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江戸っ子の恋愛観がおもしろい件

どうも、恋愛の「れ」の字もない、ハコダです。

今回の記事では、前回に引き続き、白倉敬彦しらくらよしひこさん著「春画で読む江戸の色恋」に基づきまして、僕ら現代人とかつての江戸時代の人々との間にある恋愛観や性への捉え方の違いについて見ていきます。

ぶっちゃけ、僕は恋愛経験、極弱ごくよわです。だから、前の読書ノートの記事のような経験ベースのお話ができなくて悔しいのですが…。

ではなぜ今回、この記事を書くことにしたのか。

それは僕が江戸っ子の恋愛観や性への観念が、かっこいいと思ったからです。彼らの感性や考え方は、今を生きる僕たちにとって新鮮であり、また、必要なものかもしれません。それをみなさんと共有したくて、こうしてキーボードを叩くことにしました。ではでは、楽しんでいってください!

・江戸っ子流、粋な恋愛観に学ぶ

→江戸っ子がエロにオープンな理由

 前回の記事で、僕は江戸時代の人たちの真面目な性の営みを取り上げつつ、それをパワーワードとして茶化してしまった。申し訳ないと思いつつ、一方で、まぁ、江戸っ子の流儀に合っているかもな、とも思った。

 春画を見ていると、どこかあっけらかんとした明るさがある。キャラクターの表情だったり、格好だったり、端っこに書かれているセリフだったり。現に作者たちはそれらを笑いどころとして盛り込んでいた。その最たる例が、男性器の誇大表現だ。あれを初めて見たとき、僕は思わずニヤリと、たぶん気持ち悪い笑みを浮かべていたと思うが、こういう反応こそ、作者が狙っていたものだったようだ。当時の江戸の人たちも僕と同じように、春画の表現に笑ったり、時に怒ったり、びっくりしたり。そんな風にして楽しんだらしい。

 江戸の人たちは、セックスを人間らしい自然な行為だと見ていた。そこに決して、後ろめたさとか暗さみたいなものはない。あの春画のあっけらかんさとそれに親しむ人たちの様子でなんとなくそれがわかる。


→江戸っ子の恋愛や性に対する二つの見方

 僕はこの本を読んでいて、江戸の人たちの中には、恋愛とか性に対する二つの見方があるように感じた。一つは、彼らの内に秘める情熱、それを愛する人や性に傾け、埋没していくような「寄り」的な見方。一方で、そんな熱い情事を「引き」の見方でもって笑ったりする余裕、あっさりさ。江戸っ子のこうした「引き」の見方を、僕ら現代人は持ち合わせていないだろう。そこが新鮮だし、もしかしたら必要な感性なのでは、と思う。引いた見方ができるからこそ、余計にあの「寄り」に入ったときの熱さが一層に輝くし、深みが増す。これぞ、江戸っ子の粋というものか。

それにしても性に対する、あの「あっさり感」はどこから来るのだろう。

 今や水商売のシーンぐらいでしか聞かないが、色恋という言葉がある。この色恋の「色」とは情交を表す。また同時に命を表す言葉でもあったそうだ。例えば、昔の人々は花や草木の中に「いろ」を見た。植物の一生の中にも色んなステージがあって、それぞれの色を見せるからだ。それは恋も同じこと。移ろいゆくものには「いろ」がある。だから、江戸の人々にとって、恋とは同時に色であったし、色こそ恋であった。また、花や草木に宿る命と同様、彼らにとって色恋は「よろこばしきもの」でもあった。

 そういう感覚なので、春画は現代でいうポルノ的な扱いを受けなかったらしい。春画は幅広い層で所持され、それを互いに贈りあったり、貸し借りしたりして公然と楽しんだとされている。またカップルたちもそれを一緒になって眺め、会話に花を咲かせたみたいだ。

 江戸の人たちは、僕らと同じく、恋愛とかセックスに埋没し、「しごきねぶる」情熱で、情愛という刹那に狂ったことだろう。ただ我々と違うのは、江戸の人たちは妙な余裕も、一方で持ち合わせていた。人間というものをどこか無常観でもって見通していて、また世界を俯瞰で捉え、色事と自然とを重ね合わせる、そんな余裕が。ここが彼らにある「あっさり感」の正体なのかなと思う。

この大人的な余裕。わびさび。そして、しごきねぶる情熱。

江戸っ子の粋な恋愛観には学べることが多そうだ。

それを試す場が、今のところないけどね!


・締めと次回予告

本日は読んでいただき、ありがとうございました!

命とか恋愛を「いろ」という概念で見る。これは現代人にはない素敵な感性だと思います。森羅万象、何事においても、それぞれのステージとそれぞれの色があります。色あざやかなるときも、くすんでいるときも、その時々の色はその時にしか味わえません。同じ時間の繰り返しのように見えて、過去と現在は色が違います。絶えず、周りやあなた自身が変化しているのですから。それを敏感に感じつつ、楽しんでいきたいものです。

さて、次回は読書ノートのラストのラスト、どん詰まりを記します。

よかったら、また覗きに来て下さい!

それでは!
(^o^)/

↓僕の読書ノートの記事まとめ↓


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