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不登校の海㉚ 新しい目標

2020年5月、新5年生になったばかりの長男が不登校になりました。noteでは長男が9ヶ月かけて学校に復帰するまでの記録を公開しています。

「はじめに」はこちら★


新しい目標


運動会を終えて進展のないことに、正直焦りを感じていました。

きっかけや担任の先生に頼っても仕方無いことに気づいた私は、初心に戻りました。

「不登校の初心」です。

まずはマンションの下まで。次は公園まで…。

そうやって、自分で目標を決めて挑戦を積み重ねることが「唯一私たちにできることだ」と、改めて気が付いた私は、長男と話し合って次の目標を決めました。

長男の次の目標は

「教室まで行ってみんなが授業しているところを見ること」

「みんなの様子をただ見る」だなんて、そんな目標、私にはとても思いつきませんでした。

ほんと、すごいなあ。

だけど確かに授業の様子を見ることができれば、次に自分がその教室に入ったところをイメージできます。

長男にとってはまず「見る」だけでも大きな挑戦であり、教室に入るための大切なステップだったようです。
具体的にイメージすることでその不安と向き合い、気持ちを準備してそれに向かっていく。
目的に近づくための方法はいつだってシンプルでした。

この目標を担任の先生に伝えたところ「いきなり教室に入るのが難しければ、算数教室に入るのはどうでしょう?」と提案していただきました。

算数だけ、児童の理解度に合わせて「どんどんコース」と「ゆっくりコース」に分かれて授業を進めているらしいのです。
どんどんコースの児童は教室で授業を受け、ゆっくりコースの児童は5年1組の教室とは別の算数教室で授業を受けていました。人数もほぼ半分なので、いきなり30人いる教室に入るよりもハードルは低そうです。

一番の仲良しのO君はどんどんコースだったけれど、ゆっくりコースには会議室で一緒にトランプをした天真爛漫でムードメーカーのI君がいました。

次の目標は「算数教室を見に行く。そしてまずは算数教室に入る」に決まりました。

長男が算数教室に行くにあたっては、5年生の先生方が総出で協力してくださいました。

会議室から算数教室までは少し距離があります。

さすがに私と一緒に教室に行くのは恥ずかしいだろうし、かといって1人で行くのも難しかったので、算数の時間に手すきの先生が長男に同行してくださることになりました。

月曜日はT先生、火曜日はY先生と、曜日替わりでいろいろな先生が付き添ってくださったんです。
おかげで、長男は学校には行っていませんでしたが5年団の先生方とは顔見知りになることができました。

算数教室の話に戻りますね。

一番最初は本当に「見るだけ」のところからはじめました。

初日は去年担任だったK先生が付いて下さり、「じゃあ行こう」と長男と二人で会議室を出た後、5分ほどして戻ってきました。

「(教室の中)見れた?」と私が聞くと「うん」と頷く長男。

K先生は「結構見たよね。20秒くらい見てたんちゃう?」と。

「誰かに気づかれた?」とわたしが聞くと、長男は「それは大丈夫だった」と答えました。

たったの20秒、算数教室の外から中を覗いただけでしたが、これもやはり長男にとっては大きな一歩でした。


みんなのいる教室へ




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