょうか?
相馬先生、15日に引き続きご講義いただきありがとうございました!
最後までご覧いただきありがとうございました。
文責:宮澤