スカウター半額チャンス
視力が落ちた。
一番後ろの席から黒板の文字が見えなくなったのだ。
先生の文字が小さいだけかと思ったら黒板の端のカレンダーの文字もボヤけて見えるので、視力低下だと帰納した。
低下に気づいた次の日から眼鏡屋さんに行き、視力を測定してもらったのだが
左目 1.0
右目 0.4
と、右目だけが衰えていたのだ。
(右向きで寝て目を圧迫しているから?)
(利き目が右でウインクを使いすぎたからか?)
(右の席の輝いてるあの子を観察してたからか!?)
片目だけ劣化した理由を特定できないまま、店員さんはお構いなくメガネを勧めてくる。
右のみ度が入っているメガネを購入することになり、すんなり買えばいいのだが、あることにどうも引っかかってしまった。
右目しか度が入ってないのに、両目に度が入っているメガネと価格が同じなのだ。
(おかしい。左目にはただの度なしレンズが入ってるのに、価格が同じ…
この法則だと両目度なしレンズでも同価格になるのか!?)
素直に買えば丸く収まること承知の上で、納得できずにいた。
なんとしても節約したかったので
「スカウターみたいなメガネないですか?」
と妥協せず問いかけた。
こうすれば半額になるのではないかと期待を胸に。
すると店員さんはあまり触れないであろう奥側のガラスケースからレンズにキーホルダーのヒモが付いたようなものを差し出した
想像との違いに、呆気にとられた。
コンタクトレンズをデカめに発注してしまい、目に入らずもうまいこと利用してる人にしか見られないし、異常に目力が発達してしまう。
装着を体験しようとするが、目にはまらない。
顔が平坦な日本人には向いてないらしい。
遠回しに顔面が平坦と伝えられたが、心は折れ、ついに決心した。
「普通のメガネでお願いします」
家で購入したメガネの左レンズの位置をずらし、右レンズのみで辺りを見回した。
片方のみでは違和感があり見にくかった。
結局あの形がメガネのベストなのだと心得た。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?