VIVA TechとMBATとクラスメイトと新プロジェクト立ち上げ〜Term3振り返り(後編)〜
皆さんこんばんは!前回から約1ヶ月空けて、遅ればせながら今年のTerm3、つまり4月頭〜6月末について色々と振り返っていきたいと思います。前回はLuxury CertificateとVisitについて書きましたが、今回は結構幅広いです。
01 VIVA Tech
2024年5月22〜25日にかけて、フランス最大のイノベーションとスタートアップに特化したカンファレンス"VIVA Tech"に行ってきました。フランスのテック系イベントと言えばVIVA Techと誰しもが答えるレベルで有名なイベントです。ヨーロッパではVIVA Tech、Web Summit、SLUSHあたりが代表的なイノベーション・スタートアップカンファレンスかと思います。
マクロン大統領も2017年・2018年にVIVA TechにKeynote Speakerとして登壇して新しいスタートアップ政策をここで大胆に披露するなどしていたようです。この2年はイーロンマスクの登壇が続いており、過去にはMetaのマーク・ザッカーバーグやMSのサティア・ナデラも登壇しています。
主催者はフランスの大手広告代理店のPublicis Groupe(ピュビュリシスグループ)と、LVMH系列のメディア・新聞であるLes Échos(レゼコー)の2社です。ファウンディングパートナーとしてLVMH、Google、La Poste(郵便局)、BNP Paribas(銀行)、Orange(通信)がいます。
一般の参加者はチケットが€650(11万円)、アーリーバード(早割)で€350(約6万円)するのですが、学生は€50と良心的です。なんとHEC ParisがVIVA Techのパートナーであるため、HEC Parisの学生は全員無料で参加することができます。が、無料パスの連絡がギリギリまで来ないので、今回は独自ルートを使って普段お世話になっているSTART Paris 経由で無料招待パスをいただきました。
日本パビリオンの大きな存在感
VIVA Techは毎年Country of the Yearと呼ばれる1つの国を指定して集中的に政府関係者やスタートアップを大規模に招待しているのですが、なんと今年はCountry of the Yearが日本!ということで政府関係者・東京都庁関係者・スタートアップ関係者で非常に賑わっていました。
中でも驚いたのがPublicisとLes Échosの創業者2人の後にスピーチをしたのが経済産業副大臣兼内閣府副大臣の岩田さん、そして岸田首相によるビデオメッセージ、そして東京都副知事の宮坂さんによる講演で始まったのです。初日の冒頭挨拶が立て続けに日本であり、かつJapan Pavillionブースがとても広かったので、今年のVIVA Techでは相当目立っていたかと思います。ブースではGoodpatch時代にお世話になっていた宮坂さんや、7年ぶりに再開したeiiconの中村さん、今回LVMH Awardを受賞したHERALBONYの忍岡さんや小林さんなど多くの人にお会いすることができました。
印象的だったブース・トーク
今回のVIVA Techで個人的に特に印象的だったのは3つで、1つ目にLVMHのブース。日本のテックカンファレンスでLVMHが大きいブースを出して、ラグジュアリーブランドがこぞって展示している光景はなかなかないと思いますが、今回はLouis VuittonやDIOR、TiffanyやLOEWE、BULGARIやFENDI、RIMOWAやLoro Pianaなどグループを代表するブランドが様々なソリューションを展開していました。詳しくはこちら。
2つ目に印象に残っているのはリアルでLVMH会長のベルナールアルノーやイーロンマスクを見れたことです。イーロンマスクは思った以上にバランス感覚のある人なんだなと感じるトークをしていて、例えばQ&A中にビジネス⚪︎ンサイダーの記者が意地悪な質問をすると、ここはVIVA Techだから参加者とインタラクションする場でありメディアは帰りな!と言い放ち速攻次の参加者の質問に切り替えていました。会場からは流石!と言わんばかりの歓声が起きていました。
他にもHECのクラスメイト(自分の次の代のアントレクラブのプレジデント)がQ&Aでイーロンマスクに質問してそのままXのオフィス訪問する展開になったのも面白かったです。にしてもSpace Xは本気でマルチプラネットの移住計画を進めているんだなあという本気度が伝わってきました。
3つ目に印象に残っているのはDAY2でHEC Innovation&Entrepreneurship Institute(Incubator HEC)が枠をもらってピッチステージで学生起業家がピッチをしていたことです。あのVIVA Techのプログラムの中でHEC Parisという教育機関の1組織が枠をもらってピッチするって日本のシステムと比べて非常に面白いなと感じました。さすが11社のフレンチユニコーン企業の創業者を生み出しているだけあります。
メインイベントだけでなくSTART Paris主催のサイドイベントと、LINAGORA主催のサイドイベントにも参加してきました。とにかく雰囲気がすごい。
02 MBAT(MBA対抗文化祭)
続いて、打って変わってビジネスとは無縁のイベント、MBA大運動会、その名もMBAトーナメントです。これは昔から続くHEC Paris MBAが主催する文化祭のようなものです。予算が約7000万円で全部で1500人の学生が集まりました。今年はLBSから200人、Oxfordから200人、IEからも200人という大所帯もあれば、CambridgeやINSEADなど常連校からもたくさん来ていました。
このMBATは主催するHECの学生がリーダーシップを実践的に発揮する場という目的と、MBA学校間の交流を促すという目的があるようです。運動会だけでなくMBAスクール対抗のファッションショー、ダンスコンペティション、バンドコンペティションもあり、最終日はStationF併設のイタリアンを貸し切った大規模なパーティーもありました。
メインは普通の運動会なので50種目を超える競技があり、みんなめちゃ真面目に練習してガチで競い合います。LBSなどは普通にオリンピック選手を送り込んでくるレベルで、昨年まではOxfordの優勝が続いていましたが今年はLBSが優勝、HECが2位でOxfordが3位という結果でした。なお自分は日本で7年バレーボールやってたので、ビーチバレーボールに出場してきました。
ファッションショーとダンスコンペはなんとHECが優勝したのですが、これはガチでレベルが高くとても感動しました。。HECのテーマが"美術絵画とファッション"でクリムトの絵のモデルをMBA内カップルが表現したときはざわつきました。
03 新プロジェクト"Asian Entrepreneurs in Europe"の始動
さて、打って変わって真面目な話です。今回、クラスメイトのLaura(ローラ)と一緒に"Asian Entrepreneurs in Europe"(AEE)と題して、アジア企業のフランス進出支援をするプロジェクトを立ち上げました!
まだ法人登記はしていないのでフリーランスベースになりますが、日本を含め多くのアジア企業がフランス進出のニーズがあったり、個人的にもこの前衛的なフランスのスタートアップエコシステムをもっと日本に知ってもらいたいと思いこの活動を始めました。まだできていませんがフランス企業のアジア・日本進出展開も支援したいと思っています。
今回、このプロジェクトに集中するため、サマーインターンを結果的に3つお断りすることになってしまいましたが後悔はしていません。このプロジェクトは短期ではなく長期の視点でライフプロジェクトとして続けていけると良いなと思っています。
一緒に立ち上げたクラスメイトのローラとは毎週打ち合わせをしていますが、彼女から学ぶことも多いです。彼女は台湾人で、中国語・英語・日本語・フランス語が話せるスーパー同級生で、スタートアップやアートギャラリー、ジュエリーブランドなどで9年働いておりマーケティングが専門のフリーランスとして20社を超えるアジア企業を支援した実績があります。一方で自分は日本の大企業・スタートアップで働いてきたので経験が全く異なります。
MBA中に得られるものの1つに人的財産があると思いますが、このローラとの出会いや今でも連絡を取り合う学び合える同級生との出会いは一生物だと感じています。
AEEは進出支援にあたり、現地の市場リサーチを通じたエントリー戦略の立案やパートナー探し、営業戦略の策定やマーケティング戦略の策定を主な支援内容としています。パリにいるからこそできることや、HECのネットワークを活用してできることをどんどんやっていきたいと思っています。色々と商談中ではありますが、案件絶賛募集中ですので、フランスに進出検討したい企業やアジアに進出したいヨーロッパの企業の皆さま、ぜひお気軽にご相談ください。紹介も待っています!
04 Alumni Mixer at HEC Le ChateauとAlumni General Meeting
さて次はアントレクラブの方に戻りますが、Presidentを務めたEntrepreneurship ClubとProduct Management Club、Marketing Clubの3つ共催でHECのシャトーにて卒業生を集めたイベントを主催してきました。テーマは「起業家・プロダクトマネジメント」で、その領域で活躍している卒業生に声をかけて登壇してもらいました。
今回はHEC MBAのイベントチームとコラボしてキャンパス内にあるシャトーで開催できることになりました。キャンパス内にこんな素敵なシャトーがあってイベントや交流会できるって本当にいいなと思います。まあキャンパス内での移動は徒歩15分かかるんですが。笑
実は今回のイベントがプレジデントの任期としては最後でした。企画運営を一緒にやったPM ClubのShreya、Marketing ClubのAmnaとLaura、そしてモデレーターを務めてくれたアントレクラブのNishkaとRogerに大感謝です。
HEC Alumni General Meeting@イルドフランス商工会議所
Alumniで思い出しましたが、つい先日、HECが年に一度開くAlumni General Meetingに参加してきました。場所はナポレオンが1803年に作ったイルドフランス商工会議所です。ナポレオンだけあってとっても豪華絢爛でした。。
今の商工会議所のトップもHECのEMBAを出ている方で、HECの歴史を辿ると実質的に親会社が商工会議所になるんです。なので毎年の開催地も固定でここになっているという背景ですね。議題もしっかりしており、事前投票もあり、Alumni幹事長の交代式やHECのDeanを含めたパネルセッションもあり非常に面白かったです。
一番驚いたのはHECのAlumniが140年続いてることと、ロレアルの会長であるジャンポールアゴンさんが普通にスピーチで出てきたことですね。HECのBoard of Directorを務めているので毎回話をしているようです。HECの卒業式はKeringの会長だし、AlumniはL'Oréalの会長だし、すごいですね。次は翻訳機なしでフランス語で聴けるようになりたい、、そして140年続くAlumniってなんなんですかね。学校設立の翌年から始まったようです。Alumniの運営という側面で多くの学びのある会でした。
05 Outdoor Leadership Seminar
4/10にHEC Paris MBAの目玉授業の1つ、アウトドアリーダーシップセミナーがありました。これは伝統的なリーダーシップを学ぶ授業で、フランスの退役軍人による組織"SYFCO"が主体となって、ガチで湖渡ったり、ロープで屋上のビルから降りたり、森に入ってミッションクリアしたり、マラソンしたり、クライシスマネジメントを学んだりしました。
毎回お題があって、例えば「XXを使ってXXにチーム全員で辿り着いてください」とか「XX時までにXXをしてXXしてください」とか、ネタバレしないように言いませんが、グループワークが毎回あります。で毎回リーダーが誰かしらに任命されてリーダーシップを発揮し、終わったら講師からフィードバックがありどんどんレベルが上がっていくみたいな授業です。自分は一番最初にリーダーに任命されて無事にタスククリアすることができました。7:00-19:00が2日間で体力的にも完全に限界でした。。
06 Station Fでのサマーインターンマッチングイベント
そろそろ読むの疲れてきたと思うのでここからはサクッと行きます。
まずStationFにてサマーインターンマッチングイベントを主催してきました。
これは夏のサマーインターンを探しているHECのMBA学生(S23)と、そういったMBAインターンを採用したいStationFのスタートアップをSpeed Datingさせよう!という試みです。クラスメイトのImanolと一緒に企画をしました。彼もスタートアップのアーリーステージからIPOを経験した数少ないスタートアップ仲間です。
今回はStationFに在籍しているIncubator HECに全面協力をしてもらい、StationFにて開催することができました。結果として25社と25人がその場でSpeed Datingをするという異様な光景を見ることができ、実際にそこからサマーインターンに繋がったケースが5人ほど出ました。自分は先ほど述べたAsian Entrepreneurs in Europeプロジェクトに専念するため、オファーは辞退させていただきました。主催したのに申し訳なかったですが、クラスメイトから嬉しい言葉をたくさんもらったのでやってよかったです。
07 Capstone Project 〜日本のスタートアップはフランスのスタートアップエコシステムから何を学べるか〜
学校系ラストです。HECの自分たちの代から始まったCapstoneという社会課題を解決するプロジェクトがあり、7月までの宿題として6,000-8,000文字の論文を提出するという宿題がありました。
自分は"How Japan can learn from French Startup Ecosystem?"と題し、日本がフランスのスタートアップエコシステムから学べることをテーマに執筆しました。フランス政府のMission French Techを読み解き、実際にLa French Tech Tokyoのボードメンバーの皆さんにインタビューもさせていただきました。
このテーマだけでnote3本は書けてしまうので今回は割愛しますが、日本政府・東京都がベンチマークしているだけあって、政府・民間ともに色々なエコシステムがあるんだなということがわかりました。ここに関してはまた別途書きたいと思います。
08 旅行・舞踏会・一時帰国
最後にプライベートです!自分は私費なのでこの円安により授業料が数百万円単位で跳ね上がってしまったり、家賃や生活費への円安の影響が厳しすぎて胃がキリキリする毎日なんですが、それでもパリにいると非常にリーズナブルに各地に旅行に行くことができます。
例えばナポレオンの居城であるフォンテーヌブローと、ゴッホの最後の生家とお墓のあるオーベルシュルオワーズは、なんとそれぞれ片道5ユーロです。5ユーロですよ?マックナゲット4ピース分と同じ値段です。笑
フォンテーヌブローはパリから電車で40分とめちゃめちゃ近いですし、オーベルシュルオワーズはゴッホが書いた絵の街そのままなんです。ところどころにゴッホの絵の看板が置いてあって、教会とか麦畑とかギシェ医師とか、本当にそのまんまなんです。
あとジヴェルニー(Giverny)というモネの家があり睡蓮を書いたところも電車で片道16ユーロ(2720円)で行けてしまいます。印象派美術館もありますし、ゴッホとモネのゆかりの地を巡るのは印象派が好きな方にはとてもおすすめです。
あとはバスでアムステルダム片道5,000円(セールだった)、ブリュッセルもそれくらいで行きました。他にもレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の城であるクロ・リュセ城でダヴィンチのお墓や美術館を見たり、フランス人に大人気のアンボワーズ城に行きました。全てパリから日帰りで行けてリーズナブルなのでとてもおすすめです。
あとは、身内が亡くなって弾丸で一瞬日本に帰りました。これはまあ保険が降りて帰国したんですが、日本ってつくづく良い国だなって思いました。一度離れて見ないと日本の良いところってわからないんですが、帰国して見たらどこも綺麗で何でも美味しくて意味がわからないほど安くてホスピタリティーもあり清潔で安心できる国。文化もあってコンテンツもあって、こんな国世界のどこにもないですよ。と言いつつパリはパリで第二の故郷としてとっても住みやすい街になりました。またどこかでまとめたいと思います。
パリオリンピックが始まる〜!🇫🇷
ということで!残すところTerm4と6ヶ月のインターンシップ期間のみです。Term4はアントレプレナーシップのSpecilizationを取ることが決まりました。バリュエーションなどVenture Financeから、優先株・SO、Creative Destruction Labとのコラボや、サーチファンドのレジェンドが講師を務めるなど今から非常に楽しみです。クラスサイズが25人ほどと小さいのでスタートアップ経験を活かしてしっかり発言してきたいと思います。
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!どうにか元気にやってます。来週からはパリオリンピックが開幕!ということで次回のパリオリンピック編で会いましょう👋
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