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不登校の海⑰ 積み重ねられるもの

2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。

「はじめに」はこちら★


積み重ねられるもの

一人でマンションの下まで行くことができ、ちょっと自信がついた日の寝る前の会話です。

わたし:明日も下までなら行けそうかな?

長男:(無言で頷く)

わたし:うん、すごい!!

長男:今日行けたから。

わたし:明日はちょっと距離延ばせたらいいね。一回ちょっと出て、くるっと回ってくるとかどう?

長男:出てまわるってどういうこと?

わたし:一回(マンションの敷地を)出て、隣の公園まで行って、自転車置き場から帰ってくるとか?

長男:公園、公園側から出て公園とおって?公園・・・で、自転車置き場?

わたし:うんうん

長男:それか、公園から出て、公園の反対側から帰ってくるとか。

わたし:ああ、なるほど!それでもいいね。それなら人にも会いにくいかな?

長男:あと、公園一周するとか。

わたし:いいねいいね、それも良いとおもうよ。

長男:うん

わたし:それくらいなら、できそうかな?

長男:うん。で、自信がついて。それから…どんどんどんどんいって、学校行って、ずっと学校行けるようになって…(嬉しそうに)

わたし:うんうん、そうなったらいいやん!じゃあ、明日は公園まで目標にしようか!

長男:うん、公園一周!

わたし:よし。それ自分で決めたのがすごいね。かっこいいと思ったよ。

長男:うん


このやり取りは、今でも印象に残っています。
長男が不登校になって以来、初めて前向きな様子が見られた会話だったので。

長男もこの頃になると、自分からいろんな提案や意思決定ができるようになってきました。
前向きな気持ちがずっと続くわけではありませんでしたが、不安になったり前向きになったりの振れ幅が見られるようになりました。それまではずーっと「不安の域」を出ないままだったので。

そして自分で言った通り、翌日から長男はマンションの敷地を出られるようになりました。


「まだまだゴールは遠いけど、毎日少しずつ前に進んでいる。やるべきことができている。」そんな実感が私の中にありました。

長男もたぶん、そうだったんじゃないかな?


どんなに些細なことでも「今日は最低これさえ出来ればOK」と決めて、その小さなゴールを毎日確実に「達成」することをはじめました。

日中は相変わらずゴロゴロしていましたが、何もしていなかった頃に比べると「毎日やるべきことはやっている」という自負があるぶん、気持ちにゆとりがあるように見えました。

今思えば、自分の状況を受け入れて「進む方角と進み方が決まった」、そんな時期だったと思います。


「何をしていいかわからない」状態って不安です。

不安だから、その不安を打ち消すためにyoutubeやゲームに時間を費やしたくなります(私もそうだからよくわかる)。

だけど「これさえやればOK」というのが何かしらあれば、同じようにyoutubeやゲームをやっていたとしても「達成感」があるぶん、積み重ねていけるものができます。

この時の小さな積み重ねは、今も長男を支えてくれているように感じています。


漠然とした不安




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