『八日目の蟬』(2011)は、角田光代のベストセラー小説を映画化した作品。
日本アカデミー賞において、最優秀作品賞や最優秀監督賞を含む最優秀賞10冠を達成しました。
あらすじ
とにかく泣ける
高校生の頃、私は本作の原作である角田光代著作『八日目の蟬』を読み、その際に映画も見ました。原作を読んでいたので結末を承知して見たのですが、映画のシーンシーンで号泣したのを覚えています。
そして最近、5年越しに2度目の鑑賞しました。そして…
まぁ~、泣きました。
ホントに泣きました。何なら予告編を見返すだけでもウルっと来ます。
この映画は原作読んだからとか、前に1回見たからとか、関係ないです。結末を知っているからこそ感情に来るシーンがたくさんあり、なんなら原作読んでから見るのを強くお勧めしたいです。
俳優陣、圧巻の演技
そんな私の涙腺を崩壊させた本作は、その年度の日本映画賞レースを総なめにしました。
そのなかでも特に本作で圧巻なのが、出演する俳優陣の演技力。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した井上真央もさることながら、同賞最優秀助演女優賞を受賞した永作博美が本当にすごかった。娘への目一杯の愛情を注ぐ優しい母である反面、自分が誘拐犯となってしまっているという拭いきれない不安感も表され、胸にグッとくるシーンの連続でした。
また小池栄子、森口瑤子、田中哲司、余貴美子なども名演。それぞれ素晴らしかったですが、個人的には余貴美子さんの独特の存在感が強烈でした。
"lovely" / Billie Eilish & Khalid
この映画を見た後に、ふと聞きたくなった曲があります。
それは、ビリー・アイリッシュ&カリードの"lovely"です。
『八日目の蟬』自体の主題歌は、中島美嘉の"Dear"。作詞家の杉山勝彦が映画のために書き下ろした曲で、映画と親和性が高い名曲です。
しかし、この"lovely"もかなり映画とマッチします。気のせいでは済まされないくらいのレベルで、歌詞がこの映画のことを語っているように感じられるんですね。
"lovely"の和訳はこんな感じです。
本当に「救いようのない物語」か?
最後にですが、一般の方が書かれたこの映画のレビューの中に”救いようのない物語”と題されたものが多く目につきました。強く否定はしませんが、個人的には”救いようのない”と言い切っていいのだろうかと思ってしまいます。
本作の映画のラストシーンと原作のラストシーンは少し異なっているのですが、どちらも知っている私としてはどちらもある種の希望のようなものを表しているように思えました。原作者の角田光代と監督の成島出は、どのような思いを込めてラストシーンを描いたのでしょうか。
”救いようのなさ”か、それとも…?
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