正統派アート~DIC川村美術館
千葉県佐倉市にある、DIC川村美術館。
わたしの好きなフランス人画家ジョルジュ◦ブラックの作品を所蔵していて、学生時代からその存在を知っていました。当時は同じ千葉県に住んでいたのにその行きづらさから訪れることありませんでした。
それがちらほらと「休館するので行ってきた」という投稿を見るようになり、勧めてくれる人もいて、行かなきゃ!となり、しかも併設のイタリアンレストランがとても美味しいらしく、その予約に幸いありつけお友達と行ってきました。
レストランの時間は10:30、佐倉駅から無料送迎バスで30分、ガイドツアーの申し込みは9:30から受付にて。9時の送迎バスに乗るにはその前には佐倉駅に着いている必要がある。調べると特急を使わず行く方法は最寄駅6:34発に乗り、8:12に佐倉着(本数少ないっ)。腹を括って4時半過ぎに起き、その日に限って息子が弁当持ちなので弁当を作り、ついでに洗濯もし、ゴミ捨てまでして予定通りの電車に乗り、東京駅から総武線に乗ったらお友達に遭遇、おしゃべりしながら佐倉に到着、9時からの無料送迎バスを待つべく近くのセブンイレブンのイートインへ。
9時半の開館を門の前で待ち、受付でツアーに申込み、鑑賞を開始。
途中、ランチのレストラン・お茶席での一服・ツアーガイド参加を挟み、15時過ぎまでゆっくりたっぷり。
モネ、ボナール、ルノアール、ピカソ、ブラック、ユトリロ、フジタ、レンブラント、エルンスト他ドイツの画家の部屋、そして世界に数か所しかない「ロスコルーム」。ほかにも現代アートとしてフランク・ステラ、ジャクソン・ポロック、サム・フランシス、桑山忠明、西川勝人など。
以前は何の絵画を鑑賞するかが最も重要でした。
年月が経った今、展示室で大きく呼吸、絵が四方に飾られた空間にいること自体が嬉しいわたしがいました。
モネなど印象派の絵画を好まない傾向にあったけど、モネの睡蓮の抽象画めいていながら具象的なところ、ルノワールの描く裸婦の肌の輝きが改めて新鮮に見えました。
絵画とは、カンヴァスに絵の具がのったもの。透明なものを不透明な絵の具で描く。肌の色を皮膚の下の血管を再現し肌らしくない色まで使い表現していく、画家たちにとってきっと面白い実験だったのだろう。
ロスコルームは、ロシア系ユダヤ人でアメリカで活躍した画家マーク・ロスコの壁画と呼ばれる非常に大きい絵画7点を展示した7角形の部屋です。
アジアではDIC川村美術館だけにあるとのこと、暗い照明の中にしばらくいて目が慣れるとその大絵画は赤や茶系の色で風合い豊かに卵や樹脂など様々な素材が入った絵の具でロスコならではの図形が描かれていて、この暗さによって質感を目で味わえるとのことでした。
マーク・ロスコの大作7点をまとめて見られることはめったにないので、大満足。椅子に座ってしばしその薄暗い部屋にいました。
その後は引き続き現代アートコーナー。
やっぱりいい!
抽象画のいろいろ考えさせられるところが大好きです。やはりアート、「美」が伴っているのがわたしの場合必須です。
ジャクソン・ポロック、サム・フランシス最高!ポロックのアクション感じる勢いよく飛び散るインク、フランシスの透明度ある色彩。
二階で企画展がされていた西川勝久の作品も素晴らしかった。
一見グレーのもやもやとした絵も、遠く離れると光を表現していることがわかり、木立からこぼれる日、水面を認めることができる。触覚を感じる彫刻も好み。天井からの自然光のみを光源として展示されている部屋もあり、美術館の作りに沿って西川氏が様々な工夫を凝らしたことにアーティストとしてのこだわりを感じました。
DIC川村美術館は3月末に休館することになっています。経営不振により今後の身の振りようが決まっていくようです。
素敵な建物で、広い池をたたえた庭園があり、とても気持ちの良い場所でした。こんな素晴らしい美術館が一つ消えてしまうかもしれない。かくいう自分もこんな事態にならないと来ないわけなのですが。。
心の中で何かが転がりました。
正統派アートを堪能して、ほぼ一日贅沢な時間を味わい尽くしました。
朝6時15分に出て、ほぼ12時間後、帰宅。
よかった、ありがとう。