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蜜柑(詩)

ため息をつきながら

フッー…と肩を撫で下ろし

部屋の明かりをつける

テーブルの上に丸い熟したみかん

みかん色が部屋の隅々まで伸びて

私はみかんを手に取る

親指で皮を何度もなぞりながら…

遠い昔の家族が笑いかける

口元が緩み口角が少し上がった

二つ目のみかんを手に取ると

腐りかけてたみかんの皮が破け

汁が滲んでる

親指を思いきり押し込んだ

その瞬間…

人生のリセットボタンが押された


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アグア 『短編小説.詩』
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