純セレブスピーカーで聴く!音源マガジン 第5号 2020年8月1日
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8月になりました。
夏は好きですが、それは学校が休みだったからです。不味い給食を食べないですむ救いの休みなのです…。
チェリスト ヤーノシュ・シュタルケル特集
今回の特集はハンガリー出身のチェリスト、ヤーノシュ・シュタルケル(1924〜2013)です。
早速彼の演奏を聴いてみましょう。
このシュタルケルの小品集は私の愛聴盤のひとつです。録音は1958年。伴奏は名盤奏者ジェラルド・ムーア。
純セレブスピーカーで聴くと、指遣いと弦の擦れる音が生々しく感じます。繊細なニュアンスの表現も聴き取ることができ、この場にシュタルケルがいるかのようです。
私は特にバッハのG線上のアリア、アリオーソ、ショパンのノクターンは何度泣いて聴いたか知れません。純セレブスピーカーだからこそ演奏の本質に触れられたと思っています。
さて次はさらに深い音楽。
コダーイ作曲無伴奏チェロソナタの演奏。録音はさらに古くて1950年。
このゾルターン・コダーイの音楽は現代的でかつローカルなハンガリーの音楽を説得力のあるものとして昇華させています。しかもチェロ一つで、です。
技巧的で複雑な側面はありますが、豪壮で激しい曲想と変幻自在のリズムが特徴的です。実際は見たことがないですが、まるでハンガリー人のダンスの見ているかのよう。まさに傑作です。
この曲をシュタルケルは十八番としており、この録音も作曲者のお墨付きを得ています。
では、この演奏を純セレブスピーカーで聴いてみましょう。
圧倒的!
録音は1950年で確かに古いのですががほとんど気にならないレベルです。演奏そのものが録音の古さを圧倒しており、純セレブスピーカーの特質であるダイレクト感がこのシュタルケルの強い音楽に非常に合っています。強靭だがしなやかさをもつ素晴らしい演奏と体感できると思います(実際にスピーカーを手に持つと、とてつもない体験ができるのでお試しあれ)
この曲を私は大変好んでいます。最初に聴いたのはCDでマリア・クリーゲルの演奏です。その後ルイス・クラレ(Lluís Claret)というアンドラ公国出身のチェリストの生演奏を聴いてさらに好きになってしまいました。(ちなみにクラレは1976年にバルセロナで開かれたカザルス国際チェロ・コンクールの覇者。)
その後もCDはヨー・ヨー・マ、堤剛の演奏を聴いてみましたが、うーん、シュタルケルの演奏の深い踏み込みとは比ぶべくもないです。
余談的な画像
シュタルケル出演の東芝(!)のCMがありましたので紹介します。
このCMのBGMもコダーイの無伴奏です。シュタルケルのコメントが出ているので貴重といえば貴重です。(しかし一般コンシューマー向けの東芝のオーディオが30万円越えとは…)
純セレブスピーカーでさらに聴け!シュタルケルの名演奏
それでは、他のシュタルケルの純セレブ向きなアルバムを貼り付けておきます。(純セレブスピーカー向きだと思われる米マーキュリーレーベルのものを選んでいます)
今回はApple MusicですがSpotifyでもAmazonでも見つけられると思います。
バッハの無伴奏は録音と演奏ともに素晴らしいと思います。カザルスが無骨過ぎてもう少し整ったもの、そして骨太の演奏が聴きたいという方にはぴったり。
ハンガリー人とは
私にとってハンガリー出身の音楽家には惹かれるものが多いです。
作曲家ならバルトーク、コダーイ。指揮者ならアンタル・ドラティ、フリッツ・ライナー、ジョージ・セル、イシュトヴァン・ケルテス、イヴァン・フィッシャー、アダムフィッシャー。チェロ奏者ならシュタルケル、ミクロシュ・ペレーニ。ピアニストでもアンドラーシュ・シフ、ゾルターン・コチシュ…
余談ではありますが、以前栗本慎一郎の本でハンガリーの首都ブダペストはドナウ川でブダとペストにわかれ、その都市の機能(光と闇)がそれぞれにあるということを読みました。これはなかなか当時高校生の私には痺れる内容でした。当時都市論を勉強しかけてました。
確かこの本だったような気がしますが…本は手元にないので確認できていません。
栗本氏はマイケル・ポランニーの研究をしていたと思いますが、ポランニーもハンガリー出身でした。
個性的な人たち、そしてアクの強い天才たちがとても多い。ますますハンガリーに興味が出てきました。
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