不登校の海㉝ きっかけは突然に
2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。
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きっかけは突然に
11月に入ると、算数教室で授業を受けることにもずいぶん慣れてきました。
そうなると次の目標はやはり5年1組の教室に入って授業を受けること。
算数教室に入ったときと同じように、「ほんの一瞬教室を覗いてまた会議室に戻ってくる」という練習をしていましたが、教室に入るきっかけはなかなかつかめないようでした。
ところが、5年1組の教室に入れるようになる前に、思わぬ形でクラスのみんなと顔を合わせる機会がやってきたのです。
現状打開のきっかけとなったは「図書の時間」でした。
図書の時間というのは、クラス全員が図書室に行って好きな本を読む時間です。
そこで好きな本を借りることもできます。
算数教室から5年1組の教室に入るのに、ネックになっていたのは「何が起きるかわからない」こと。
「誰かに何かを言われたらどうしよう」という不安が大きかったようでした。
算数教室に比べると、ただ15人ほど人数が増えるだけなのですが、長男にとっては大きな壁だったようです。
図書の時間だったら児童それぞれが好きな場所で本を読んでいるので、並んで座っている教室と違って一気に対面すずに済みます。
そして、市の図書館では貸し出し中で借りられなかったハリーポッターの本が小学校の図書室には複数冊あるのを知っていたので、それを読みたいという好奇心が背中を押してくれたのでしょう。
「図書の時間に行ってみる。」
そう、本人が決めたのです。
水曜日の一時間目、図書の時間。
いつも通り、事前に担任のY先生に「H君が来るかもしれないけど、緊張してるだろうからそっとしておいてあげようね」とクラスのみんなに周知してもらいました(この事前準備があるだけで長男は気持ちが楽になるようでした)。
そして準備万端整ったところで、長男はその日の補佐のM先生と一緒に「行ってきます」と会議室を出て行きました。
長男が出て行ってから再び、5分…10分…。
私がドキドキしながら待っていると、M先生と長男が戻ってきました。
そして長男の手には、あの分厚いハリーポッターの本が!!
わたし:入れたんだね!
長男:うん!(ちょっと誇らしそうに)
わたし:クラスの子に会った?
長男:ちょっとだけ
わたし:誰かに何か話しかけられた?
長男:ううん。図書の時間だから(話しかけられなかった)。
基本的に図書の時間はみんな静かに過ごすので、話さないことも自然だったのかもしれません。
とはいえみんな長男が図書室に入ってきたことには気づいたのですが、Y先生が事前に話してくれていたおかげでザワついたりはしなかったようでした。
「クラス全員がいる図書室に入っても大丈夫だった。」
この経験が教室に入るハードルを下げてくれたのか、図書室に入れた数日後、ついに念願が叶うことになります。