夢の絵本を作りました
絵本作り。私の子どもの頃からの夢のひとつでした。
noteで小説を読んでいたら、目から入る文字のお話が心に届き、文字が絵となり、心から頭の中に雲のようにポコポコふわふわと浮かんできました。「この頭の中の絵を紙に描いてみたい!」
そう思ったのがこの素敵な小説でした。
それから11日後、絵本ができあがりました。読んでみます。
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「今夜の絵本が決まったよ。
にゃんこ、一緒に読もうね。」
こちらをチラリと見た、丸くなって寝ているにゃんこの隣で、
私は絵本を開きました。
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「昨日の自分を撫でる夢」
1日の疲れがあなたの身体を重くします。
なにも、やる気が起きません。
ベッドに倒れ込みました。
うつ伏せで目を閉じ、
あなたは眠りにつきます。
今日あった嫌なことを
夢に見ないように願いながら。
あなたは、あなたに会いました。
夢の中です。
あなたはそれが
昨日の自分だと知っていました。
おぼつかない足どり。
こちらへ歩いてきます。
目もとにはひどいクマがありました。
疲れ果てているのがよく分かります。
あなたが見えていないような遠い目をして何かつぶやきました。
聞けば、喋る元気もない口から自分を責める言葉を吐いています。
あなたはあなたを抱きしめました。
子どもをなぐさめるように、
何度も何度も頭を撫でます。
朝。昨日の自分はもういません。
起き上がり支度をはじめます。
洗面所へ向かいました。
鏡を見てあなたは気づきます。
誰かにやさしく撫でられたかのように、
自分の髪にクセがついていることを。
・・・・・
「母ちゃん、だからいつも朝起きると
寝グセがすごいんだにゃあ。」
にゃんこが寝ぼけまなこで言いました。
「私の髪の毛はもともとクセっ毛だよ。」
私は笑いました。
「おやすみなさい。」「おにゃすみ。」
朝。閉じた絵本の裏表紙には
青空が広がっていました。
・・・・・
小牧幸助さんに「小説を絵に描いてみたいです。」とツイッターでお願いしてみました。「楽しみです。」とリプライをくださり絵本作りが始まりました。
小説を読んで、感じることや思い浮かべる絵や色はそれぞれ違うと思うけれど、私の頭の中に浮かんできた絵をそのまま描いてみました。
毎日ちょっとずつ白い紙が色付いていきます。ワクワクして、指先も色だらけになって、楽しい時間。いつもにゃんこがオイルパステルと絵本の間に座り、監督していました。
進行具合を毎日ツイートしていました。
いいね!がつくと飛び上がるほど嬉しいけれど、出来上がった絵本を見てどう思われるのかな?ガッカリされたら?と緊張する。でもいいじゃない。私も、いいね!してくださる人たちも、ちょびっとだけ楽しい時間を共有できるのなら、と思っていました。
絵本作り2日目。ペン描きしてから気づいた。
本の大きさと絵に対して、文字が大きい。余白が少なくて見辛い。20年間も出番を待っていた白い本はこの1冊しかない。半べそだ。とにかくやってみよう。
ほんの少しずつ絵本作りは進んでいく。家事の合間や、出掛けても絵本を考え、お昼ご飯を食べ忘れたりして、何度も色を重ねたり、直したり。
絵本作り6日目。楽しくて「おたのしみに!!」なんて書いちゃったけど、大丈夫なのかな?後で心配になる。
絵本作り8日目。色塗りしながら考えていた。こんなに集中して何かを作り続けるのって、いつ振りなんだろう?
夜遅く帰宅して、朝まで浴衣の着付けの練習をした時。老人ホームのおばあちゃんのファションショーの企画をして駆け回った時。
ハンドメイドでミシンをかけ続けた時は、目と、手術の後遺症の肩が痛くなって途中で止まってしまった。
今のポンコツになった私でも、挑戦しようと思えたのが嬉しい。完成するのかな?下手っぴで、素晴らしいカッコイイ絵本じゃないかもしれない。けれども、完成したらもっと嬉しい。きっとこれから生き続ける楽しみが増える。
そして絵本を見た人が、たったひとりでも楽しんでくださったら。まずは私が楽しかった!と思えたら。そんなことを考えながら作っていた。
絵本作り10日目。完成が近付く。
絵本作り11日目。最後に表紙と裏表紙をソフトパステルで塗り、描き上がった絵本の1ページずつにフィキサチーフ(定着剤)を丁寧に吹きかけていく。
世界にたった一冊の私の絵本が完成した。
未熟で、生まれたてのよちよち歩きな絵本。私にとっては大切な宝物のような絵本。
ツイートしようと写真を撮ると、涙が出た。
自分の苦しみや不甲斐なさに悲しくなった涙ではない。挑戦できて、自分の思いを込めて絵本を完成することができた嬉しい涙でした。
絵本作り、楽しかった!
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このnoteと絵本を読んでくださってありがとうございます。とても嬉しいです。
絵本作りのツイートを見てくださったみなさん、いいね!してくださったみなさん。制作の励みになりました。ありがとうございます。
挑戦するきっかけとなった、素敵な小説を書かれている小牧幸助さん。絵に描くことを了承してくださり、深く感謝しております。これからも1分ショートショート楽しみです!
いつか自分でお話も考えて絵本を作ってみたい。またマイペースに少しずつ挑戦して、私の中に「楽しい」と「幸せ」を作っていきたいと思います。
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読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。