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青い香り(詩)

夕方5時過ぎ

金木犀の香りに誘われて

鼻を空に突き上げる

住宅街の雑踏の中

私の胸のザワザワするものが動き出し

身体の隅々まで走り回る

公園で子ども達が風を切る

料理店の裏口から遠い異国のスパイスが香り

今まで食べた料理を思い浮かべながら

私の思考を奪っていく…

踏切の警告音

コン、コン、コンとリズムよく鳴り響く

踏切を足早に渡る青年達

金木犀の香りが声を運ぶ

「合唱の練習をしよう」と誘う青年に

友が答える…

そして空に向かい友と歌い歩く

大合唱を聴きながら

長く続く道路の先を見つめ

私の顔が綻んでいた

柔らかな風が吹いた…

街路樹の枝が私と手を繋ぎたそうに

伸びてきた

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アグア 『短編小説.詩』
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