星の王子様 読書記録 第8節 薔薇との出会いとその心
星の王子様の著作権は2005年に切れました。ここは私のフランス語学習の場であるとともに、文学を研究する場です。
🌈訳
僕は順調な速さで、より深く、その花のことを学んだ。王子様の星に、場所を全くふさぐわけでもなく、全く誰の邪魔もするわけでもない、花びらがたった一列横に並んでいるだけがとりえの、とても飾り気のない花たちがいつも咲いていた。
その花たちは草の中から、ある朝姿を現した。それから、その晩に姿を消した。しかし、そこでは、どこから運ばれてきたのか誰もわからない種子が、ある日、芽を出した。王子様は、他の小枝とは似ていないその小枝を、とても近くで観察していた。
🌈単語
✅apportée apporterの過去分詞 女性形 ・・・を(・・・に)持ってくる、運んでくる ・・・を与える、提供する ・・・もたらす;生む、引き起こす
✅brindille 女性名詞 小枝、細枝 植物の切れ端、小片
✅dérangeaient déranger 条件法第3人称複数形 の活動を妨げる、を邪魔する、に迷惑をかける
[整頓された物、場所]を乱す、散らかす [計画、習慣など]を狂わせる、乱す [精神」を錯乱させる;[健康]を損ねる [社会通念など]に反する;を混乱させる
✅éteignaient éteindre 条件法第3人称複数形 [火、燃焼物]を消す、消し止める [光熱器具、電気器具]を消す、止める、切る
✅germé germerの過去分詞 発芽する、芽を出す 思想、感情が 芽生える 発生する
✅graine 女性名詞 種子
✅ornées ornerの過去分詞 女性形複数形 ・・・を飾る、装飾する;美化する ・・・を備える
✅pétales 男性名詞 花弁、花びら
✅point 男性名詞 (空間上の)点、地点、場所、箇所 副詞(neとともに)少しも・・・ない (neなしの場合もある) poindreの直接法現在形第3人称単数形;過去分詞
✅surveillé surveillerの過去分詞 ・・・を監視[監督]する、見張る、見守る;警戒する
✅simple 形容詞 単純な、込み入っていない;簡単な、容易な、取り扱いやすい、理解しやすい;(悪い意味で)安易な、雑な
✅tenaient ・・・を持っている、掴んでいる、抱えている、くわえている
✅mieux 副詞 bienの優等比較級 よりよく
✅rang 男性名詞 (横の)列、横列、並び
✅vite 副詞 速く、急速に、素早く、迅速に、急いで、すぐに、早く、やがて、間もなく
🌈語法
✅mieux le meiux 定冠詞が付くと、最上級になる
✅rang 縦の列は、fileが正しいが、誤用で混同されることがある。
🌈訳
それは新種のバオバブかもしれない。でも、その低木はすぐに成長するのをやめた。そして、開花の準備を始めた。王子様は、巨大な蕾のお引越しをサポートした。奇跡的な花が開くことを感じていた。しかし、その花は、美しくなるための準備を終えることはなく、緑の寝室の覆いの中にいた。彼女は色を丁寧に選んでいた。ゆっくりと衣装を着て、花びらを一枚一枚整えていた。彼女は雛罌粟のようにしわしわになって外に出ていきたくはなかった。彼女はその美しさの最大限の輝きの中でだけ姿を現したかった。うん、そう。彼女はとてもおしゃれだった。奇跡的なお化粧は何日も続いた。そしてそれから、ある朝ここに、日の出の時刻ちょうどに、彼女は姿を現した。
🌈単語
✅abri 男性名詞 (危険、悪天候などから身を守る)避難所 (精神的な)保護、よりどころ バラック、掘っ立て小屋 (人や物を一時的に守る)覆い
✅assistait assisterの直接法半過去形第3人称 自動詞・・・に出席する、立ち会う;を見物する、目撃する [状況、変化など]を確認する、に気づく 他動詞 (仕事・職場などで)・・・を助ける、補佐する、手伝う、につきそう。・・・を援助する、救済する、の世話をする
✅apparition 女性名詞 出現、登場;発生 幻、亡霊
✅ajustait ajusterの直接法第3人称半過去形 ・・・を企画に合わせる、調整する; 部品を取り合わせる、はめ合わせる;(銃で)・・・をねらう。
✅bouton 男性名詞 芽、蕾 ボタン ノブ、取っ手;スイッチ 吹き出物、できもの
✅beauté 女性名詞 美しさ、美 見事さ;崇高、高貴 美人 美女
✅cessa やめる、中止する。…するのをやめる。しなくなる。
✅croître 成長する、発育する;育つ、生育する 次第に増していく、増大する
✅chambre 女性名詞 部屋;寝室 寝室用家具、会議所;組合
✅coquelicot 男性名詞 雛罌粟 虞美人草
✅coquette 形容詞 しゃれた 粋な 色っぽい なまめかしい
✅énorme 形容詞(規模・数量・価値などの)並外れた、莫大な、重大な、並外れて大きい、巨大な
✅eh 間投詞 (呼びかけ)おい、ねえ(驚き、喜び、困惑など、話者の感情を示して)えっ、へえ、ま、おや。(次に来る語を強調して)いかにも、もちろん、確かに
✅friper をしわくちゃにする、よれよれにする
✅verte vertの女性形 形容詞 緑の、緑がかった
✅genre 男性名詞 種類 流儀、やり方
✅habiller ・・・に(衣服を)着せる
✅justement 副詞 まさに、ちょうど;だから、だからこそ 正確に;的確に;適切に
✅miraculeuse 形容詞 奇跡の、奇跡による 奇跡を行う;奇跡の行われる、奇跡的な、不思議な
✅montrer ・・・を見せる、示す [隠れているもの]をあらわにする、むき出しにする ・・・を指し示す、指さす [驚き、勇気、感情など]を示す、表す
✅oui 副詞 肯定、賛同 はい、ええ、そうです。
✅préparer ・・・を準備する、用意する、支度する
✅plein いっぱいの、満ちた、満員の いっぱいの量の 中身の詰まった、ふっくらした、放漫な 完全な、十分な
✅rayonnement 男性名詞 放射、輻射;放射線 威光、輝かしい名声;影響力、普及、伝播 輝き、きらめき 晴れやかさ 喜色
✅sentait ・・・sentirの直接法半過去形第3人称 ・・・を感じる ・・・に気づく、・・・を味わう、「感情を」抱く
✅sortirait sortirの条件法第3人称 ⑨芽、歯などが生えてくる
✅soin 男性名詞 入念さ 細心 (きちんとした状態に保つ)心がけ 管理
✅installation 女性名詞 (建物などの)設備、施設 取り付け、据え付け、設置 入居、引っ越し;住まいのスタイル[文章](事象などの)定着、恒常化(安楽な生活、有利な状況に)定住すること
✅voici 前置詞 ここに・・・これがある、これが・・・である
🌈熟語
✅avec soin ていねいに;きちんと;きれいに
✅un à un 一つずつ
🌈代動名詞
✅s'habiller 服を着る、衣服を身に着ける
🌈語法
✅croître 助動詞は、行為を示すときはavoir,状態を示すときは、êtreを用いる。
✅installation 単数形では施設の全体を、複数形ではある全体的な施設の中の個々の設備を指すのが普通。
✅plein pleinはリエゾンの際は非鼻母音化する(plein air - plé)
✅oui 否定疑問に対する肯定の答えはsiを用いる。ouiを用いるのは古い用法または地域語法
✅voici 1 普通、前置詞とされるが、実際には副詞、動詞、指示代名詞などの機能を兼ねる。また提示詞présentatifと呼ばれることもある。
2 原則としてvoiciは話者に近いものや現在あるいはこれからなされること、voilàは話者から遠いものや現在或いはすでになされたことを示したが、現在ではvoiciとvoilaの区別はあいまいになり、特に日常語では、voilàと対比させて用いる場合を除いて、voiciがvoilàにとって代わられる傾向がある。
🌈訳
それから、とても入念に身支度を整えた彼女は、あくびをしながら言った。
<あぁ!やっと目が覚めました。 ごめんなさいね。 まだすごく髪が乱れていて・・・。>
王子様は、それから、感動を抑えきれなかった。
<なんて美しいんだろう!>
<ーーーでしょう?花はやわらかく答えた。
私は太陽と共に生まれたの。>
王子様は彼女がそんなに謙虚ではないことを見抜いたが、彼女はとても感動的だった。
🌈単語
✅admiration 女性名詞 (偉大なもの、美しいものに)すっかり感心すること、感嘆、賛嘆、賛美
✅bâillant bâillerの現在分詞 口を開いた;隙間の開いた あくびをしている
✅contenir ・・・を含む、入れる [容積、面積など]を待つ
・・・を制止する、阻止する 感情を抑える、こらえる
✅devina devinerの第3人称単数形単純過去 ・・・を見抜く、言い当てる、推察する、・・・を漠然と判別する、それと見分ける
✅décoiffée décoifferの過去分詞 女性形 ・・・の髪を乱す [瓶・ポットなどの]栓を抜く
✅émouvante émouvoirの現在分詞 感動的な、心を動かす
✅modeste 形容詞 質素な、つましい、地味な わずかな、謙虚な
✅nés naîtreの過去分詞 複数形 生まれた
✅précision 女性名詞 正確、的確;精度、精密
🌈熟語
✅de précision 正確な
✅avec précision 正確に
✅tant de 無冠詞名詞 おおくの・・・、それほどたくさんの・・・
🌈代動名詞
✅se contenir 自分を抑える 自制する
🌈語法
✅contenir 主語が物の場合・・・を含む、入れる [容積、面積など]を待つ 主語が人の場合 ・・・を制止する、阻止する 感情を抑える、こらえる
🌈訳
<わたくし、朝食の時間だと思いますの。私のことを考えてくださらないかしら。>
王子様は、大変困惑しながらも、新鮮な水の入ったじょうろを探すことができたので、花に水を与えた。
🌈単語
✅ajouté ajouterの過去分詞 付け加える 言い足す。
✅arrosoir 男性名詞 じょうろ;じょうろ1杯
✅ayant avoirの現在分詞
✅bientôt 副詞 やがて、間もなく;近いうちに
✅bonté 女性名詞 善良、優しさ、思いやり;親切、好意
✅confus confondreの過去分詞 複数形 ・・・を混同する、取り違える、・・・を1つにする;ともにする、態度などが・・・を驚愕させる、唖然とさせる、困惑させる。・・・をやりこめる、追い詰める。形容詞 雑然とした、乱雑な;混乱した、不明瞭な
✅déjeuner 男性名詞 昼食
✅fraîche fraisの女性形 形容詞 涼しい ひんやりとした 冷たい 冷えた 新しい 最近の 新鮮な、取り立ての
✅heure 女性名詞 1時間、時間 時、時刻 定刻;(ある特定の)時間
労働[勤務]時間;授業時間 時期、時代、現在、目下
✅penser 考える 思う 思考する
🌈熟語
✅petit déjeuner 朝食
✅penser à ~ ~を思う、思い浮かべる、のことを考える
✅avoir la bonté de inf 親切にも・・・する
🌈文法
✅êtreは助動詞として用いる方法がある。それはしばしば、受動態を作る。その他に、少数の自動詞の複合時制を作る。つまり、avoirの代わりに使われるやつである。
としても、ayant été chercherというのはどういう構造になっているのだろうか。⇒翻訳の苦労話
🌈訳
こうして、彼女は少し気分を害しやすい見栄のために、王子様を苦しめるのだった。例えば、ある日、4つの棘について話をしたとき、彼女は王子様に言った。
<虎たちが爪をもってやってくるかもしれないわ!>
<僕の惑星には虎はいないよ。>
王子様は反論した。
そしてそれから、
<虎は草を食べないよ。>
<私は草じゃありません。>
花は柔らかく答えた。
<ごめんなさい。>
<私、虎は全く怖くありませんの。でも空気の流れが嫌だわ。衝立はもっていませんか?>
<空気の流れが嫌?植物にとっては、ついてないね。王子様は気が付いた。<この花はとても気難しいや。>
<夜は私をガラスの容器に入れてくださいね。あなたのところはとても寒いわ。設備がととのっていないのね。私がやってきたあちらはね・・・。>
🌈単語
✅air 男性名詞 空気 大気 風 空気の流れ
✅crains craindreの直接法現在形第1人称 ・・・を恐れる
✅courants 形容詞courantの複数形 [水が]よどみのない;[読み書きが]流れるような;滑らかな 名詞(水、液体等の)流れ、(空気の)流れ、通風、隙間風 気流
✅compliqué 複雑な、込み入った、分かりにくい 物事を難しく考える;気難しい 男性名詞 込み入ったもの わかりにくいもの
✅chance 女性名詞 成功の可能性 見込み 成算
つき、幸運、僥倖
✅froid 形容詞 冷たい 寒い
✅griffes 女性名詞 griffeの複数形 哺乳類、鳥類、爬虫類の 鉤爪 爪
✅grobe 男性名詞 球体、玉 (球形または半球形の)ガラス製の覆い、ガラス容器;(電球の)グローブ
✅horreur 女性名詞 恐怖;恐怖感 (激しい)嫌悪感、憎悪 破廉恥、卑劣
✅installé installerの過去分詞 形容詞 家具などがすえつけられた。
✅tourmenté tourmenterの過去分詞 動詞 激しい苦痛を与える、をさいなむ ・・・を悩ませる、困らせる;にしつこく付きまとう。形容詞 苦しんでいる 激しい動きの
✅tigres tigreの複数形 男性名詞 トラ
✅objecté objecterの過去分詞 反論する
✅ombrageuse ombrageuxの女性形 気分を害しやすい、怒りっぽい
✅paravent 男性名詞 ついたて、屏風、スクリーン 遮蔽物 隠れ蓑 口実
✅sous 前置詞 (位置・場所)・・・の下に
✅vanité 女性名詞 うぬぼれ;虚栄;見栄
🌈代動名詞
✅s'tourmenter 苦しむ 悩む 悩まし合う、苦しめ合う 苦労する
🌈熟語
être mal installé 設備が整っていない。
しかし、彼女は話を止めた。彼女は種子の形でやってきたのだった。彼女は、他の世界を知ることなんて決してできなかった。それほど世間知らずの嘘を企てていることを見破られていることが恥ずかしくて、王子様に過ちを犯させようとするため、彼女は2,3度ほど咳払いをした。
<衝立は?>
<それを探しに行ったら話かけて来たでしょう!>
それから彼女はやはり王子様に後悔の念を押し付けるために、わざと咳をするのだった。
🌈単語
✅forme 女性名詞 形、外形、形状 (ぼんやりと見える)形、人影、物陰 ((多く複数で))体形、姿形、容姿;(体の)線、輪郭
✅forcé forcerの過去分詞 形容詞 強制された 強いられた、強制的な、不可避の、必然的な、不可抗力の
✅humiliée humilierの過去分詞 ・・・を侮辱する、辱める 形容詞 侮辱された 辱められた
✅surprendre ・・・を現場で取り押さえる、不意を突いて捕まえる;に出くわす ・・・を不意におとずれる ・・・を驚かせる ・・・を見つける 看破する 見つける
✅toussé tousserの過去分詞 咳をする、咳払いをする
✅tort 男性名詞 誤り、間違い;過ち、落ち度 損害、迷惑
✅toux 女性名詞 咳
✅interrompue interrompreの過去分詞 形容詞 中断された
✅infliger ・・・に罰、苦痛などを与える、科する ・・・に・・・を押し付ける
✅mensonge 男性名詞 うそ(をつくこと) 虚言
✅remords 男性名詞 悔恨、後悔;良心の呵責
🌈熟語
✅mettre qn dans son tort ・・・に過ちを犯させる、を誤らせる
✅quand même
(対立) それでもやはり;それにしても
(憤慨、強調)まったく、本当に、やっぱり
🌈代動名詞
✅s'interrompre 中断する、中途でやめる;話を中断する
✅se surprendre 思わず・・・する;…している自分にふと気づく
🌈語法
そうして王子様は、彼の愛情表現に反して、早くも彼女を信用しなくなった。彼はとりとめのない言葉を真面目に受け取った。そして、とても不幸になったのだった。
<僕はそれに耳を傾けてはいけなかったんだ。>ある日、彼は僕に打ち明けた。
<花に耳を傾ける必要は全くない。花を見ること、そして、匂いをかぐことが必要なんだ。僕の花は、僕の惑星をかぐわしい匂いで満たしてくれた。けれども、僕はそれで楽しむことを知らなかった。爪の物語、僕をとってもイライラさせた、僕の心を溶かしてなければならなかったのに・・・。
🌈単語
✅agacé agacerの過去分詞 ・・・をいらだたせる、に不快感を抱かせる 形容詞いらだった;不快な刺激を受けた
✅amour 男性名詞 愛、慈愛、愛情 (異性間の)愛、恋、恋愛
✅attendrir [肉など]を柔らかくする ・・・の同情を誘う、をほろりとさせる;の心を動かす、和らげる
✅confia confierの単純過去形 ・・・を…に任せる ・・・を…に打ち明ける
✅devenu devenirの過去分詞 ・・・になる
✅douté
✅embaumer (香油、乾燥剤、防腐剤などで)[死体]を防腐保存する。
[場所など]を芳香で満たす、かぐわしくする
✅écouter [物音、話、音楽などを]を(注意して)聞く 英語でいうlisten
✅respirer 他動詞 ・・・を吸う;呼吸する;かぐ
✅réjouir ・・・を喜ばす、うれしがらせる
✅malgré 前置詞 ・・・の意に反して、に逆らって …にもかかわらず
✅malheureux 形容詞 不幸な、逆境にある;哀れな、気の毒な 不幸そうな、苦し気な 不運な
✅mots motの複数形 男性名詞 語 単語 表現 言葉
✅volonté 女性名詞 意志、意志力、意欲 意思、意向
🌈代動名詞
✅se réjouir 喜ぶ 楽しむ
🌈訳
彼はまた打ち明けた。
僕はその時それを全く理解していなかったんだ。
僕はその行為を考えるべきで、その言葉を考えるべきではなかった。彼女は僕にかぐわしい匂いをつけてくれたし、僕を明るく照らしてくれた。僕は決して逃げるべきではなかったんだ。かわいそうな悪だくみの後ろにある愛情を見抜かなければならなかった。花はとても矛盾しているんだ。でも僕はその愛を理解するにはとても若すぎたんだ。
🌈単語
✅actes 男性名詞 actの複数形 行為 法律 法律行為 複数で 議事録
✅contradictoires 形容詞contradictoireの複数形 反対の;相反した;矛盾した
✅deviner ・・・を見抜く、言い当てる推察する ・・・を漠然と判別する、それと見分ける 謎を解く
✅derrière 前置詞 ・・・の後ろに、裏に ・・・の背後に 陰に から隠れて 副詞 後ろで、後ろに 名詞 男性名詞 後ろ 後部
✅éclairait éclairerの直接法第3人称半過去形 ・・・を照らす、明るくする
✅tendresse 女性名詞 優しさ、愛情、思いやり 愛情の表現
✅juger ・・・を裁く、裁判する;に判決を下す ・・・を判断する、に判定を下す;を評価する、…と思う ・・・を想像する 考える
✅pauvres pauvreの複数形 形容詞 貧しい、貧乏な
✅ruses ruseの複数形 女性名詞 策略、術策;悪だくみ、手練手管
🌈代動名詞
✅s'enfuir 逃げる、逃亡する [液体、ガスなどが]流れる、漏れる
🌈語法
✅pauvres 多く名詞の後で 貧しい
名詞の前だと、 かわいそうな
🌈翻訳苦労話
✅Et le petit prince, tout confus, ayant été chercher un arrosoir d'eau fraîche, avait servi la fleur.
ayant étéはわかる。でもその次に動詞の不定形が来ているというのは変だ。辞書を調べてみると、être+(de)+infという用法があり、この形が存在していることに気が付いた。
この使い方を見ると、動詞=名詞化になっている。être chercherは、探すこと、という意味と考えることが出来る。でも、これはなんか違う気がする・・・。
現在分詞は、文章の初めに置かれることが多く、節の代わりを務めるけれども、文章の中間や終わりに現れることもあるかもしれない。現在分詞は、その場合はほとんど形容詞として機能し、何かが起きているその時、あるいは、それが発生している元で、その状態を限定する。
だとすれば、ayant été chercher un arrosoir d'eau fraîcheというのは、もし、être chercher un arrosoir d'eau fraîche だったら、
新鮮な水の入ってるじょうろを探すことだ。という訳でもいいだろう。ayant étéになっているということは、やはり現在分詞の影響を受けているはず。それでも腑に落ちないので、avoir + êtreの形の熟語が無いか探してみた。
Ça a été. 唯一、これが目に入った。うまくいった、という意味だ。これは、avoir + êtreの形で、ここに動詞が続くとすれば、探すことがうまくいったので、と言った訳が可能ではないだろうか。従って、
王子様は、全く困惑しながらも、新鮮な水の入ったじょうろを探すことができたので、花に水を与えた。と訳すことができる。
苦労したのでちょっと突っ込んでおくと、どこから持ってきたんだ!と言える。おかげで訳しにくいったらありゃしない。
🌈文学 解説
やっとここまで来ました。星の王子様の第1の山場。バラとの関係です。
読んだ人はこのやろう!と思ったかもしれないバラさんですが、一説によると、サンテグジュペリの奥さんがモチーフだそうです。そして、実際サンテグジュペリは、奥さんとの関係があまりうまくいっていなかったそうなんです。
さて、いろいろと謎をばらまいて行ったバラですが、王子様とバラとの間には一体どのようなことがあったのでしょうか。
バラは産まれた瞬間嘘を言い始めます。
<私は太陽と共に生まれたの。>
そんなわけはありませんね。この言葉をきっかけとして、王子様は花の性格に悪い印象を持ち始めます。私はプライドについての記事を書きましたが、虚栄心も同じ仕組みで動いていて、二つの違いは、成分の違いのようなところがあります。シャンプーとリンスみたいなもんですね。違うか・・・。どの視点から見るのか、で違ってきます。
花がつこうとした嘘を並べて見ましょう。
1.太陽と共に生まれた花。
2.設備の乏しい王子様の星とは違い、自分が元々いた場所について話そうとした。
3.虎が爪で襲ってくるかもしれないと言った。
そして、
2の嘘がばれると思いきや、王子様に<それを探しに行ったら話かけて来たでしょう!>と言い放つ。
3に対しては、王子様がしれっと、この星に虎はいないよ。という。
そして、草なんて食べない、といった「草」という失言をついて、王子様に反撃をしてきました。
まずわかりやすい前半部分からです。1番と2番ですが、虚栄心を持つ花は、自分の価値をとてつもなく高く見せようとします。自分の実像よりも、ずっと素晴らしい自分を王子様に見せて、自分の虚像を王子様に信じ込ませようとします。虚栄心を持つ人が必ずと言ってもいいほど行う行為です。
つまり、実を見せずに虚を信じ込ませる、一種の洗脳ですね。
誰もが持っている心ですが、強すぎると周りを却って不幸にしていきます。
例えば極端な例を挙げると、北九州連続殺人事件の松永太とか、尼崎市の角田美代とかね。
王子様も不幸になってしまいましたね。
そして、3番目の、虎が爪で襲ってくるかもしれないと言ったことですが、これは薔薇が一体何を意図していたのかというと、王子様に守ってほしかったのです。
つまり、自分は「太陽と共に生まれた花」であり、こんな星とは比べ物にならないくらい格式の高い出身の惑星の花であり、世界でただ一本の貴重な花なのです。
それくらい貴重な花だと王子様が認めているのであれば、それが損なわれないように、必死で自分のことを守ろうとするはずです。そうして、自分のとてつもない高い価値を王子様に認めてほしかったし、それだけの価値を持っているからこそ、それを失わないよう、王子様に一生懸命になってほしかったのですね。
虎は肉食獣ですから、女性を狙う男を暗喩しているように思います。日本ではよく男はオオカミ!と言われますけれども、世界で最も美しい女が、他の男に狙われようとしているわよ!ということを暗に伝え、王子様の気を一生懸命引こうとしているわけですね。
ところがその甲斐むなしく、王子様にそんなことがわかるわけがありません。しれっと冷めたことを言われます。バラはそこから動けないので、虎がいるのかどうかも確認ができませんけどね。
王子様は、その時のバラの気持ちに気が付いてやれなかったことを、大変後悔しているのでした。
バラの物語は、物語の合間合間に出てくることがあります。
さきどりすると、王子様は地球で大量のバラの花に出会います。世界でただ一本の花だったはずなのに、これを知ったら花はどれだけ傷つくだろう、王子様はそう考えるのでした。
サンテグジュペリは飛行機乗りでした。そして世界中を飛び回ります。すると必然的に、奥さんとは長い期間離れていなければなりません。
奥さんからすれば、サンテグジュペリが遠い大地で、自分よりも素敵な花を見つけてしまったらどうしようと、気が気ではなかったのでしょう。だからこそ、自分こそが最高の花であるということをサンテグジュペリに信じさせようとしたのです。決して自分から気持ちが離れてしまわないように。
それがかえって、喧嘩の原因になってしまうのでした。
そして、この王子様とバラの物語は、奥さんに向けられた一つのメッセージなのだろうと思います。私は遠くの土地にいて、あなたと離れ離れになっていたとしても、私はいつもあなたのことを考えていますと。
だけれども、それは王子様が惑星を離れた後にわかったこと。彼はそれまで、44回も日の入りを眺めるくらい、心を痛めていたのでした。
虚栄心を持つ人は、やっぱり自分の虚栄を守ることを第一に考えます。虚栄とは、他者の心の中に存在する自分に対する情報が、常に自分の思った通りになっていることを望む気持ちです。王子様がバラのことを、世界で唯一の、太陽と共に生まれた大変希少な花だと考えてほしかったように。他人の心の中で、自分が栄えていてほしいのです。
そして、そうではないことがばれそうになると、王子様に攻撃的な態度を取ってくるのです。で、どうして虚栄心を守ろうとする人は、周りの人を攻撃してしまうのか、ということですが、ここを理解するには、人間のエロスを理解しなければならないのです。そうなると、ちょっと話が込み入りすぎるので大変です。
身近に虚栄心の強い人がいる人は、よくわかると思うのですが、かなり他者に対して攻撃的な態度をとることがよくあります。
理解するための1つの側面をいいます。
たいていの人は、比較で正しさを決めます。私は自分の人生で、ちょっとだけ人に悪態(他人の悪いところを指摘するなど)をついてしまったことがあります。すると、癪に障ったその人は、私の学校の評判などを確認するわけです。どうしてこういうことをするのかというと、私が学校などの組織で、悪い評判を建てられていれば、私自身の言うことを気にしなくてもいいと考えるからです。
つまり、私が見栄えの悪い服を着ている人間であるかどうかをチェックしているのです。ですが、私は当時たまたま(ずっとじゃないけど)人気者でしたから、期待に背く結果になってしまいました。
クラスの人気者に言われると、真実味を帯びてきて、不人気な人間に言われると、信用しなくてもよくなる、という感覚で決定しているわけですね。
ということは、ベクトルはこれと一緒です。犯罪者の言っていることには耳を傾けないが、警察の言っていることなら信用する、という感じですね。このように、人は社会的なフィルターを通してものをみてしまうのです。
とすれば、悪い人間の言うことや、間違っていると評価された人間の言うこと、立場の低い人間の言うことは信用しないけど、(星の王子様的に言えば、数字の少ない人間の言うこと)そうじゃない人間の言うことなら信用するのです。
ということは、バラが王子様を怒ったのも、バラが自分の虚栄を保つために、王子様を悪いやつにしてしまう、ということなんですね。相手を悪いことにしてしまえば、自分は悪くないことになるからです。虚栄ですから、事実はどうでもいいのです。ただ、自分が栄えるように見えていれば、それでいいのです。
簡単な話、虚栄とは一言で言えば嘘だからです。嘘を守るためには、嘘をつく必要があります。すると、その嘘を守るために、又嘘をつかなくてはなりません。そうして嘘は借金のように膨れ上がり、取り返しのつかないところまで行くのです。
その嘘を守るために、自分ひとりの力ではなく、他人まで巻き込んでいくことになるのですね。そうなると大損害です。
正直さとは財産なのですね。目立たなくて地味だけどね。
さて、とうとう王子様はそこにいるのが苦しくなり、「逃げ出すべきではなかった」のに、逃げ出してしまいます。そうして、王子様の旅が始まるのでした。これが、メランコリック(憂鬱な)王子様の物語の始まりであったのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?