Process-Based Therapy勉強会はじめます:参加者随時募集中
近年の臨床心理学では,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが提唱され注目を集めています。このたび,PBTを学ぶための勉強会を立ち上げました。多くの方々のご参加を楽しみにしています。
勉強会の設立趣旨
近年の臨床心理学では,個人の病理のプロセスをつぶさに捉え,「目の前の個人にとって有効な心理療法」をテイラーメイドで組み立てていくための,Process-Based Therapy (PBT) という枠組みが注目を集めています。心理療法のパラダイムシフトを引き起こす (かもしれない) PBTについて,一緒に議論しながら学びを深めていくことがこの会の目的です。
PBTは,認知行動療法などのEvidence-Based Therapyのさらに先を行くものとして,Steven C. Hayes や Stefan G. Hofmann らによって提唱されました。PBTは,「新しい心理療法の1つ」ではなく,「星の数ほどある心理療法を整理し,目の前のクライエントに合わせて有効活用するための枠組み」として位置づけられています。臨床ケースの「個別性(多様性)」と研究ベースの「エビデンス」の両方を大事にし,心理療法を1つ先のステップに進めることが,PBTの目指すところです。
このPBTについては,英語では解説書や学術論文が次々と出版されています。しかし,日本語では解説論文がいくつか出版されているのみで,PBTの全容を理解するのは困難な状況にあります。
そこでこの勉強会では,2021年末に出版された "Learning Process-Based Therapy" の読書会をまず開催します。この書籍を輪読し,PBTの理論的基盤を理解し,臨床実践と研究活動の双方に与える示唆や今後の課題について議論していきます。
「ゆくゆくは,読書会にとどまらず,日本でPBTに興味を持つ人同士が活発に交流できる場にしてきたい」という思いもありますが,初めから手を広げると収拾がつかなくなるので,当面は「"Learning Process-Based Therapy" の読書会をやるためのコミュニティ」として運営していきます。この記事を読んで「参加したい!」と思っていただけた方は,ぜひお気軽にご参加ください。
開催の頻度・時期・形態
「勉強会の設立趣旨」で述べたように,当面は "Learning Process-Based Therapy" の読書会として,以下のような頻度・時期・形態で運営していきます。
・月1回の頻度で2時間程度,ZoomなどのWeb会議システム上で開催する
・全13章ある本のうち,2~3章ずつを各回で学んでいく
・初回は3月に開催し,最終回 (第6回) は8月に開催する
初回(3月)の日程・発表者など
初回は3月23日(水)に実施します。発表者は,以下の2名となります。
Chapter 1. Rethinking Clinical Science and Practice
菅原 大地 (筑波大学)
Chapter 2. The Network Approach
樫原 潤 (東洋大学)
参加条件
以下の参加条件をすべて満たせる方のみ参加を受け付けます。「スケジュールの兼ね合いですべての回には参加できない」という方でも,参加条件をすべて満たす方であれば歓迎いたします。
・他の参加者と,フラットかつ友好的な態度で交流できる
・臨床心理学やその近接分野について院生レベルの基礎知識があり,理論的なところの議論についていける
・"Learning Process-Based Therapy" の本を自分で買って用意できる
・必ず1回は発表を担当する
・受動的にテキストの内容を学ぶだけではなく,自分の研究等と絡めた発展的な議論を展開できる
発表負担と,発表資料の後日公開について
自分の担当章 (15ページ程度) 1章分について,スライド形式のレジュメを事前にまとめ,会の当日に発表していただきます。レジュメには,担当章の内容の要約と,ご自身の研究等と絡めたアイデアや疑問をまとめてください。
当日は,「1章につき,発表20分・質疑20分」という時間配分を想定していますが,あくまで目安なので,逸脱しても構いません。参加者同士で自由に気兼ねなく,脱線気味の内容も含めて議論できる雰囲気を大事にしたいと考えています。
なお,勉強会の参加者が多くなった場合には,「1つの章を複数人で担当していただく」「レジュメ発表ではなく,当日のディスカッションを要約して感想を加えた記事を作成していただく」といったことをお願いする予定です。
また,ご作成いただいた発表資料は,SlideShare や note などの媒体を通じてWeb上に後日アップさせていただく予定です。より多くの人にPBTに興味を持ってもらうため,制限をかげずに一般公開できればと考えています。もし「公開範囲を限定したい」といったご意向の方がいらっしゃれば,参加後にご相談ください。
(2022/03/11追記,2022/04/20加筆修正)
第2回 (4月) 以降についても,すべて発表者を確定しました。これから新規にご参加いただく方には,「レジュメ発表ではなく,感想記事を作成する」ということでお願いします。あらかじめご了承ください。第2回以降の日程については,Slackグループの中でお知らせしています。毎月下旬に開催する予定です。
参加方法
ビジネスコミュニケーションツール Slack のグループを作成したので,下記のリンクから手続きをしてご参加ください。「Slack グループへの参加」をもって「勉強会への参加」とします。
「Process-Based Therapy 勉強会」へのご参加はこちらから
発表日程の調整や諸連絡などは,Slack グループの中で随時行っていきます。「参加の意志は固まったが,細かい部分で質問がある」という場合には,Slack グループの中でご質問ください。「参加するかどうか決めかねているので,事前に質問したい」という場合には,運営責任者にメールでご質問ください。
運営責任者
菅原 大地(筑波大学)
sugawara [at] human.tsukuba.ac.jp
樫原 潤(東洋大学)
kashihara [at] toyo.jp
付記
Process-Based Therapy 勉強会は,下記の科研費課題の一環として運営されています。
若手研究 「認知行動療法アプリケーションの開発とテーラメイド化の試み」 研究課題番号:20K14215 研究代表者:菅原 大地 研究期間:2020年4月~2023年3月
学術変革領域研究(B) 「ネットワーク解析による心理療法の高精細な作用機序の解明」 研究課題番号:21H05068 研究代表者:樫原 潤 研究期間:2021年8月~2024年3月