【36.映画れびゅ~】"Bombshell"~日本も他人事じゃない!~
先週の記事で、現在公開中の『プロミシング・ヤング・ウーマン』を紹介させてもらいました。
この記事において男性の女性蔑視的な意識のことについて触れたのですが、そのことに関連した映画をもう一つ思い出したので今週はそちらを紹介させていただこうかと思います。
その映画は"Bombshell"。
2019年公開で、アカデミー賞で日本人メイクアップアーティストのカズ・ヒロさんが2回目のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を本作で受賞したことで日本でも話題にもなりました。
あらすじ
実際のFOXニュースのスキャンダルを映画化
この映画は、2016年に実際に起きたFOXニュースに対するセクハラ被害の告発が題材となっています。
2016年の社会問題が3年後に映画化されるなんて、やはりアメリカ映画はすごいですね。しかも登場人物の多くは実名使用。
日本ではありえませんよ…。
そんな本作では、先週の『プロミシング・ヤング・ウーマン』でも取り上げた”女性のモノ化”という男性による女性に対する支配の意識が大きくフォーカスされています。
”女性のモノ化”とは、簡単に言えば「女性を人として扱わず、性的対象としか捉えていない」ことを言います。
歴史的に男性が女性より権力を持ってきたためにできてしまった意識といえるでしょう。
こういった意識が前面に本作で描かれています。
FOXニュースのセクハラ問題の根源となったロジャー・エイルズを始め、FOX局内の他の社員やドナルド・トランプ前大統領らによる言動を通して、その”女性のモノ化”の側面が劇中で強調されます。
"Blond Bombshell"
そういった”女性のモノ化”に対抗する女性たちの姿が描かれる本作。
邦題は『スキャンダル』ですが、原題の"Bombshell"という単語にはその”女性のモノ化”と関連した深い意味合いがあるように思われます。
"Bombshell"という単語には「内部告発」という意味があるととも、「金髪の美人」という意味もあります。
これは昔のハリウッド映画でよく用いられた意味合いで、1950年代くらいに活躍した女優はよく"Blond Bombshell"という愛称で呼ばれました。
馴染みのある女優で言うと、マリリン・モンローがそうでした。
こういった"Blond Bombshell"と呼ばれる女優たちは、映画内でおバカなキャラクターを演じさせられることが多かったといわれています。
それは男性にとってそういった女性が理想的だと思われていたからで、またそういった映画によって女性はそうあるべきだという意識を社会に植え付けさせたと考えられています。
それゆえ「”女性のモノ化”を助長した側面が映画にはある」と現代において指摘されています。
しかし本作"Bombshell"の登場する"Blond Bomshell"は、おバカなんかではありません。
確かにシャリーズ・セロンやニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーといったハリウッド屈指の美人が金髪になって登場しますが、彼女たちは男性によるモノ化に抵抗する女性の強さを象徴します。
こういったことから本作には、かつてセックスシンボルとして女性を扱ったハリウッドに対する復讐としてのメッセージ性もあるのかもしれません。
日本も他人事ではない
このようなセクハラ事件は、決して対岸の火事とは言えません。
特にこの作品を観てフラッシュバックしたのが、DAYS JAPANのセクハラ問題。
あくまで私の個人的な意見ですが、こういったものは氷山の一角に過ぎないと思います。
声をあげることが難しかったり、仕方ないと諦めてしまったりということもあるのではないかと思います。
こういった問題を解決するためには、まず男性側から考えを改めるべきです。
”女性のモノ化”は無意識的な根付いている部分があり、そういった部分を見つめ直して意識を変えていくことを私はこの記事で発信できればと思います。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、映画音楽に注目したドキュメンタリー映画"SCORE: A Film Music Documentary"について語っています。