夏の風物詩、高速道路の渋滞とサンデードライバー
お盆休みになると毎年のことながら高速道路の渋滞が発生する。
昨年、一昨年と行動制限もあったお陰で、例年よりは混雑も少なかった。
しかし、今年は制限も無かったこともあり、人の動きが増えたので、各地で渋滞が発生している。
渋滞が起きると、思うように走れなくなり、それによりイライラする人も増える。
イライラする人が増えれば、運転がワガママになってくる。
その行動が余計に渋滞を引き起こす。
という、負のサイクルを生み出す。
さて、そんな鬱陶しい渋滞であるが、なぜ起こるのであろうか?
単純に言えば、道路のキャパシティに対して、走行する車が多いと起きる。
ただ、同じ交通量でも運転手の動作一つで混雑度合いが変わってくる。
中でも、サンデードライバーと呼ばれる運転に不慣れで休みの日だけ乗るような人が現れると俄然渋滞のリスクが高まるのである。
サンデードライバーの行動の特徴
1)重力に逆らえない
2)車線変更ができず、いつまでも右車線を走る
3)抜かされそうになると、意地を張って加速したがる
4)空気が読めない
個人差はあるものの、おおむね上記5つの項目が特徴として挙げられる。
1)重力に逆らえない
基本的に速度を保とうとしていないので、アクセルを一定で走り続ける傾向がある。
そのため、登り坂で失速し、下り坂で速度を出し過ぎてしまう。
重力に逆らわずに走ってしまうのである。
こういうドライバーの直後を走らされると、登り坂の度に車間が詰まって減速を余儀なくされる。
例えば80キロで走っていたとして、登り坂で70キロまで失速したと思ったら、次の下り坂で90キロまで加速…という状態を繰り返すのである。
後ろの車もそれに釣られて加減速を余儀なくされ、交通量が増えてくると、登り坂での失速が起因となって渋滞が発生するのである。
一番厄介なのは、その時サンデードライバーは先頭を走っているわけであるから、自分が渋滞の原因を作っているという自覚が無いことである。
2)車線変更ができず、いつまでも右車線を走る
高速道路の渋滞の根本原因はここにあると言っても過言ではない、いつまでも右車線を走るという行為。
自分が悪いと思っていない人々は、
と思っている。
しかし、道路交通法には、キープレフトといい、基本的には左車線を走行し、追い越す場合は右車線を走行してよいとされており、右車線をずっと走るのも違反行為に該当する。
また、後方から速い車が来た場合には進路を譲ることというのも定義されており、後ろにいる速い車をブロックしつづけるのも違反行為に該当する。
自車の後ろに数台車が連なって走っている時点で、すでに後続車の流れを塞き止めているわけであり、すぐに左車線に戻るべきである。
しかし、左車線に自車より遅い車両がいると、十分に車間の取れる空間があっても延々と右車線を走り続けるのである。
一旦左車線に行き後続車を先に行かせてから、また右車線に戻れば、全員自分のペースを保ちながら平和に解決できる。
にも関わらず、『俺は間違っていない』というスタンスで右車線で後続車を引き連れながら走り続ける。
後続車も人それぞれであるから、『仕方がない』と思いながら素直に後ろをついていく人もいれば、『譲れコノヤロー』と苛立ちを隠せずに運転している人もいる。
そして、それが積み重なることで、我慢の限界となり、いつまでも譲らない車両に煽るような行為を始める。
最近になって煽り運転は厳罰化され、問題視されるようになってきたが、実際のところその要因を作っているのは、こういうサンデードライバーのちょっとした行為だったりする。
一旦左車線に戻れば何の問題も起きないのに、それができずに後ろの車をイライラさせ、少し煽られたら『煽り運転だー!!』と声を荒げて叫ぶ。
煽り運転も問題ではあるが、それを誘発する運転も問題視してほしいと思う。
さらに、この右車線走り続ける状態に1)の重力に逆らえないが合わさると事態は深刻化する。
ただえさえ、後続車を引き連れている状態で、坂の度に速度が上下に変動する。
後続車は完全に自分のペースを乱され、余計な加減速を要求されてしまう。そして、その加減速が後ろの車に伝言ゲームのように伝わることで、イモムシ現象が始まり、結果、そこから渋滞が引き起こされる。
3)抜かされそうになると、意地を張って加速したがる
例えば110キロで走っていて、100キロで走っている車に追いついた状況で話をすると…
・追い越しをかけるために右車線に移動する
・そのままの速度を維持して横に並びかけると何故か加速して並走状態になる。
・こちらも追い越ししたいからさらに加速する。
・それでも負けじと加速する。
・120キロまで思いっきり加速して一気に抜き、左車線に戻る。
・速度を戻しながらバックミラーを見ると、どんどん車間が離れていく。
・試しに100キロまで落としても、さらに車間が離れていく。
そのままの速度で走っていてくれれば、こちらも無駄な加速が不要となるのに…
抜かされた後にそれまで以下の速度で走るのであれば、何故素直に抜かせてくれないのだろうか?
今だに理解不能なのであるが、おそらく無駄にプライドが高く、抜かされそうになると防衛本能が働いているのだと思う。
乗用車の場合は、思いっきり加速という手段が使えるが、トラックの場合そうはいかない。
90キロで走行しているトラックが、それより遅い乗用車を抜くために右車線に出てきてしまい、その時にこれをやられると、かなり長い時間並走状態が続く。
しかも90キロ程度の速度のため、後ろにはどんどん車が詰まってしまう。
こういう運転も渋滞の要因の一つである。
4)空気が読めない
総じて言えることであるが、無駄にプライドが高いことと、周りの状況把握ができないことが重なり、基本的に空気が読めない行動が多い。
それゆえに知らず知らずのうちに後ろに車の列を作り、それが起因となり渋滞を発生させる。
それも、無駄なプライドが生み出す思考回路だと思う。
素直に一回左車線に入れば、全ての人がそれぞれのペースで走れるため、何の問題も発生しない。
交通ルールを守るのもマナー、譲り合いをするのもマナー。
クレバーな譲り合いができる人間が美しいしカッコいい。
なによりも、こういう譲り合いこそが煽り運転を無くすために大切な行動だと思う。