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いい文章とは

シンプルすぎるタイトルで、何を書くかというと、文章について

文章こそ、知らず知らず、そして誰に対してかも分からないけど、マウントの取り合いになるよね、って、書くの好きな子と自嘲気味に笑って、これまでの投稿を読み返してみた。なんかかっこつけてるなぁって思った。そして、その割に、あまり心を動かされなかった。だから、いくつかを下書きに戻した。

ちょっと話は脱線するけれど、カウンセリングを学んだことと関係があるような、ないような、でも明らかに最近、自分について理解を深めたことがある。それは、何十年も経ってやっと「え、下手やん」って気づけるくらい、私は何かを始めたら、自分がそれに対し「まぁまぁ上手」と、かなり長い間、思いがちだということだ。

最初に自覚したのは「絵」。
幼い頃、絵画教室に通わせてもらっていた。大それたものではなく、絵画クラブみたいなグループで、確か月に1回だけみんなで集まって絵を描き、みんなの参加費の中から親たちが買ってきてくれたお菓子を食べながら、それぞれの絵に対し画家の先生が講評してくださるのを聞く会だった。

そういうものに通うくらいだったから、私はたぶん大人になるまで自分の絵は上手くないということに、心の底からは気づいていなかったと思う。その道に進もうとしなかっただけ、才能がない自覚はあったが、下手だとは思っていなかった。
過去の自分の絵を見て、「え、下手やん」って気づいたとき、少なくとも30歳は過ぎていた。

同様に、歌だって、下手だと自覚できていたならば、学園の理事長の前で堂々とマイクを持ってうたったりしなかっただろう。教員バンドでコーラスを務めるなどしなかっただろう。すごくうまくはないが、まぁまぁうまいと、本当に思っていた。
そのどこから来るかわからぬ自信も、近年覆ったのは言うまでもない。

文章も同じなのかもしれない。「私は文章を書くのが好き」という、誰も否定できない事実だって、いつか覆されるのかもしれないという恐怖を抱きながら、まだその日が来ないで欲しいと願う。
それなのに自分のnoteを読んでも心がそんなに動かなかったことにショックが隠せなかった。

ところが、先週あったカウンセラーの勉強会で、ひとつ気づいた。

その会に私を誘ってくださった先生はとても著名な方で、勉強会で交流をするたび、「この人を師匠に選んでよかった」と思えるような先生だ。

自分がその会に私を誘ったということもあってなのか、放置をされることもなく、的確にアドバイスをくださり、面倒を見てくださる。

舞い上がりつつ、よくよく考えると、私とその先生は、この勉強会で、しかもオンライン上でしか顔を合わせたことがない。
他の参加者から「T先生の紹介でくるならキレ者だぞ」と冗談で言われるほど、師弟関係があると思われている。「直接会ってお話したことはないんです」というと、驚かれる。

確かに驚きだ。もっといろいろな人を誘っているのかと思えば、そうでもなさそうだし、どうして私はこのような幸運に恵まれたのだろう?


出会いは、その先生の岡山での講演を聞いて、私がメールを送ったことに始まる。質問する人が多く(しかもみんな質問しながら感動の涙を流していた)、すべてに答えられないので聞きたいことがある人はメールをください、と言われたから、遠慮なく送った。

きっと大勢の中の一人だろう。そう思って送ったら、丁寧な返信がすぐに届いて、その後も、ことあるごとに、「こんな本があるから読んで欲しい」とか「この先生の動画を観てほしい」「今度この先生の講演がオンラインで聞けるから参加したら?」と、細やかに気にかけてくださる。

どうしてそんなことが起きたのだろう?と、自分がその先生に送った最初のメールを1年ぶりに読み返してみたら、その謎が少し解けた気がした。


その先生に読んでもらうためだけに書いた、率直な文章
何もかっこつけることがなく、時間もかけず、推敲も大してしないまま、心を動かされ、疑問がわき、その勢いにまかせて書いた文面

決してうまくはない。でも、私は1年前の自分が書いたメールを読んで泣いた。タイムカプセルみたいだと思った。

教員である自分の抱いた、学校や教育に対するもやもや。
知らず知らず受け取っていた、周りの人からの愛情とそれに対する感謝。

自分でも忘れかけていたこと、つまり、私はこういう人間になりたいんだってことが、そこから伝わってきた

もし自分がどこかで講演をして、それを聞いてくれた人の1人からこんなメールをもらったら、そこで問われた質問に答えるだけじゃなく、何かしてあげたいと思うかもしれないな。


私が目指したい、いい文章の核ってこれだ、と思う。



語彙も正確さに欠けるし、編集者がいたら、さんざん直されるだろう。


でも、読んだ人を動かす文章。AIには書けない、雑味ある文章
って、また自画自賛してる。

でも、この夢心地、いつまでも覚めないで、って、
今日も書き続けてる。


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