星の王子様 読書記録 第9節 旅立ち そして薔薇との別れ
2005年に星の王子様の著作権は切れました。ここは私のフランス語学習の場であるとともに、文学を学ぶ場でありんす。
🌈訳
僕は、彼が脱走のために渡り鳥の群れを利用したのだと思う。出発の朝、彼は惑星をしっかりと整頓した。念入りに活火山の煤を払った。彼は二つの活火山を持っていた。そしてそれは朝ご飯を温めるのに便利だった。彼は休火山も一つ持っていた。もし十分にすす払いをすれば、火山は爆発することなく、ゆっくりと規則的に火を噴く。火山の爆発は、煙突の煙火のようだ。もちろん、我々の地球上では、火山の煤を払うには、私たちはあまりにも小さすぎる。そういうわけで、それは大変不都合だ。
🌈単語
✅activité
女性名詞 (個人、社会の)活動、営み
活発さ、活気、活力
✅brûlent
◇brûlerの現在形第3人称複数形
①・・・を焼く、燃やす
②・・・を焦がす、やけどさせる
③[燃料など]を燃やす、消費する
④[食品]をいる、ほうじる
⑤・・・を爆発させる
▽自動詞
①燃える、焼ける;焦げる
②[電灯などが]ともる;つく
✅commode
♢形容詞
①便利な、好都合の、適した
✅chauffer
①温める、熱する;暖房する
✅éruptions
♢女性名詞
①噴火
✅éteint
♢éteindreの過去分詞
①[火、あかりなどが]消えた;[場所が]明かりが消えた;[光熱器具、電気器具が]消してある、スイッチを切った
✅ennuis
♢男性名詞 ennuiの複数形
①退屈
✅évasion
♢女性名詞
①脱走、脱獄
✅évidemment
♢副詞
もちろん、当然に
évidement(くり抜くこと と非常に似ているので注意)
✅feux
♢feuの複数形 男性名詞
①火;暖炉の火;焚火
⑥花火、煙火
✅migration
♢女性名詞
①移住、移民;(通勤、休暇、季節労働などによる人々の)移動
(生物集団の)移動、(水産動物の)回遊、(鳥の)渡り
✅mit
♢mettreの過去分詞
✅oiseaux
♢男性名詞 oiseauの複数形
①鳥;((複数で))鳥類
✅ordre
♢男性名詞
①順番、順序、序列
②整然とした配置、整理、整頓
✅profita
♢profiterの単純過去 第3人称単数形
①・・・を利用する、から利益を得る、で得をする、もうける
②・・・の善意を乱用する、に付け入る
✅possédait
♢posséder の直接法第3人称半過去形
①・・・を所有する、持つ
②・・・を熟知する、に精通する、を身に着けている
✅ramona
♢ramonerの直接法第3人称単純過去
①[煙突、管など]の煤を掃除する;[パイプ」の掃除をする
✅régulièrement
♢副詞
①正式に、合法的に
②規則正しく、一定して
✅sauvages
♢形容詞
①[動物が]野生の;人になつかない
②[植物が]野生の、自生の
✅soigneusement
♢副詞
①念入りに、注意深く、丁寧に
✅volcans
♢volcanの複数形 男性名詞
①火山
✅volcaniques
♢形容詞
①火山の、火山活動の
🌈熟語
✅mettre qc en ordre
qcを整理する
✅C'est pourquoi + ind
それゆえに・・・、だから
🌈語法
✅ennui
複数形の場合 困ったこと 面倒 厄介 不都合 故障という意味を持つ
🌈訳
王子様は少しだけ憂鬱そうに、最後のバオバブの根を引っこ抜いた。彼はここに戻ってこなければならないとは考えなかった。でも王子様にとって馴れしたんだ全ての仕事は、その朝は、とてつもなく楽しいものに思えた。そして、最後に一度、花に水をかけ、ガラス容器の下に覆いをかける準備をしたとき、彼は泣きたい気分になっていることが分かった。
🌈単語
✅arracha
♢arracherの単純過去形
✅arroser
①・・・に水をかける
✅doux
♢形容詞
①甘い、甘口の
②出触りが柔らかい;すべすべした
③心地よい;快適な;温暖な
④緩やかな、穏やかな、適度な
⑤楽しい、うれしい、心和む
✅découvrit
♢découvrirの単純過去第3人称単数形
✅extrêmement
♢副詞
きわめて、非常に
✅envie
♢女性名詞
①欲求、欲望
②生理的欲求
③羨望、うらやましさ;妬み;嫉妬
✅familiers
♢形容詞
①親しい、打ち解けた;なれなれしい
②慣れ親しまれた、馴染みの、習慣となった
✅travaux
♢travailの複数形
✅parurent
♢paraîtreの単純過去形 第3人称複数形
①現れる 姿を見せる
⑤・・・にとって…のように見える、と思われる
✅pleurer
♢自動詞
①泣く、涙を流す;泣き声を出す
🌈代動名詞
✅se découvrir
④自己を知る
⑤自分に…があることがわかる。
🌈訳
<さようなら> 彼は花に言った。
でも彼女は何も答えなかった。
<さようなら。>彼はもう一度言った。
花はせき込んだ。でもそれは風邪のせいではなかった。
<私、馬鹿でしたわ。ついに彼女は彼に言った。私を許してくださいね。
幸せになるようにがんばってね。>
🌈単語
✅rhume
♢男性名詞
風邪、感冒
✅sotte
♢sotの女性形
①愚かな;ばかげた;嘆かわしい
②めんくらった;当惑した
✅tâche
♢tâcherの命令形
…するように努める
🌈訳
彼は叱責がないので驚いた。彼はガラス製の容器を手に持ったまま、全く困惑しているのだった。彼はそのおとなしい沈黙を理解していなかった。
<そうよ。私はあなたが好きなの。>
花は言った。
<私のせいで、あなたはそのことを全く知らなかったわね。そんなことどうでもいいの。でも、あなたも私と同じお馬鹿さんだったわ。お幸せにね。ガラス容器はもういいわ。わたくし、もう必要ないの。>
🌈単語
✅absence
♢女性名詞
①不在、留守;欠席、欠勤、不参加
✅aucune
♢aucunの女性形 不定形容詞
①(否定)(ne,sansとともに)どんな・・・も・・・ない
✅calme
♢男性名詞
①閑静、静寂;沈黙
②(心身の)安らぎ;(国家、社会などの)平穏
③平静、落ち着き
✅déconcerté
♢déconcerterの過去分詞
困惑させる
✅faute
♢女性名詞
①間違い、誤り、ミス
②不手際、失策、へま
✅out
♢副詞 英語
①(テニスで)アウト;ボールがラインの外に出ること
②(ボクシングで)ノックアウト
♢形容詞
①時代遅れの、流行おくれの
(スポーツで)落後[失格、敗退]した
③(テニスで)アウトの
✅reproches
♢男性名詞
①非難、叱責、とがめ
②批判、難点
✅restait
♢resterの直接法第3人称半過去形
▽自動詞
1⃣とどまる
①(同じところに)とどまる、ずっといる
2⃣残る
3⃣非人称構文
①Il reste… (・・・に)・・・が残っている
✅tranquille
♢形容詞
①静かな、穏やかな;落ち着いた、平静な
②[人が]おとなしい、物静かな;じっとしている
🌈熟語
✅en l'air
①空の方に、空に向けて
②根拠のない、いい加減な[に]
③放り出して、めちゃくちゃに
④乱雑に
✅Mais, oui.
Acceptez-vous? --Mais, oui.
「お受けくださいますか?ええ、いいですとも」
✅laisser qn tranquille
・・・をそっとしておく、かまわないでおく
🌈語法
✅absence
~à qcの形はよくないとされる。特に~à+場所は誤用。
✅aucun
(1)古くは、(ne・・・pas~)、または<ne・・・point~>の形も用いられた。
(2)普通aucunは単数形で用いる。複数形は単数形を持たない名詞、または単数と複数では意味の異なる名詞(gagesなど)の前でのみ用いる。
(3)sansと共に用いる時、文章語では否定の意を強めるために名詞のあとに置くことがある。(例:sans pudeur aucune 恥も外聞もなく
sans crainte aucune 何の懸念もなく Vous pouvez payer en quatre fois sans majoration aucune. 割り増し一切なしの4回払いができます。)
✅困惑したシリーズ
déconcerté 予期せぬ事態に直面してなすすべを知らない様子
embarassé 困難やジレンマの前で戸惑う様子
perplexe embarasséと同義だが、改まった表現
confus 自分の過失、不手際に恥じ入る様子
confondu 感謝の念、驚きの気持ちに満たされて口もきけない様子
consterné(> confonduの改まった表現) 悲しみなどによる茫然自失の様子
désemparé 手詰まりの状態になり途方に暮れる様子
démonté(>déconcerté、désemparé)再起不能なほど混乱した状態
🌈訳
<でも風が・・・>
<そんなに風邪なんて引いてないの・・・夜の新鮮な空気が私の体にはいいの。私は花だもの。>
<でも虫が・・・>
<もしちょうちょとお知り合いになりたいのであれば、2~3匹の毛虫は我慢しなければいけません。とっても美しいそうよ。>
🌈単語
✅bête
♢女性名詞
①(人間以外の)動物;獣、禽獣;家畜
②虫、昆虫;害虫
③けだもののような人間
✅chenilles
♢女性名詞
①毛虫、芋虫、青虫
✅enrhumée
♢enhumerの過去分詞
▽形容詞
風邪を引いた
✅supporte
①[重み、圧力など]を支える
②・・・を引き受ける;負担する
③[物が、税、料金など]を課される、受ける
④・・・に耐える、への抵抗力がある、を耐え忍ぶ
⑤・・・を辛抱する、我慢する、甘受する
⑥・・・を認める、許容する、受け入れる
⑦・・・の支えとなる、に土台を提供する;を裏付ける
🌈構文
✅si + 形容詞、副詞+que
非常に・・・なので・・・である。
✅Il paraît +que + ind
・・・だそうだ。といううわさだ。
🌈訳
そして彼女は無邪気に4つの棘を見せていた。それから彼女はこうも言った。そんなにいつまでも引きずってないで。いらいらするわ。あなたは出ていくと決めたのよ。行っておしまいなさい。
彼女は彼に泣いているところを見せたくなかった。とてもプライドの高い花だった。
🌈単語
✅traîner
♢他動詞
①・・・を引く、引っ張る、引きずる
②・・・を肌身から離さない
③
④[病気]をなかなか克服できない;長く患う
⑤[つらいこと]に長く耐える;[過去の過ち]をいつまでも背負う
⑥・・・を長引かせる、引き伸ばす
✅vît
♢voirの直接法半過去形第3人称
✅orgueilleuse
♢形容詞
①傲慢な、思い上がった、うぬぼれた
🌈見る 見えるシリーズ
✅voir, regarde
一般的
✅apercevoir, entrevoir
かすかに、または一瞬ちらりと見ること
✅remarquer, distinguer
やや改まった表現
はっきりと見分ける事
✅percevoir
改まった表現
はっきりと見分ける事
✅discerner
改まった表現
はっきりと見分ける事
✅文学 解説
王子様はとうとう星を出ていくことに決めた。
王子様とバラの別れのシーンである。
ここでは、バラが王子様のことが好きだったという告白をする。
だけれども、そのせいで王子様を苦しめたことを謝っている。
傲慢な存在は、普通は謝らない。最後の最後まで自分は何にも悪いところなんてありませんでしたよ!という風を装うはずだ。
この時、バラは素直な気持ちになっていました。虚栄心は、他者がいるからこそ生まれる欲望です。他人の心の中にある自分に対する情報が、とても栄えている状態を見るからこそ、その心に快楽を覚えるのです。
では、どうしてバラは素直になったのでしょうか。こう考えることもできます。人は死ぬ間際になって、頑固な人間も素直になる、ということがあります。虚栄心というものの死は、周りから虚栄を保つべき人が一人もいなくなることによって訪れます。
しかし、一方で、虚栄の波はなおもバラの心に渦巻いており、好きだと告白したのも、謝ったのも、もうそうすることでしか、王子様の心をつなぎとめることはできないという、最後のあがきであったと言う可能性もあるわけです。
つまり、心からの反省というよりは、虚栄心を保つための譲歩だったと考えることもできます。今までは10000円だったけど、王子様が出ていったら0円になっちゃう。じゃあ、5000円でもいいから残しておきたい。という駆け引きなのですね。
ですが、やはり虚栄心の強さは見上げたもの。あなたと別れるなんてちっとも悲しくない。という態度を装ったり、自分は棘があるからどんな怖い存在がやってきても平気だと言い張ります。
他者の中にこそ自分がいる。他者の中にある価値こそが自分の価値だから、それがまったくなくなることは、大変惜しいのです。彼女は本当は寂しくて仕方がないのです。でも、それを素直に出すことはできないのでした。
プライドについての記事を書きましたが、私はプライドの高い花だった、と訳しました。虚栄心が虚を実であると思わせたい心であるとするならば、プライドは、虚の内部を人に見せたくない、もっと深く言えば、自分自身が虚である自分を本当の自分であると思っていたい心理です。
薔薇の花は、とてつもなく別れを惜しんで泣いている姿を王子様に見せたくない、というのは、薔薇のプライドによるものです。あなたなんていなくったって私は平気!という態度を見せて、素直にならなければという気持ちを、彼女の中の虚栄心が激しく押し返してきていることがよくわかります。
自分の実を相手に見せたくはありません。そうすると、虚栄がなくなってしまいますからね。