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地政学リスクの全体像の整理 by三菱UFJリサーチを読んで来年の世界と資本主義ルールについて思ったこと

日頃見ているニュースがどのようにつながっているか。アメリカ大統領選、米中の競争、ウクライナ、パレスチナ問題、台湾有事などについてまとめ、さらにグローバル・サウスと言われる第三世界やEUなど各地域の米中へのスタンスもカバーしていてとても面白かったので紹介します。

パワーポイントの直リンクは以下

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2024/05/report_240528_01.pdf

個人的に印象に残った点は2つほど。

1. アメリカ大統領選後の世界は暗いか、現状維持

現状ニュースでも取り上げられている通りバイデン氏かトランプ氏しか選択肢はないことが改めてまとめられていました。

・トランプ氏が再選したら、ウクライナ支援やめたりイスラエルを100%支持したり、温暖化の取り組みやNATOから脱退しちゃったりするし、中国には関税を60%かけると公言しているので世界は景気が悪くなるし大混乱するという話
・かといってバイデン氏再選となっても現状の世界からあまり変化はない

ということ。もちろん政治的にも経済的にもバイデンさんの方が、まだ安定方向でしょうけど、希望の光が未来を照らす!って感じではないよね・・

2.アメリカが競争相手国に対して取るスタンス:「ルールを変えて相手を抑える」


アメリカは、中国の経済規模や先端技術、軍備増強、人権抑圧などを「看過できない」と言って、人権抑圧について非難コメントを出したり、中国が半導体を作るための材料を中国に輸出しないよう規制(日本にも同調を求めている)したり、ファーウェイの携帯を輸入禁止にしたりしていますが、今回のレポートにアメリカのサリバン補佐官の論文が紹介されていて、アメリカ政府のスタンスがまとめられていました。

「米中は競争関係にあるが、米ソ冷戦と異なり経済的に相互依存している」
だから、関税を高くしたり規制をつくったりしながら、「小さな庭と高いフェンス」をつくり、競争を管理するのがアメリカの考え。この為に
「ハイレベルで継続的対話」を続けていくそうで、事実バイデンさんと習近平さんで年に1回から3回はに電話会議や対面など直接対話をしています。

これを見て思ったのは、日本も過去に半導体や車でアメリカと貿易摩擦になった時、アメリカは関税や規制で日本を阻んだよね~ということ。
1980年代、日本が戦後安く品質の良い車や半導体を輸出して、アメリカで工場が閉鎖されたりレイオフが増えたりして日本への反感が高まり、日本人とまちがえられた中国の人がアメリカで殺されたりしました。詳しくは内閣府のHPにも資料が載っています

https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/prj/sbubble/history/history_01/analysis_01_01_04.pdf

対応を迫られたアメリカ政府は、日本からの車に高い関税をかけたり、日本政府には逆に「アメリカ製品をもっと輸入するために関税を下げろ」と迫ったりしました。
今の中国と違うのは、アメリカは日本に「自主的に輸出制限する」という方法を取らせたこと。
アメリカの車メーカー、ビッグ3の主力製品だった大型車は輸出せず、小型車だけを輸出するという期間が長く続いた。
トヨタなどがアメリカで現地生産をするきっかけにもなったし、車メーカーについてはグローバルで経営基盤が安定する結果にはなっているけど、半導体についてはアメリカで高い価格設定や技術移転を求められたり、足かせをはめられている間に1990年代の韓国・台湾の台頭、インテルの台頭
につながったと言える。今になって、台湾有事に備えろとアメリカに促され、台湾TMSCと合弁会社を設立しているし・・

結局「自国にとって脅威になるとルールを変更する」というのが資本主義で運営される政治のあり方だよね~、と思いました。

もちろん、それは民主主義に基づく政治の運営方法ともつながっていて、現在ニュースで目にするような事態につながっているのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。

それでは 良い一日を~


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