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3月18日イベントUIUXCamp開催!次の時代に求められる「誰一人とりのこさない」デザインについてお話しします

こんにちは、ニジボックス執行役員の丸山潤です。
来る3月18日(土)、オンラインイベント「UIUX Camp!2023 やさしさでデザインする一人ひとりに理想的な世界」を開催することになりました。今回は、イベントを開催するにあたっての思いや開催に至った経緯などをお話ししたいと思います。

今回のテーマは「やさしさでデザインする 一人ひとりに理想的な世界」です。

そして、イベントの開催意図を以下のステートメント文にまとめました。

「デザイン」は私たちのくらしの発展によりそうように、その目的や意味するところが変化し続けています。
最初は不自由のない世界を、次は便利なものを誰もが使える世界を理想として、あらゆるものがデザインされました。
そして不便のないくらしや豊かさが一般的なものになると、より快適で特別な体験を求めるようになりました。
これからの時代、私たちは何を理想とするのでしょうか?
私たちは「一人ひとり、とりのこさない」ことが、これからのデザインの理想になると考えています。
多様な個性の理想的な体験がつながりあうことで、誰もとりのこされない世界が実現できるのではないでしょうか?

時代は、経験が価値となる「経験経済」から次の段階へ

1998年に発売された『経験経済』という本があります。この本は、「経験が価値となり、経済の中心となる」という内容の経済理論の本です。
2010年代からスマホが普及し、さまざまなエンターテインメント作品を見ることができる動画配信サービスも増え、いつでもどこでも簡単に多様なコンテンツに触れ、いろいろな経験がしやすくなったと感じている人も多いと思います。また、SNSによって薄いつながりではあるものの、人とのコミュニケーションも取りやすくなったのではないでしょうか。このような時代を、本では「経験経済」と言っています。
ここからだんだんと進歩していき、次は「変革経済」の段階へ移ると考えられています。「変革経済」では、描き出して演出することで価値を作り出していた段階から一歩進み、経験と知識を組み合わせて、消費者が自分で買いたいもの、なりたいものを決めて、そこへ導くことで価値を作り出すサービスが主流になるのではと予想されています。
千葉工業大学の安藤昌也先生が登壇される際によくお話しされていることなのですが、「変革経済」の時代に増えるであろうと言われているサービスは、CMで一時期よく見かけた肉体改造が目的のパーソナルトレーニングサービスを想像するとイメージしやすいとのことです。人は誰でも一人ひとりなりたいものや理想とする姿が異なり、その一人ひとりの理想とする姿に導いていくサービスが主流になっていくのでしょう。

※『経験経済』:https://amzn.asia/d/9fMI7DS
※安藤昌也先生が過去登壇されたイベント時の資料:


イベント開催の経緯や思い(今後求められるデザインとは)

私は、安藤昌也先生の考え方にとても共感していて、「変革経済」の時代になればなるほどデザインの重要性はより高まっていくと考えています。人によって時間の使い方、お金の在り方、食べ物のこだわりなど、考え方や生き方は全く異なります。その一人ひとり異なる考え方によりそい、導いてあげて解決していくようなことが必要なのではないかと思うのです。そうすることで誰一人とりのこすことのない社会になっていくだろうし、なっていくべきなのではないかと考えています。
今回ゲストの一人としてデンマーク政府が支援する非営利団体CEOの方をお呼びしていますが、デンマーク政府は「フォロワーが多い一部の人しか楽しめないような偏ったSNSサービスは良くない」という考えを持っているそうです。この考え方がとても面白いなと思ったのですが、やはり一部の人だけが喜ぶような偏った世界は、違うのかなと感じています。「変革経済」で主流となるようなサービスが増えることでもっと良い社会になっていき、デザインによって「誰一人とりのこさない」そんな社会が築かれてくのではないかと考えています。
イベントでは、メタバースについてのお話しもしていただく予定です。デバイスや導入のハードルといった課題は依然存在していますが、メタバースも「とりのこさない世界」の実現への可能性を秘めていると思います。ヴァーチャル空間でのコミュニケーションは、リアルでのそれと比較して、心身の健康や物理的な問題など、個人の置かれた状況による差異をのりこえやすくしてくれると思います。さまざまな理由からリアルで人と会うことができない人も仮想世界ではイキイキと過ごせる機会が増えるかもしれませんよね。
 
サービスをより一人ひとりに合わせたデザインで提供することで、多様な属性の個人を助け、価値を提供することができるのではないか?一人ひとりの体験が充足することで、より良い社会性を持ってつながりあえるのではないか?といった考えに至り、「やさしさでデザインする一人ひとりに理想的な世界」というテーマでイベントを行うことになったというわけです。
 
ここからは、イベント登壇者の方たちについてご紹介します。
 

「誰一人とりのこさない」デンマークにおけるデザイン

デンマーク政府が支援するデンマークデザインセンターのCEO・Christian Basonさん。デンマークデザインセンターでは「デジタル倫理コンパス」というツールを使って、そのサービスやプロダクトが一部の消費者のニーズだけに偏っていないかを俯瞰して見ることで、倫理的な観点でジャッジすることができるフレームワークを提唱しています。
ITは、生産性を上げるためにとても役立ってきました。SNSで人とつながることで、ビジネスネットワークが広がって、生産性も上がったという人もいると思います。しかし、SNSによって全ての人が幸せになったかと言うと、そうではないと思うのです。Christian Basonさんの登壇では、「誰一人とりのこさない」デンマークのデザインへの取り組み方に触れ、知見を広げことができると思います。

Googleに見る「インクルーシブデザイン」

GoogleのAnnieJean-Baptisteさん。AnnieJean-Baptisteさんには「インクルーシブデザイン」について登壇いただく予定です。「インクルーシブデザイン」とは、高齢者や障がいを持つ方、外国籍の方など、従来サービスやプロダクトのデザインをする上で除外されていた多様な人々をデザインに積極的に巻き込んでいく考え方です。
これまでは一部のターゲットに向けたサービスづくりやデザインがされてきましたが、特に日本では超高齢化社会へ向けて、この「インクルーシブデザイン」の考え方は大切になってくるのではないかと思っています。
個人的な話になりますが、先日、私の親がネット予約のみ受け付けている病院で予約を取ろうとしたのですが、目が悪いため自分では予約することができなかったんです。私たちくらいの世代であれば、なんとなくスマホを見て「こうやって予約するんだろうな」と分かると思うのですが、うちの親は日頃からITに親しんでいるわけでもありません。結局私が代わりに予約をしてあげました。
「DX」をITによる効率化だけの視野で実践してしまった結果、逆に不便に感じる人たちもいる。そういった人たちまで届くデザインをしていくことが、これからデザインを行う上で必要になってくるのではないかと思うのです。
この「インクルーシブデザイン」ついては、ニジボックスのブログでも過去に紹介していますので、よろしかったら参考にしてみてください。
 
※ニジボックスのブログ記事:

今後必要とされるデザインとイベント開催の意義

UX観点でお話しをすると、これからはより幅広い「人」の行動や特徴を見て、それらをデザインへと反映していかなければならないし、UXリサーチやデザインリサーチと言われているように、もっと「人」を見ていかなければならないのかなと考えています。「デザイン人類学」というものがありますが、これも「より人の側面を見てデザインしていきましょう」という考え方なのではないかと思うのです。
例えば一昔前までは、放送系メディアでエンターテインメントを楽しもうとする際には、生活する地域によって体験に差が生じていたように思います。しかし、今はインターネットを介してさまざまな配信サービスがあり、手頃な価格もしくは無料でエンターテインメントを享受できるようになりました。これによってドラマ好きな人が「うちの地域ではそのドラマが見られない」ということも少なくなりましたよね。
ブランドの服も、一昔前は都心に出かけないと手に入りませんでしたが、今はECサイトで簡単に買えるようになりました。このように首都圏でも地方でも、変わらない体験をできるようになってきているのかなと感じています。
そんな中で思うのは、地方でもこれまでより不便を感じず生活できるはずなのに、習慣的に首都圏でのくらしを選択し続けている人もいるのではないかということです。そういう人の中には「自分の人生や生き方をデザインしてほしい」と思っている人もいるのではないかなと考えるんですよね。今までのように頑張ってお金を稼がなくても、首都圏で暮らしていた時よりも時間に余裕ができて、幸せになる方法があるのかもしれないなと。
今回のイベントでは、そのような時代において、これから先に必要となるデザインの考え方や理想とされるデザインの在り方について、多様な領域で活躍されている方たちの、多角的な視点のお話しが聞ける機会です。ぜひ、多くの方に参加いただき、ビジネスや日本の未来を良いものにしていくヒントを見つけていただければと思います。そして、多様な個性の理想的な体験をつなげ、誰一人とりのこさない世界の実現に向けて共に歩んでいく同志となっていただければ幸いです。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。イベントの詳細、ゲストの詳細については、下記の特設ページをご覧ください。みなさんのご参加お待ちしています!


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