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不登校の海⑧ 「良い子」だから不登校になるんです

2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。

「はじめに」はこちら★


「良い子」だから不登校になるんです

カウンセリング当日は月曜日でした。

いつも通り、長男は学校に行かず、家で漫画を読んだりテレビを見たりして穏やかに過ごしていました。

学校を休むと決めるまではとても辛そうなのですが、休むことが決まりさえすれば気持ちが軽くなるようで、いつも通りくつろいで過ごすことができるのです。

もう5年生ということもあり、長男には家で留守番してもらって、私一人でカウンセリングを受けに行きました。

当時の長男はマンションで知り合いに合うのも嫌がったし、道で知らない人に会うことすら怖がりました。
平日に学校に行ってないことを人に知られたくなかったからです。

だから、私が不登校のカウンセリングを受けに行くことは長男には伝えませんでした。

カウンセリング施設は、駅から程近いマンションの一室にありました。
穏やかなカウンセラーさん(O先生)が迎えてくださり、私はこれまでの経緯を順を追って説明していきました。

・去年カンボジアに行った直後と冬休み明けに不登校になったこと
・その時は2回とも1週間程度休んだものの登校できるようになったこと・3月から休校(春休み)になり、学年とクラス変わった状態で2か月半ぶりの新学期から不登校になっていること
・このまま今の状況を続けていても、登校できるようになると思えないこと。

また、長男の性格についても伝えました。

・小さい頃からおとなしくて手のかからない子だったこと
・4年生で不登校になるまでは保育園や学校に「行きたくない」とぐずったことは一度も無かったこと。
・1年生の時の担任の先生が怖く乱暴な先生だったけど、長男は自分からは親には何も言わなかったこと。
・相手に「嫌なことを嫌」と伝えられず、「からかい」の対象になりやすい性格であること。それを親や先生には自分から伝えられないこと。
・HPに記載されていた「心身症傾向」を見て、長男にすごく当てはまるな…と思って来たこと。

O先生は目を閉じて「うんうん」と頷きながら話を聞いていましたが、私が話し終えるといくつかの質問をしました。

「お子さんに強いこだわりはあるますか?」とか、そんな類のことだったと思います。

そして、こう切り出しました。

「お話伺う限り、H君は心身症タイプのように思えます。あくまでそういう傾向があるという意味ですが。H君は今、自分の中にあるマイナスの感情を外に出すことができていません。ですので、登校へのアプローチとしては、まずそのマイナス感情を出すという練習をしていきます。H君は、優しいですよね。穏やかで、聞き分けの良いいわゆる“良い子”というのが心身症タイプのお子さんによく見られる傾向です。…そして、ご両親も。」

え?

「お話していて分かるんですが、お母さんも優しいですよね。 お話を聞いているかぎり、ご主人も。心身症タイプのお子さんのご両親はそういう方が多いんです。お家で誰かの悪口を言ったりしない。でも、そうすると敏感なお子さんは自分も誰かを悪く言ったりしたらいけないと思うんです。そして、嫌な事があったり嫌いな子がいたりしても言えなくなる。だから、H君がこれからマイナスの感情を出せるようになっていくために、お家での会話がとても重要になります。」

!?!?!?

驚いてしまいました。というかショックでした。

うぬぼれてるみたいだけれど、まさか自分が原因だなんて思っていなかったのです。

「良い子育てしてる」とは思わないまでも、少なくとも「間違った子育て」はしていないつもりでした。

家でネガティブなことを言わないのも、とくに意識はしていなかったけれど、口を言うよりはむしろ「良いこと」だと思っていました。

自分では、良かれと思って。
自分では、何の悪気も無く。

だけど、それが長男に言いたいことを言えなくさせてしまっていたみたいです。

今振り返ってみたらそんな長男のことをちゃんと見てあげられてなかったのかな…と思いました。

その日のカウンセリングは「体験」ということでしたが、私はその場でカウンセリングを受けることを決めました。

長男が学校に行けなくなった原因の一つが自分たちにあると思ったからです。

原因が自分たちにあるのなら、それを改善しなくてはいけません。

だけど、少し希望が見えました。

学校に行けない原因が長男自身や学校にある場合は自分にできることは少ないですが、それに比べれば自分の行動を変えるのは簡単だからです。

次回のカウンセリングを予約すると、カウンセラーさんから「次回のカウンセリングまでにやってきて欲しいこと」を言い渡されました。

それは、思いもよらない宿題でした。


 →無意識の抑圧



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