空海とケン・ウィルバーの類似性#149
1月高野山にいけず、来月に行くことから、その準備として、仏教関連の書籍を本棚から取り出した。
今日読んで感じたことなのだが、仏教の論理性は、西洋哲学者たちも驚くのではないかと思うほどできている。
しかし、抽象的ゆえに、あまりに解釈の幅も広いし、発展してきた宗派も多い。私ではどうも理解できない疑問が多く、いやむしろ矛盾さえも感じる部分も多々ある。
そんな中、非常に面白かったのが、空海の「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」という書物である。
凡夫から密教までを十段階に分けて説明している。
第一 異生羝羊心(いしょうていようしん)…凡夫そのもの
第二 愚童持斎心(ぐどうじさいしん)…儒教
第三 嬰童無畏心(ようどうむいしん)…バラモン教
第四 唯蘊無我心(ゆいうんむがしん)…声聞乗(しょうもんじょう)
第五 抜業因種心(ばつごういんじゅしん)…縁覚乗(えんがくじょう)
第六 他縁大乗心(たえんだいじょうしん)…法相宗(ほっそうしゅう)
第七 覚心不生心(かくしんふしょうしん)…三論宗(さんろんしゅう)
第八 一道無為心(いちどうむいしん)…天台宗(てんだいしゅう)
第九 極無自性心(ごくむじしょうしん)…華厳宗(けごんしゅう)
第十 秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん)…真言宗(しんごんしゅう)
今から1200年前に書かれた書であるが、当時あった仏教の色んな教えを簡潔明瞭にまとめている。それもただ折衷主義にまとめるわけでなく、立体的に結びまとめ上げている。
各段階は含んで超えるホロン構造で成り立っており、まるでウィルバーのように思った。立派なメタ理論の1つと言える。
仏教の発展は、科学が発展するかのごとく、進化し続けてきたように思う。
2500年前のブッダの教えは、当時の時代背景やインドという地を踏まえた内容となっており、その後中国や日本での時代や土地柄にカスタマイズされたものへと独自進化を遂げていくのは当然であるし、ブッダの教えを超えていくことは当然のように思う。
広がりがあればあるほど、それを一段高く捉える秘蔵宝鑰のようなメタ理論は非常に重要な物に思う。
改めて思うのだが、このような偉業を成し遂げる偉人は、人智を超えた知性の高さで、笑けていくる。
空海は、遣唐使で20年中国で学ぶ予定が、たった2年で学び終えたとのこと。
サンスクリット語も3ヶ月ほどで覚えたらしい。
笑けてくる。
それほどでなければ、このようなメタ理論は生まれてこないのだろう。。。笑
ジャン・ピアジェなんて、初めて論文を書いたのが6歳。
そういえば、加藤さんが以前ちらっと言っていた、2年かかる修士レベルの学びを3ヶ月、いや1.5ヶ月くらいで終えるとおっしゃっていた気がするが、本当にどうなっているんだ。。。笑
空海のすごいところは、それだけでない。
単に山にこもって理論をあみだすだけでなく、ビジネススキル、サバイバルスキルも非常に高いところ。
いわば、ウィルバー同様に、思想家でありながら実践家であったこと。
私が初めてインテグラルライフプラクティスの書籍を読んだ時に思ったことだが、この体現者は、ソクラテスやプラトンではなく、空海や玄奘のではないかと思った。
空海でいえば日本から中国へ、玄奘でいえば中国からインドへの旅路は、命がけであり、体力的にも精神的にも、また道中出会う人達を味方につけて進まねば到底成し遂げることができない。
当時宗教というのは、国家施策であったことから政治的な動き方も必要になっており、国を味方につけるスキルも必要であった。
玄奘にいたっては高身長の男前だったらしい。笑
脱線しつつあるが、それくらいあらゆる能力レベルがバランス良く高い方という意味で、ILPの体現者であるように私は思う。
さて、来月高野山に向けて、いくつか疑問点を洗い出しておきたい。
2021年5月10日の日記より
2021年5月12日
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