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不登校の海㊷ 9か月かけて手に入れたもの

2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。

「はじめに」はこちら★


この記事を書くと決めてから、不登校だった9か月間のことをあらためて振り返り、考えています。

あの9か月間で長男が手に入れたものがあるとしたら、それは何だったんだろう?

自分自身の取り扱い説明書(自己理解という言葉を使っても良いのかもしれない)
本を読むことの喜び
相性の良い家庭教師との出会い

そして…

積み上げた経験

長男が不登校になったばかりの頃、私は「良かれ」と思って何度も彼に助言をしました。

「今日休んだら明日はもっと行きにくくなるよ?」
「誰もそんなこと気にしてないよ。」
「行ってしまえば案外大丈夫だよ。」

今思えば、そんなことは誰よりも長男自身がが一番わかっていることでした。

だけどそれができないから苦しんでるわけで、私が横から口を出したところで何の役に立たないどころか、長男を責めて苦しめるだけでした。


一方で長男自身が決めたこと、長男自身が口にできた言葉には、何よりも力が宿りました。

「明日は公園まで行ってみる。」
「学校が見えるところまで行ってみる」
「できたら、職員室まで行ってみる」

私が横でわーわー言ってたことは何一つ実現しなかったけれど、彼が自分で口にしたことは、そのすべてが現実のものになりました。

こんな事もありました。

会議室に登校していた頃は朝学校に着くとまず職員室に行って教頭先生に挨拶し、私が会議室の鍵を受け取っていました。でもある日突然、職員室の前まで来た時に長男が「今日はぼくが言う」と宣言しました。そして本当に職員室の扉を開けて「おはようございます…会議室の鍵貸してください」と教頭先生に挨拶したのです。

とても些細な事だけれど、毎日そんなことを繰り返しました。

「今日は僕が(教頭先生に)言う」
「今日は教室に入ってみる」
「今日は、一人で学校に行ってみる」

いつも少し下を向いて、一点を見つめるように、静かに自分が決めたことを口にした長男。

その横顔には「決意」が見て取れました。河原の石みたいに小さいけれど、強固な決意。

そんな小石のような決意を毎日ひとつづつ積み上げていきました。

順調に積み上げられたわけではありません。 停滞した時期もあったし、一旦積み上げたものが崩れそうになったこともありました。 「昨日までは教室に入れていたけど、今日はやっぱり入れない」というときも、しばしば。

ただ、たとえ時間がかかったとしても、自分で決めて自分のタイミングで口に出したことは、全て行動に移すことができました。その経験は、今も長男の中にひとつの形として残っているように思います。


一生物の財産




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