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「海と毒薬 / 遠藤周作」

友人が薦めてくれた「海と毒薬/遠藤周作」


1957年発行だけど今日たまたま本屋で見つけて、即買読了。


戦争末期、米軍捕虜への生体解剖に参加した医師や看護師のお話。


それぞれの解剖参加に至る動機や、罪の意識の不在の背景、

咎めることのできなかった良心、思考を停止させていく同調圧力・・。

戦時下の日本人の精神性に迫っています。



と言いながらも正直「日本人の精神性」という括りは、小説裏表紙のあらすじに書かれている下記の紹介文章、

著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追求する。
神なき日本人の”罪の意識”の不在の無気味さを描く

その先入観が強いだけで、この一冊を読んでそう括るのは早計な気がします。著者がクリスチャンで自身の中に信仰や原理が落とし込まれているだけに、書きたい内容はもちろん分かりますが・・著者の他作品も読んでみないとなんとも。



とはいえ終戦記念日の今日、読めてよかった一冊です。


善人が善人で居られない、

近くで生活をするあの人が人殺しになり得る、

病院で死ななくても空襲で死ぬから同じだ・・。


書ききれないくらい戦争の本質的な恐ろしさや、人間がいかに紙一重で裏腹な生き物かが、淡々と生々しく描かれています。


最後に自身が身を委ね、信じられるものはなんでしょうか。

読後、自問し続けています。


良心のままに、誰かを真っ直ぐ愛せる今日に感謝を・・。

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丸山純平
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