不登校の海㉛ みんなのいる教室へ
2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。
「はじめに」はこちら★
みんなのいる教室へ
「算数教室という、分室での授業に入ってみる」という新しい目標を見つけた長男。
はじめて算数教室を覗きに行って以来、算数の授業がある日は算数教室に通うことが日課になりました。
まずは私と一緒に会議室へ登校し、算数の授業が始まったら付き添いの先生と一緒に会議室を出て算数教室を覗きに行くのです。
何度か続けた後「どう?算数教室に入れそう?」と長男に聞いてみたところ「算数教室に入ったときの他の子の反応が不安」と言いました。
「これが不安」と言語化できるのは良いことで、なぜなら教室に入ったときの自分の気持ちがイメージできたということだから。
そこで、私たちは対策を立てました。
担任のY先生からクラスの子たちに「H君が入って来るけど緊張しているからそっとしておいてね」と事前にお話していただいたのです。
それを聞いた長男は「だったら大丈夫」と安心したようでした。
そして11月のある日。
その日は最初から「もしできたら、教室に入って見よう」と決めて、付き添いのK先生と一緒に算数教室に向かいました。
「無理しなくても大丈夫だからね」
会議室を出る長男に、私はそう伝えました。
長男が会議室を出てから5分…10分…15分経っても戻ってきません。
そして20分を過ぎたころ、長男とK先生が会議室に戻ってきました。
「緊張した~」と。
でも、とても嬉しそうに!!
半数とはいえ、クラスのみんながいる算数教室で授業を受けられたのです。
他の子たちは長男に気づきながらも、そっとしてくれていたそうです。
担任の先生に周知をお願いしておいて本当に良かったです!
唯一、長男と仲良しで天真爛漫なI君は授業中にも関わらず後ろを振り返って「おう!H!」と声を掛けてくれたそうですが。
笑いながら話していたので、I君の一言はかえって長男の緊張を解してくれたのかもしれません。
もちろん、この時も長男は「ご褒美」のミニフィグをひとつ、ゲットすることができました。
それからも、算数の時間は会議室から算数教室に通いました。
何度か算数教室に入ることを繰り返すうち、45分通して算数の授業を受けられるようになりました。
ときどき「今日は行きたくない」という日もありましたが、そんな時は無理せず会議室でプリントをやって帰りました。
長男が算数教室に行っている間、私は会議室で時間をつぶして待つことが日課になりました(持参した本や漫画を読んでました)。
本当にゆっくりだけど少しずつ、前に進んでいることが感じられるようになってきました。
付き添いしている私よりも、長男本人はもっとそう感じていたかもしれません。
ひとつずつ乗り越えた自信は、確実に彼の中で積み重なっていっていたように思います。