不登校の海㊷ 一生物の財産
2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。
「はじめに」はこちら★
自分で決めたことを実行できるプログラム
「自分で決めたことを言葉にし、行動に移す。」
もしかしたら長男が毎日やっていたことは、「トレーニング」だったのかもしれません。
「自分で決めて行動する」っていうトレーニング。
そしてそのトレーニングを9か月続けた結果、もしかして彼は続一生モノのプログラムを手に入れたんじゃないだろうか?
一生物の財産
「自分で決めたことを実現できる」って、生きていくうえで最も重要なプログラムのひとつだと思うんです。
技術とか才能とか関係無しに誰でもできることだけど、「習慣」というか自分の「行動規範」として身に付いてる人には比較的簡単で、そうでない人にはとても難しいこと。
行きたいと思った場所へ行く。
やりたいと思ったことをやる。
欲しいと思ったものを手に入れる。
その結果としていろんな成果が付いてくるのだと思います。
長男は9か月間トレーニングを続ける中で、いくつかの大切なことにも気づきました。
失敗しても、何度でもやり直せる。
うまくいかなくても、家に帰って大好きな本を読んでる間に気持ちを安らげることができる。
自分が本当に望むゴールが大きすぎるときは、そのゴールを小さく刻めばいい。
いろんな不安を感じてしまう自分だけれど、不安があっても大丈夫。
一つずつ対策を立てればいい。
これらはたぶん、プログラムを実行するうえで必要なスクリプト(プログラムの最小単位)になるのだと思います。
このプログラムを、例えばスポーツを頑張ることで手に入れる子もいれば、自由研究を頑張ったり、何かのイベントに参加して手に入れる子もいるのだろうと思います。
たまたま長男の場合、それを手に入れるための経験が「不登校」だったのです。
普通に通学できるようになった6年生のある日、長男が机に向かって一生懸命何かを描いていました。
聞けば、運動会で使うクラスの旗のデザインだと言います。
クラス全員でデザインを考え、最終的に投票で決まることになったらしく、長男も旗をデザイン画を描いていたのです。
翌日学校から帰ってきた長男は、彼のデザインが最終候補まで残ったことを、ちょっと嬉しそうに教えてくれました。
長男が描いたデザイン画は、クラスのテーマである「輝」という文字の背景に上向きの矢印が10本ほど描かれていました。
矢印はどれも直線では無く、点線のように細かく区切られていました。
「このデザインはどういう意味があるの?」と聞くと、こう答えてくれました。
「ぼくは去年、学校に行くときにちょっとずつ進むことができたでしょう?
途切れ途切れでも、それを積み重ねたらちゃんとゴールに繋がるっていうのを表したかったから。」
結局、彼のデザインは選ばれませんでした。
だけど、不登校の経験をデザイン表現できるほど自分に落とし込めていることに、私はとても感心してしまいました。
自分で決めたことを実現できるプログラム。
それは、長男にとって一生物の財産になったと思っています。