昭和を紐解くような物語「笹の船で海を渡る」角田光代
私が、Kindle本を耳読した本を、ご紹介しています。 本選びの参考になれば、と思っています。
読み終えるまでの平均的な時間(5時間59分)
感想…
昭和の時代を紐解いていくような物語でした。
疎開先であったいじめも、許されることではないが、その時代背景や子どもたちの心境を考えると、やはり仕方がなかったことと言う言葉は使わざるを得ないんだろうか。
その疎開先でいじめられた小さな子どもは、自分の人生に復讐をしたかった。
好きなように生きられなかった小さい子どもにとって、自分の人生を自分の好きに生きると言うことが人生の復讐となりました。
それとは対象的に、自分がいじめていたかも知れないと思う主人公は、自分の価値観を信じ、変わることへの拒否感を持ち、自分を正当化する人生を送っているように感じました。
その中で、自分の子供たちをコントロールしてしまいそうになる主人公、子どもたちの自分とは違った価値観を受け入れられないところに、主人公が、夫にも自分の気持ちをあまり言えずに、自分の人生を一歩踏み出せずにきたところかと感じました。
内容(「BOOK」データベースより)
朝鮮特需に国内が沸く日々、坂井左織は矢島風美子に出会った。陰湿ないじめに苦しむ自分を、疎開先で守ってくれたと話す彼女を、しかし左織はまるで思い出せない。その後、左織は大学教師の春日温彦に嫁ぐが、あとを追うように、風美子は温彦の弟潤司と結婚し、人気料理研究家として、一躍高度成長期の寵児となっていく…。平凡を望んだある主婦の半生に、壮大な戦後日本を映す感動の長篇。「本の雑誌」2014年第1位。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
角田/光代
1967(昭和42)年神奈川県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。’90(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、’05年『対岸の彼女』で直木賞、’06年「ロック母」で川端康成文学賞、’07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、’11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、’12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、’14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
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