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愛と魂のシェフ~クチーナ・サルヴェ

クチーナ・サルヴェ。
秩父にあるイタリアンレストラン。
素晴らしいと評判、平日はディナー営業のみ。
お友達のイーサン(※日本人女性、少し前までエルさんという呼び名)が人数を集めて貸し切りするという形なら平日ランチをいただけるということで、会をアレンジしてくれました。

噂によると、そのシェフ坪内さんはお料理に使う野菜をすべて畑で作っているということでした。

秩父まで電車で2時間以上、お店は駅から徒歩5分ほどのところにありました。

総勢12名のグループ、おひとりとわたし以外はリピーター、みなさん集合時からウキウキしている様子でした。

飲み物はペアリングと言って3杯で注文するとコースのお食事に合わせた飲み物が3回でてくるというもの。わたしは始めにスパークリングワインを頼んだのちはソフトドリンクのペアリングをすることに。

飲み物がいきわたるとすぐに前菜が登場。
評判通り、野菜は自家栽培しているとのこと、色鮮やかなプレート、リーフ1枚にいたるまで、植生のことや調理法など坪内シェフがそれは楽しそうに説明してくれました。
野菜の他にハムやアユがお皿に乗っていましたが、それらも地元秩父のお店によるもので、地産地消の心意気が感じられました。
自分も含めてみんな無言でそれぞれの食材を味わいました。

華やかな前菜

続いてお魚、ラザニア、お肉、メイン(お肉orお魚)と続き、最後はドルチェ。
どのお料理もシェフが目を輝かせて丁寧に説明してくれました。
一点の妥協なく作られたお料理、「美味しい」しか皆出てこない。よく具体的にレポートしているのをテレビなどで見るけど、あれって実は大して美味しくないんじゃいの?なんて思うほどでした。

お魚は漁港のある県のツアーに参加して縁を深めたところから仕入れ、鯛のお出汁をかけてカボスを絞って食べる。ああ美味しい、執拗にスプーンで一滴だって残すまいとすくい続けました。

鯛のお出汁をかけてさらに美味しくなるお魚料理。

ラザニアは一番おいしい一番上の一枚。カリカリっとした触感、シェフが育てた小麦を挽いた粉に水を一切入れず卵の水分のみで練られたパスタ、卵だってシェフが育てた鶏によるプラチナ卵。

カリカリっと美味しいラザニアの一番上。

鹿や豚のパテに乗っている葉っぱはカタバミ!シェフが育てた鶏のレバーやハツの燻製、少量でも新鮮な味がしっかり伝わってきます。

パテの脇のマスタードが美しい上に美味しかった

わたしはお肉料理を選択しました。
赤城牛に添えられたお野菜、こちらも葉っぱ一枚にいたるまで味わい、赤ワインをしみこませて作られたお塩がまたお肉に合って美味。

右下のワイン塩も美味しい

最後のドルチェ、こだわりのコーヒーと共に。
何と!茄子の塩ジェラート、口に運ぶとふわっと茄子の風味、生のピスタチオの触感と塩味もよく、最上のオリーブオイルとの相性も抜群!美味しくて美味しくて食べ終わるのがつらいほど。添えられていた和栗の渋皮煮も柔らかくて優しい甘さ。シェフのお嬢さんたちが拾ってきてくれたという柿の葉もとても美しくお皿を彩っていました。

いつまでも食べていたかった。

コースのあと、シェフのお話を聞くことができました。
幼少期からケミカルなものを一切受け付けられない体質、お米も精米されているとダメで玄米のみ、水すら色々入っているから飲めなかったそうです。
そんな体験をもとに、すべての食材を自分で作って提供するという今のスタイルが生まれたそうです。
平日はディナーのみ営業なのは、昼間は畑作業があるから。土日はランチとディナーの両方、週末やり切ったあとの月曜日は起き上がることができないほどすべてを出し切るという坪内シェフ。畑の中の家に住み、休みでも必ず畑に行ってすべての作物と目を合わせるそうです。大好きですから、と言い切りました。

シェフの夢はオーベルジュを始めること。農業の体験もできたりして、食とのつながりを体感してもらう。シェフは良く響く声でそれは楽しそうに話をしていました。

シェフは「愛」という言葉をたくさん使いました。
自然から受け取る愛、自分が差し出す愛、たくさんの愛。
楽しそうに話す様子、月曜には泥のようになるほどの仕事への全力投球、この人には雑念が一切なくて、自身の内にある魂をひたすら磨き、愛を発散している、超シンプルな人なのだと思いました。

素晴らしい人を知りました。

よかった、ありがとう。



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