【娘にも読んで欲しいと思った本】
娘が大学生になったら、
「ぜひ読んでみて。」
と手渡したいと思う本に出会ったので紹介します。
なぜそう思ったかというと、
娘が生きていく日本の社会や組織の、一番「弱い」部分を、
この本が娘に教えてくれると思ったからです。
具体的には、
「当事者意識」を持つことがいつの間にか難しくなったり、
「空気」に合わせる「同調圧力」みたいなものが支配してしまう、
日本の社会や組織の弱さです。
怖いことですが、80年前と日本は変わっていないと思いました。
元東京都知事の猪瀬直樹さんが、36年前に書いた本で、
太平洋戦争について、
「なぜ、日本は大国アメリカを相手に、無謀な戦争を起こしてしまったのか?」
という視点で、
開戦前夜の史実を丹念に取材して書いた歴史ドキュメンタリー。
太平洋戦争の1年前、
日本の軍、各省庁、民間企業から、密かに集められた30代の優秀なエリートたち33名が、
1年かけて、日米が戦争をしたらどうなるのか?
というシミュレーションを重ねた研究をしていたそうです。
軍事作戦の検討や軍事力の差だけでなく、経済的な国力の差や、それぞれの国民感情が及ぼす戦争への影響も含めた、総合的な研究だったそうです。
その研究の結論は、
「日米戦をしたら、日本必敗。」
そして、その内容は、
日本が真珠湾攻撃でアメリカと戦争を始める4ヶ月前の、昭和16年夏に、
当時の日本の政治・軍部のリーダーである内閣や軍のトップを集めて、
丸3日間かけて発表されたそうです。
しかし、その内容は無視され、
日本は戦争を始めました。
その決断に至る、日本のリーダーや若手エリートたちの葛藤が、
この本には、取材で史実のディテールを積み重ねた、圧倒的なリアリティの迫力で書かれています。
娘に、この本から学んて欲しいと思うことは、3つありました。
①圧倒的に間違っていると8割の人が分かっている大きな決断でも、
誰も「責任を取る」と言わないと「空気」によって決まってしまうこと。
②大きな決断の根拠となる「客観的な」はずの「データ・数字」も、
それをインプットするのは人間なので、結局は「主観的」な真理になってしまうリスクがあること。
③「歴史」から学ぶことの大切さと、自分の課題に応用して考える「想像力」が大切なこと。
娘と、この本の話が出来る日を、いつか作りたいと思います。
じつは、この本を読んだ後に、
高校2年の娘に、歴史の教科書を見せてもらいましたが、
この本に書いてあるような教えにつながることは、
残念ながら、一言も書いてありませんでした。
そして、自分自身も、
「なぜ日本はアメリカと無謀な戦争をしたのか?」という疑問を、ずっと持っていた気がするけど、
なんとなく、
軍国主義でみんながおかしくなってたからとか、
軍部が暴走したからだとか、
石油資源のためには仕方なかったとか、
曖昧にしか、理解してなかったと思ってます。
でも、この本を読み終わって、
それとは違う側面が大きかったことを知りました。
とても学びの多い本でした。
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