病院の薬はご祈祷されてるんじゃないか、と思う話。
体調がよろしくない。
がつんと悪いわけじゃなくて、ちょいと悪い。
病院に行くほどではないけど、伊勢丹のセールに出かけられるほど元気じゃないって感じ。
もちろん、そうじゃなくても、今年は行けないけど。
なんとなく、寒気がする。
ま、築40年の家だから、隙間風びゅうびゅうで、いつも寒いんだけど。
怖いのは、「これから熱上がるんじゃない?」という予感がする寒さ。
でも、何度、体温を測っても、36.2〜36.6くらい。
全然、上がらない。ありがたいっちゃ、ありがたい。
が、なんでしょねぇ。様子見ましょうかねぇ。
と、言ってるうちに三日過ぎた。
ダメだ。
病院へ行こう。
だって、怖い。
スーパー以外出かけてないけど、誰とも会ってないけど、全く思い当たることがなくても、感染していたら、どうしよう。
いつもお世話になっているクリニックに、予め電話を掛ける。熱は36.5度前後だと伝えると、普通に来ていいとのこと。
車も免許も持っていないので、歩いて向かう。
10分、普通に歩けた。
入り口で、カメラ付き体温計で体温を測る。
36.4℃。平熱。
受付で、体温計を受け取りもう一度、測ると、
35.6℃‼️
え?なんで入り口で測ったのと、こんなに違うの⁉️
しかも、笑っちゃうくらい低い。
冬眠中か?自分。
幸い患者さんは私しかいなくて、すぐに診察室に呼ばれた。馴染みの先生が、馴染みのない青い防護服にフェイスガード、プラス、マスクのいでたちで待っていた。
「どうしましたか?」
寒気がするのですが、熱は上がりません。これが、三日くらい続いています。
「会食に行ったり、マスクを着けない状態で15分以上誰かと会話しましたか?」
いいえ、全く。家族も家族以外、誰にも会っていません。
「では、心配はいらないと思いますよ」
と、先生は、ハナからコロナを疑う様子はない。
とはいえ、喉の腫れがないか確認した後、心音も丁寧に聞いてくださった。
「うん、胸のほうも大丈夫。風邪だと思いますよ。薬を出しておくので、これで治らなかったり、酷くなったら、帰国者相談センターに電話してね。うちはPCR検査していないので、検査してくれる所を教えてもらってください」
これで診察は終了。
うーん。
これでいいのか、自分。
寒気がする理由が、はっきりしないでは帰れなくね?
「先生、熱が上がらないのに、何故、寒気がするんですか?」
素朴な質問に面倒な顔をするのかと思いきや、先生は、目をキラキラ輝かせ、待ってました!とばかりに説明しだした。
「交換神経と副交感神経の切り替えが、うまくいっていないのだと思います。女性ホルモンのバランスが崩れたり、ストレスが溜まっていると、体温の調整もうまくいきません」
おお‼️
先生は、「女性ホルモン」とゆー箇所を、幾分遠慮がちに仰った。
大丈夫っす。だだ下がりっす。
さらに、毎日、ストレス、溜まってまっす。
処方箋をいただいて、クリニックをあとにした。
まだ薬を飲んでもいないのに、先生に大丈夫と言われただけで、もう治った気がするから不思議だ。
帰宅して、薬を飲むと嘘のように体調が良くなった。何故だろう。今日いただいた薬は、殆ど既に持っていた。既に飲んでみたが、何故か効き目がなかった。
姉にそれを説明すると、そうなんだよねぇ!と、やたら同感してきた。
「先生が出す薬は、ご祈祷されてるんじゃないか?って思うくらい効くよね」
確かに。
「これで治るからね」と、言われたら、飴ちゃんでさえ治ってしまう気がする。
こういうの何て言うんだっけ?
プラシーボ効果?
そう、プラシーボ。90年代に、イギリスにこんな名前のユニット、いたなあ。
「私、先生になんで寒気がするのか聞いたら、ちゃんと説明してくれたんだよ。ありがたいね」
と、姉に伝えると、
「私なんか、なんで鼻水が出るのか聞いたことあるよ。あの先生、そういう質問されるの好きみたい。ちゃんと説明してくれたよ」
昔、「電話こども相談室」という番組があった。なんで空は青いのですか?みたいな質問にも、先生は、こどもが分かるような言葉を上手に使い、説明するのだった。
で、答えてくれたのか?
「うん。身体に入ってきたウィルスと戦って、その死骸のようなものが、鼻水となって流れるのですと」
こども電話相談室の先生って、実は、あの先生だったりしてね。
患者はさ、納得したいんだよね。
確かなことは判明しなくても、今、あなたの身体の状態は、Aという状態で、多分原因はBとかCではないかと思われます。今はDという薬を飲んで様子を見ましょう。それで治らないようなら、次の手を考えるから、また来てくださいね。
そう、言われて、安心したいんだ。
「なんでもないから、帰っていいです」
と言われると、捨てられた気がするのだよ。
はい、めんどくせぇ患者で、すみませんっ。