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LIFEオススメ本:彼女は頭が悪いから

正直に言うと。
私は、自分の子どもが被害者や加害者になることを恐れている。


この中で紹介した、フェミニストの上野千鶴子さんから派生して、

上野千鶴子さんの東大での祝辞の中に引用されていたのが、今回紹介する本。



「彼女は頭が悪いから」


タイトルを見ただけで、破壊力がある。


しかもこの本は、実際の事件から着想を得て、書いたフィクションの小説なのだ。

フィクションなのだが、被害者、加害者のことが、リアリティをもって描写されている。


読みながら、いままで女性として自分が生きてきた中での傷が痛む。

男性の心理を理解しようと努める。

何か自分が被害を受けたというように感じた時、加害者側はそれがどれだけ苦痛を与えたことかが分かっていない。

これらは読みながら感じたこと。

ただ一方で、私も、過去に加害側に回ったことがあったと思う。
勉強はできた方だったし、生まれ持ったポジティブな側面もあるから、そういう面では自分で気づかず相手を軽んじたことがあったと思う。

自分の子どもの成長段階をみながら、当時の自分を重ね合わせて、いまだに私は人生の勉強をしている。


思い出すことがある。

小学校6年生の時、イベントごとが楽しい英語塾に行き始めた。少人数の、アットホームな感じのゆるいイメージだった。
その中で、音読か文章を聞くか、そのような時間があったと思う。同級生のおとなしい女の子が、当てられたか何かで黙っていたか困っていたか、そんな状況だった。何人かで先生とテーブルを囲むような形だったと思う。
その時私は、その子が困っているから助けようと思って、「今ここだよ」と伝えた。助け船を出したつもりだった。

そうすると、その女の子は泣き出した。

私は、自分が何か悪いことをしたのかもしれないと思った。
それは、はっきりしないまま、今でも写真の1ページのように頭の中に残っている。


私たちの心の中には、気づいていない差別がたくさん眠っている。

ジェンダーに関わらず、それを理解しておくことが生きていく上で重要だ。
そのことに、否が応でも気づかされる。

そんな、閲覧注意の本である。


私は、この本を、被害者・加害者の間に生まれる、個別化しすぎていて名前が付けられない差別を描いた本だと思った。
過去の傷が思い出される一方で、自分にも戒めるところがあると感じた。


ブックトークの波乱は、ジェンダー論を教える東大大学院教授の瀬地山角さんの発言が発火点となった。事件に「責任を感じる」と認めつつ、小説に対しては拒否感をあらわにした。ゼミ生たちと話し合い「強い批判が出た」と切り込んだ。
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 瀬地山さんによると、東大生たちは竹内つばさらの描写にリアリティーを感じなかった。「ラブレターを手紙で出すやつなんていないし、東大の女性は1割ではなく、2割。三鷹寮を『広い』と書いたことについては、ふざけるな、と。想像を絶する言葉です」。瀬地山さんは「事実と反する」ことを列挙し「東大生はぴかぴかつるつるで挫折感がないとか、屈折していないというふうに書かれていることに、僕も含めてみな違和感を覚えた」と力説した。東大生も挫折し、引け目を感じていると説明し、こう付け加えた。「この本は、東大生をひとまとめにして貶めるということ以外は成功していないと言う女子学生もいた」
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姫野さんは「三鷹寮を広い、と書いて、すみませんでした」と謝った後で言った。「待合室で、瀬地山さん、怒ってはんねん。なんでこんなに怒ってはるんだろうと思って……。いま胃の痛み止めを飲もうとして、落としてしまった。おなかが痛うなってきた」。その後しばらく「東大生の挫折」についての言い合いが続いた。瀬地山さんは東大生も山ほど挫折していると強調した上で、東大の中で落ちこぼれていて、その代償行為として事件を起こしたというのなら分かる、とまで言った。

東大生強制わいせつ事件で議論紛糾――小説『彼女は頭が悪いから』が果たした役割とは?


ただ、この本からの対談イベントで集まった、ジェンダー論を教える東大大学院教授の瀬地山角さんという方の発言にはがっかりした。

ただ、それでも、本を読んで、人がどう思うかは、自由なのだ。

世の中にはいろんな人がいて、暮らしている。

その中で、私ができることは。

私が今より前の時代に生まれなくて良かったと思っているように、自分の子どもたち世代にも生きやすい世界を作る一助になりたいとちっぽけな気持ちで、ちっぽけな意見を残しておくことかもしれない。




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