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競合調査を解説:調査手法と活用すべき最新リサーチ&AIツールまとめ

こんにちは、丸山潤です。サービスの立ち上げやビジネス戦略を考える際に、私は競合調査を自分で行うことがよくあります。今回は、一般的によく使われるSWOT分析や3C分析だけでなく、サービスをさらに深く掘り下げて分析する方法もご紹介します。また、最近注目されているAIツールについても、いくつかピックアップしてお伝えします。

競合調査とは?

ここでの競合調査とは、新規事業を立ち上げたり、商品やサービスを開発したりする際に、「どの企業が競合なのか」「自社は市場の中でどのポジションにいるのか」を多角的に分析・調査することを指します。
競合調査の主な目的は、競合他社の特徴やビジネス戦略、強み・弱みを把握し、その情報を活用して、自社の商品やサービスを競合と差別化することです。これにより、効果的なビジネス戦略を構築することが、競合調査の成功につながります。
一方で、競合調査と混同されやすいのが「市場調査」です。しかし、この2つは目的や対象が異なります。

競合調査と市場調査の違い

競合調査

特定の競合企業やサービスに焦点を当て、その動向や戦略を深掘りして分析することが目的です。例えば、競合の製品特長や販売戦略、顧客へのアプローチ方法などを調べます。

市場調査

市場全体の状況や動向を把握するための調査です。過去から現在にかけての市場データを収集・分析し、その結果を基に既存商品の改善や、新たな商品・サービスの開発に活用します。

競合調査が「特定の企業やサービスに焦点を当てる」のに対し、市場調査は「市場全体を俯瞰する」という点で役割が異なります。それぞれを適切に活用することで、より適切なビジネス戦略を立てることができます。

競合調査のやり方

私自身、競合調査のやり方としてUX戦略に基づく手法を参考にすることが多いです。理由として、UX戦略では競合他社のより深い価値を分析することで自社の強みがより明確になるからです。以下のような手順で進めています。

1. 競合の特定

まず、競合他社をリストアップします。この際、以下の観点で分類します。

  • 直接競合:自社と似たサービスを提供する企業。

  • 間接競合:異なるアプローチで同じニーズを満たす企業。

例えば、オンライン学習プラットフォームの場合、直接競合は他の同様のプラットフォーム、間接競合はYouTubeや個別指導塾などになります。

2.ターゲットユーザーの理解

競合調査を進める前に、ターゲットとするユーザーのニーズやペインポイントを明確にします。これにより、競合がどのようにユーザーの課題を解決しているかが見えてきます。

  • ペルソナ作成:ターゲットユーザー像を具体化。

  • カスタマージャーニーマップ:ユーザーの行動を時系列で整理。

3.競合のUX(戦略と戦術の両方)を評価

競合のサービスや製品を実際に体験し、以下の視点でUXを評価します。

(1) ユーザビリティやヒューリスティック評価

  • 競合のウェブサイトやアプリの使いやすさを評価します。

  • 差別化されている機能があるか評価します。

(2) コンテンツの優位性

  • テキストや動画のなど、コンテンツに優位性のあるポイントを調査します。

(3) ユーザーの感情的な体験

  • サービスを利用時のポジティブ/ネガティブな感情を調べます。
    例:安心感、満足感、ストレスなど。

(4)提供価値

  • 競合のサービスが提供する核心的な価値を明らかにします。

4.ユーザーリサーチ

競合サービスのユーザーが何を評価し、どの部分に不満を感じているのかを把握します。

  • ユーザーテスト:実際のユーザーに競合サービスを利用してもらい、感想をヒアリング。

  • ユーザーインタビュー:実際利用してるユーザーにインタビューをする。

  • アンケート:実際利用してるユーザーにインタビューをとる。

5. 差別化ポイントの特定

競合調査で得たデータを基に、自社と競合の差別化ポイントを洗い出します。

  • 強みと弱みの比較:競合の優れた点や、自社が勝っている点をリストアップ。

  • ギャップ分析:競合が提供できていないrを特定し、そこに自社の価値を提供する戦略を立てます。

UX戦略の本

過去自分が解説している動画


競合会社やサービスを調べる

ここからは、私が実際に行っている競合調査の方法について解説します。多くの方がネットリサーチを活用しているかもしれませんが、私はA Iリサーチサービスや、Crunchbaseなどの企業データプラットフォームをよく利用しています。これらを活用して企業のバリエーションや資金調達額といった情報が把握しています。これらのデータを通じて、企業の成長や注目度を客観的に判断できます。
例えば、私が「Webflow」や「Figma」に注目したのも、この方法がきっかけでした。聞いたことがなかった企業が驚異的なスピードでバリエーションを伸ばしているのを見つけ、その成長力に気付くことができたのです。
さらに、これらのツールを活用することで、企業の詳細情報をより深く調べることも可能です。以下に、おすすめのサービスをご紹介します。

AIリサーチサービス

下記を参考にしていますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

Perplexity AI(https://www.perplexity.ai/
Perplexity AIは生成AI技術を活用しており、文脈に沿った具体的な回答を提供します。これにより、複数のウェブページを訪れることなく、迅速に情報にアクセスできます。質問に応じて関連情報や参考リンクも提示し、従来の検索体験を進化させています。また、シンプルで直感的なインターフェースにより、技術に詳しくないユーザーでも利用しやすく、学術リサーチや専門知識が必要な質問にも対応できる柔軟性が評価されています。

・Felo AI(https://felo.ai/ja/search
Felo AIは、日本のAIスタートアップ企業Sparticle社が開発した、多機能なAI検索エンジンです。日本発のサービスということもあり、日本語対応が充実している点が特徴的です。特に、自然な日本語での質問に対して、正確かつ適切な回答を生成する能力に優れています。また、Felo AIは単なる検索エンジンにとどまらず、多機能性を備えています。

Genspark(https://www.genspark.ai/
2024年に登場した比較的新しいAI検索エンジンです。AIエージェントを活用した独自のアプローチで、高度な情報収集と整理を行う点が特徴です。単なる回答の提示にとどまらず、関連情報や背景知識を含めたコンテキストのある応答を生成することで、従来の検索体験を進化させています。

私個人としては、Felo AIをよく利用しています。特に、論文検索が可能な点が便利で、より詳細で専門的な情報を引き出したいときに重宝しています。

企業データプラットフォーム

・Crunchbase(https://www.crunchbase.com/
スタートアップ企業、投資家、業界トレンドに関する情報を提供するオンラインデータプラットフォームです。おそらく、世界で最も利用されているサービスの一つだと言えるでしょう。世界中の企業の成長動向や資金調達状況など、詳細なデータを閲覧できるため、スタートアップや投資のリサーチに特化したツールとして非常に広く活用されています。また、一部のデータは無料で閲覧可能なため、手軽に調査に役立てることができる点も魅力です。

・Tracxn(https://tracxn.com/
私もよく利用していたサービスです。世界中の競合企業のデータが網羅されており、非常に迅速に競合企業のリストを作成できる点が魅力的でした。また、業界ごとにまとめられた調査レポートを閲覧できるのも便利です。さらに、Crunchbaseと比較すると、企業の詳細な情報が掲載されている点が特徴です。例えば、各企業の成長動向や具体的な事業内容について、より深く知ることができます。さらに、インド発のサービスのため、他の類似ツールと比べて比較的低コストで利用できるのも大きなメリットです。

・Speeda(https://jp.ub-speeda.com/
日本のサービスです。多くの企業が、まず日本市場でサービスを展開するケースが多いため、国内の競合調査には適したツールです。

私は、日本市場で競争するでも、あえて海外企業を調べることがあります。その理由は、そこに自分たちが知らないアイデアが含まれている場合があるからです。また、中長期で見ると、彼らが日本市場を狙ってくる場合があります。それを考えて調査しておくのも大切だと思います。

ユーザーリサーチ

AIや企業データプラットフォームを使うことで、ある程度の情報は取得できますが、競合調査では本質的な部分を深掘りする必要があります。そのためには、ユーザーリサーチが不可欠です。以下2つがインタビュー者をリクルーティングするための代表的なサービスになります。

ユニーリサーチ
ToC向けのインタビュー対象者をリクルートするためのサービスです。これは非常に画期的なもので、従来は対象者のリクルーティングやインタビューに高額なコストと多くの時間がかかっていました。しかし、このサービスでは、低コストかつ最短で1日以内にインタビューを実施できる場合もあります。スタートアップや新規事業の立ち上げにおいて、効率的にユーザーインサイトを得るための必須ツールと言えるでしょう。

・ビザスク
ToB向けのナレッジシェアサービスで、長年にわたり企業のリサーチや新規事業開発のリサーチを支援してきた実績があります。このサービスでは、登録している専門家が企業情報と紐づけられているため、自分が話してみたい企業や業界の専門家と直接対話することが可能です。

その他競合調査フレームワーク

UX戦略を中心に話を進めてきましたが、以下のようなフレームワークも競合調査に活用できます。

1.SWOT分析
SWOT分析は、自社や競合企業を以下の4つの視点から評価する方法です。

  • Strengths(強み):競合の優位性や他社との差別化ポイント。

  • Weaknesses(弱み):競合の欠点や課題。

  • Opportunities(機会):市場のトレンドや新たなビジネスチャンス。

  • Threats(脅威):競合が直面するリスクや市場環境の変化。

  • 活用例:競合の強みと弱みを分析し、自社のポジショニング戦略を明確にする。

2.5フォース分析
5フォース分析は、業界の競争構造を以下の5つの要因で分析するフレームワークです。

  • 目的:競合の市場ポジションや業界内の競争環境を理解する。

  • 5つの力:

    1. 業界内の競争:競合企業間の競争の激しさ。

    2. 新規参入者の脅威:新しいプレイヤーの参入可能性。

    3. 代替品の脅威:他製品やサービスへの乗り換えリスク。

    4. 買い手の交渉力:顧客が持つ価格や品質への影響力。

    5. 売り手の交渉力:サプライヤーが持つ価格や供給への影響力。

  • 活用例:競合が直面する業界の課題や脅威を把握し、差別化戦略を考える。

3.4C分析
4C分析は、顧客目線で市場を分析するためのフレームワークです。

  • 目的:競合のサービスが市場でどのように受け入れられているかを理解する。

  • 4つの要素:

    1. Customer Value(顧客価値):競合が提供する価値と顧客のニーズへの対応。

    2. Cost(コスト):競合製品の価格やコストパフォーマンス。

    3. Convenience(利便性):競合サービスの入手や利用のしやすさ。

    4. Communication(コミュニケーション):顧客との接点やマーケティング手法。

  • 活用例:競合の顧客価値を分析し、自社の製品やサービスの改善ポイントを明確化する。

4.3C分析
3C分析は、市場環境を以下の3つの視点から分析する手法です。

  • 目的:競合のポジションを理解し、自社の立ち位置を明確にする。

  • 3つの要素:

    1. Customer(顧客):競合がターゲットとする顧客層やニーズ。

    2. Competitor(競合):競合他社の特徴や市場でのポジション。

    3. Company(自社):自社と競合の強みや弱みの比較。

  • 活用例:競合のターゲット戦略や差別化ポイントを調査し、自社の戦略に活かす。

まとめ

競合調査において、近年以下2つの大きな変化を感じています。
1つ目は、UX戦略に基づいた競合リサーチを深掘りする重要性です。
表面的な情報収集にとどまらず、競合のユーザー体験を徹底的に分析し、自社の強みを最大限に引き出す具体的な戦略を考えることが求められています。
2つ目は、AI技術の進化によるサービスの多様化です。
AIを活用することで、従来よりもスピーディかつ高品質な調査が可能となりなってきています。最近のDeepSeek(https://www.deepseek.com/)はかなり深掘りできると話題です。
また、以下の記事では、ChatGPTを活用したユーザビリティの研究についても触れていますので、ぜひご覧ください。

さらに、さまざまなフレームワークを試し、自分にとって最も適したものを見つけて活用することをおすすめします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
その他私へ直接ご相談をしたい方は下記よりお願いします。


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