メキシコでカード犯罪に遭った話
前回記事で紹介した、マヤ遺跡「チチェン・イツァ」を訪問したメキシコ旅行…
メキシコでは、ユカタン半島のカンクンを拠点に、古代遺跡チチェン・イツァ、小さなリゾートタウン・プラヤデルカルメンを周遊してきました。
訪問時期は、2013年9月の終わりでした。
壮大な遺跡やビーチリゾートの素敵な景色を見て大変満足しましたが、初めての中南米訪問となったこの旅行では、戸惑うことも多々ありました。
当時メキシコでは、日本のクレジットカードを受け付けてくれないATMが時々ありました。
現地では両替所やホテルのスタッフですら英語が通じないことがあり、私もスペイン語が話せないため、たびたびコミュニケーションには苦労しました。
メキシコはアメリカにも負けないチップ文化がガッツリ根付いていて、店員にたびたびチップを請求されたのは辟易しました...…
チップは社会のシステムだから仕方ないとして、相手から請求されるのは日本人の感覚では抵抗があります。
さらに時期的にハリケーン襲来の懸念や、治安面での不安も若干ありました。
(カンクンは、メキシコ内では比較的治安が良いと言われています)
よって、特に怖い目に遭うこともなく無事に帰って来たときは、心の底からホッとしました。
これを期に、今後はもっと中南米にも足を運びたいと思っていました。
が、この時、私はまだ気付いてなかったのです。
自分が既に、ある「犯罪」に巻き込まれていたことに...…
あれ?!カード請求明細がおかしい?
メキシコから帰って間もなく、クレジットカードの請求明細をチェックしてみました。
旅行後は特に、クレカ使用明細は厳重にチェックしなければなりません。
明細をチェックすることで、旅行でどのくらいの金額を費やしたかの確認ができます。
私はオンラインで請求明細を開きましたが、明細表全体を見たとき、あれ、随時多いな?という印象を受けました。
トータル請求額も予想以上に大きくて、一瞬ぶっ飛びそうになりました。
もちろん旅費だけでなく、日本国内での使用分や、携帯料金等毎月の引き落とし額も含んでいるのですが、だとしてもこんなに使ったかな?と怪訝さが頭をよぎりました。
そこで明細を細かく見ていくと、キャッシング額が何度かに渡って請求されているのがわかりました。
こんなに下ろしたっけ?
というのも、現地ATMは日本のクレカを使用できない機械があり、下ろそうと試みて失敗したことも何度かあったからです。
まさか現金は下ろせなかったのに、請求だけ上がってきたわけじゃないよな!?
そして「キャッシング」の日付を見て、私は愕然としました。
「これって、私が日本へ帰った後の日付じゃん!?」
なんと、日本帰国後の日付で、3,000ペソずつ2回に分けて引き出されていたのです!
そう、これは紛れもなく不正利用。
知らぬ間に、何者かにカード情報を盗まれ使用されていたのです!
カード会社側と話す
「すみません、カードに身に覚えがない請求があるんですけど...…」
私は早速、カード会社に連絡しました。
動揺を抑えながら、スタッフに事情を説明します。
JUNJUN 「…というわけで、現地時間の10/1に出国したのに、10/4付で3,000ペソずつ2回引き出されているんです」
(1ペソは当時のレートで約8円)
スタッフ「わかりました。不正利用の分についてはこれから調査に入ります。調査の結果、お客様が使われたたものでないと証明できれば保証の対象となります」
私が使ったものでないと証明って、どうやって?
じゃあ、それが証明できなかったら?
JUNJUN 「そもそも、どうやってカード情報って盗まれるんでしょうか?カードはずっと手元にあったはずだし、覚えがないんです」
スタッフ「そうですね、ATMを捜査中に盗み見されるとか……カード犯罪も年々巧妙化してますから」
JUNJUN「カード情報と暗証番号の双方が盗まれないと使えないはずですよね?」
スタッフ「さようでございます」
確か現地ATMで下ろそうとしてできなかった時、近くにいた人に助けを求めたな?
その時暗証番号を見られたろうか?
ただ、カード自体はずっと私が持ってたし...…
その時は、後で調査部門のスタッフから連絡させますと言われ、通話を終えました。
調査開始とある疑惑
調査部門のスタッフと話せたのは、1~2日後のことでした。
調査部門の人は、「とりあえず不当な請求分を私の方で止めます」と言いました。
これで不正利用分については、支払う必要はなくなりました。
そして、調査に入るにあたって、パスポートの全ページをコピーして送るよう指示してきました。
パスポートの出入国スタンプの押されているページを、空白のページ含めて全てコピーしろと言うのです。
これは、不正利用のあった日に、私が確実にメキシコ外へ出ていたことの証拠とするためでしょう。
調査の結果、私が引き出したものではないと証明できれば保険の対象になると調査スタッフは言いました。
なお、調査完了まで2~3ヵ月かかるとのことでした。
JUNJUN「カード情報って、こんなに簡単に盗まれるものでしょうか?カードはずっと私が持ってたし、一流の店やホテルでしかカードは使ってないはずなんです」
私は、なおも納得せず問いかけました。
地球の歩き方にも「メキシコはカード犯罪が多い」と明記されていたので、怪しい店ではカード使用を避けていたのです。
調査スタッフ「一流の店でも中に悪い人がいて、単独で犯行に及ぶこともありますからね」
スタッフの応えは、至極もっともなものでした。
私は電話を終え、言われた通りにパスポートの全ページコピーを取って送りました。
当のカードは、当然止めることになりました。
新しいカードが届くまで1週間かかりますが、その間は一切カードが使えません。
新カードが届き次第、カードで月額支払いを行っている機関には変更手続きをとらなければなりません。
犯人のせいで、とんだ不便と手間を強いられることになりました(怒)
「一流の店でも中に悪い人がいて、単独で犯行に及ぶこともある」
調査スタッフに言われた言葉から、私の中にある疑惑が沸いてきました。
そう、あれは、チチェン・イツァで滞在した「マヤランドホテル」でのことでした...…
「マヤランドホテル」のレストランにて
冒頭の過去記事リンクの中でも紹介している、古代遺跡チチェン・イツァに隣接する高級ホテル。
それがマヤランドホテルです。
広大なホテルの敷地には、プール、スパ、レストラン等、宿泊客が楽しむための施設が揃っていました。
チチェン・イツァに滞在したその日、私はホテルのビュッフェ・レストランに、ランチを食べに来ていました。
レストランの豊富なメニューと開放的な雰囲気に、私はすっかり満足していました。
デザートまでたっぷり堪能すると、私はお会計を済まそうと店員を呼びます。
伝票を持ってきたウェイターに、私はカードで支払いたいと伝えました。
するとウェイターは私のカードを手に取り、店の奥に消えて行ったのです。
あれ、カードってどこで切るの?
暗証番号は入れなくていいの?
数分後、ウェイターは同僚と二人で出てきました。
同僚の方がカードを切るマシンを持っています。
私のカードを返すと、彼はマシンにカードを通すように言いました。
なんだ、結局ここで切るのか。
こうして、カード支払い手続きを完了させました…
...…そう、旅行中唯一カードを手放したのはこの瞬間でした。
あのウェイターが限りなく黒に近い!
奴はまんまと私のカードを店の裏へ持ち去り、ちゃっかりスキミングしてきたに違いありません。
完全に私の不覚でした。
これが街中の居酒屋だったらもう少し警戒したでしょうが、高級ホテルの中のレストランだったので、すっかり油断してみすみすカードを渡してしまいました。
きっとカードの支払い処理をしているとき、しっかり暗証番号も盗み見ていたのでしょう。
あのホスピタリティーの高いホテルスタッフの中に、まさか犯罪者がいたなんて...…
メキシコは、なんて油断ならない国なんだ……
メキシコで見た絶景も神秘的な遺跡も、私の中で全て色褪せて行く気がしました。
その後のこと
その年の年末、カード会社から無事調査が終わり、保険が下りましたとの連絡がありました。
私の損害は、実質ゼロということになりました。
対応してくれたカード会社スタッフには感謝です。
あれ以来、カードで支払う時はいかなる場合でも、目の前で処理してもらうよう心がけています。
事が終わって落ち着いてくると、メキシコの犯罪は犯罪として、絶景や遺跡の素晴らしさは少しも変わらないと思えるようになりました。
メキシコ及び中南米諸国は、治安に難があるものの大変魅力的なので、リスクを負う覚悟ができたらまた行ってみたいと思っていますが、まだ行けていません(笑)
最後に、当のマヤランドホテルについてもう一つだけ。
この時ホテル宿泊代もカードで支払ったのですが、ホテル側から宿泊費とは別に謎の請求が上がってきていました。
日本円で千円程度の額でしたが、何の料金か記載がなく、私も覚えのない請求でした。
例の調査スタッフに、それも併せて問い合わせたのですが、「それについてはホテル側に直接照会を入れてみます」とのことでした。
後日スタッフから連絡があり、
「ホテル側から期日まで回答がなかったので、規定により返金されます」と、謎の請求分は無事カードに返金されました。
あれは一体何の金額だったのか、いまだにわかりません。
素敵なホテルだっただけに、最後にミソが着いた形になって残念です。
皆さんも海外でカードを使用する際は、くれぐれもご注意ください。
もし身に覚えのない請求があったら、すぐにカード会社へ連絡してください。
不正利用は、すぐに連絡すれば大抵保証が効くはずです。
万が一に備えて、キャッシング枠を必要最低限まで下げておくのも一つの手ですね。