![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159449361/rectangle_large_type_2_255d5cd84e768aba4cc10e158bc7ef1f.jpeg?width=1200)
自分もそこにいたみたいな気持ちになるんだよ
写真家の友達が写真集を出した。
それも、詩人・谷川俊太郎さんとのコラボだ。
もう、なんていうか、素晴らし過ぎて鼻血が出そう。
恐れ多くて、なかなか手に取ることが出来ずにいたら、一年も経ってしまった。
すまん、緑ちゃん。
友達の名前は、井上緑さん。
Midori S. Inoue.
アーティスト写真やCDのジャケ写なども撮り続けている写真家。
長いことニューヨークに住み、ニューヨーカーの素顔を撮影してきた。
Noterさんでもある。
![](https://assets.st-note.com/img/1729943059-QO9f8TGc6oNlztWP1MLvFqgU.jpg?width=1200)
ニューヨークには一度だけ行ったことがある。
ニューヨークには、私が入っても笑顔で指輪を買わせてくれたティファニーがあり、寒空にひとりきり炎を掲げる自由の女神がいて、何度首の角度を変えても追いつかないくらいの高層ビル群が、空へ空へと背筋を伸ばしていた。
みんな、競歩か?と思うくらい速足で歩き、スーツ姿がめちゃくちゃかっこいいビジネスマンがドバーッといた。
そんなスタイリッシュで、生存競争激しそうな街にずっと住んでいたなんて、それだけで尊敬する。
写真集のタイトルを言い忘れていた。
「記憶と空想」。
![](https://assets.st-note.com/img/1729944178-Yp3mH87RVvxCITGybW0eszJi.jpg)
前半が「記憶」。谷川俊太郎さんの詩が20編、寄せられている。
後半が「空想」。詩はつけられていない。何が語られているか見る者に委ねられている。
ニューヨークで撮影されたモノクロ写真のみ。
モノクロの写真は、ちょっとノスタルジックで、時に雄弁だ。見た瞬間、自分がその世界に入り込み、歓声や騒音が聞こえ、目には見えない言葉が聞こえてくる。言葉はどこまでも自由だ。
そんな魅力が沢山詰まった写真達に詩人谷川俊太郎さんが詞を書き下ろしてくださった。
シビレる。
しかも、谷川さんには、緑ちゃんが直談判して叶ったという。
なんて、勇気!
なんて、パワー!
ざわざわするじゃないかっ!
小さい声で言うが、いや、大きい声でもいいんだけど、私は谷川俊太郎さんの詩が大好きで、大変大変、尊敬しております。(うわ、なに?小学生みたいな書き方)
(特に「あさ」という、これまた写真とのコラボ作品集がシビレます。
幾度も読み返し、涙しております)
写真は、忍耐と瞬発力だ。
最高の瞬間を待てる才能、その瞬間が来たら躊躇せずシャッターを押せる勇気。
緑ちゃんは、このふたつをきっちり持ち合わせた写真家。
よくまあ、この瞬間に立ち会えたなあ!と思わせる写真を撮っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1729989584-FPJ9kS7DZCcTQL4Wdi8ueGHI.jpg?width=1200)
感謝祭で見かけたふたり。
何を見上げているんだろう。
緑ちゃん曰く「お爺さん、ピカソにそっくり!」
![](https://assets.st-note.com/img/1729944257-qU9O4WhVTzd1t8oKwkemYcPu.jpg?width=1200)
1994年のWoodstockでの一枚。
目の前での抱擁。パチリした緑ちゃんも凄い。
こちらも夏の日の一瞬の出来事。
![](https://assets.st-note.com/img/1729935580-OjHkdy5vDbWJlPreT4SfZUzV.jpg)
暑い夏の午後、少女達が消火栓を捻って(開いて)水遊びをしているところだそうだ。
消火栓って、勝手に開けていいの?って思ってしまうが、なんか羨ましい光景。古き良き時代のアメリカって感じ?(良く知らないけど。イメージで話してごめん)
周りには虹がキラキラ輝いていそうだ。
虹と言えば、緑ちゃんと私は虹を発見する才能がある。←勝手に思っている。
私が東京に住んでいた頃は、虹を見つけるたび、どちらともなく、
「虹が出てるよ!」
と、メールし合ったものだ。
なんだ、それ。笑
写真は全部で約50枚。
全ての人達が輝いて、活き活きしていて、人生を謳歌している。
写真なのに、動画を見ているような気持ちになるのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729948840-Z9TaXKfMnjYt2dBCP48LR0W7.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729948949-pmSfsxI4oe7Vdzl2vTb0cLOF.jpg)
コニーアイランドで見かけた少年。
影と遊ぶように、様々な棒切れを手に何度もこの通りを往復していたらしい。
面白いことによく出くわす人間と、そうじゃない人間がいる。大抵の人達は後者だろう。
面白いことによく出くわす人間は、絶対に選ばれている。神様か何かかに。
その面白いことを面白いと受け止め、それを上手に広げてくれる人間にしか面白いことは起きない。らしい。
緑ちゃんは、何かに選ばれたほうの人間なんだろう。数奇な瞬間を緑ちゃんに見せて、世界に広げて欲しいのだ、きっと。
![](https://assets.st-note.com/img/1729949495-XFxYlvkr8itzT9pjZUNQDc73.jpg?width=1200)
どういう状況なんだろう?
分からないけど、なんか可笑しい。
写真集「記憶と空想」には、写真以外にも素敵な「こだわり」に溢れている。
谷川俊太郎さんの詩に使われたフォントは「朝靄(あさもや)かな」というそうな(これって「あさもや仮名」だよね?「朝靄かな?」じゃないよね、、、って我ながらアホな疑問)
朝靄かなって聞いただけで、ニューヨークのひんやりした朝靄の中に立っているみたい。
装丁は、和紙の風合い。そう言えば、緑ちゃんの手焼きの写真には、和紙を用いた素敵なプリントが沢山あったっけ。
様々な理由で、谷川俊太郎さんの詩は載せられないし、緑ちゃんの写真の数も限られてしまうが、是非、緑ちゃんのアカウントを覗いてみて欲しい。
よければ、Amazonでポチッと、ね。