「10月27日総選挙があった」
立憲民主党や国民民主党が議席を伸ばし、勝った勝ったと浮かれている。しかし、その実態は野党がわずかに過半数を上回っただけだった。野党が自民党に選挙で勝つには、何かの風が吹いたときなのだ。これまではその風は参議院選挙の前が殆どで、なかなか衆議院でこんなにぴったり風が吹くことがなかった。その風をむざむざと無駄にしたのが今回の選挙だと思う。裏金議員が46人中18人が当選したという。その選挙区を見てみると野党が乱立して漁夫の利を締めて裏金議員が当選するというパターンが横行していた。その典型的な例が東京24区の選挙だ。裏金・統一教会など疑惑にまみれた萩生田浩一候補に対し、立憲、国民、維新、参政と4人の野党候補が乱立していた。維新に至っては、維新の会創設メンバーであった前大阪市長の松井氏があろうことか萩生田の応援演説をしている。自身の維新候補が立候補しているにもかかわらずだ。露骨に萩生田を当選させるために維新候補を出していることを明白にしているのだ。
全国の投票結果を見ると野党統一が実現していれば、裏金候補で当選したのはわずか4名だ。つまり、裏金議員46人中42人が落選というセンセーショナルな結果になっていたのだ。そうなれば、文字通り政権交代はあったかもしれない。
しかし、今の状態では政権交代は全く不可能だ。維新は第二自民を名乗っているように根っこのところで自民党とダブっている。大阪19区全てで維新候補が当選したのは、元々自民党の地域活動家がそのまま維新に変わっただけなのだ。つまり、地域では支援者は自民党でも維新でも同じなのだ。
さらに国民民主党は、これまでしきりに与党に擦り寄って、あわよくば公明党と並んで連立を組まんばかりにしていたのだ。だから、選挙が終わった当座は独立路線を行くと宣言しているが、ほとぼりが冷めた頃に水面下で手をつなぐことは目に見えている。
日本では自民党を中心とした勢力は、戦後一貫して地域の利権構造と選挙を結びつけて、堅固な集票システムを築いてきた。その構造が風が吹く度に揺らぐだけで、また無風状態になれば旧来のシステムに戻るのが常だった。だから、今回の風を活かすことが如何に大事かと言うことが野党の政治家連中には自分の目先の利益だけが頭にあって、そこまで考えが及ばなかったのだろう。
これで日本は「失われた××年」をばく進していくことになる。