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高級筆記具店スタッフとの距離感。

どうも純一です。

最近、ペリカン万年筆のスーベレーンが欲しくて行きつけの伊東屋さんに行ってきた。行きつけと言っても都心の真ん中にあるお店。
買い物に行くたびにスタッフの方と挨拶を交わすこともない。

普段はショーケースの中に飾られている万年筆達を見る為に、お目当ての商品が陳列してあるエリアまで蛇行しつつ、淡々と買い物を済ませる。
ただ何年も通っているのでスタッフさんの顔は覚えているし、向こうも話しかけてくることもないが、修理依頼をしたり、色雫彩の小瓶のセットを買う時などに必要最低限のやり取りはしたりしてきたので、認知とまでは言わないが見たことあるくらいには思っているはずだ。

決して不愛想ではない。だが愛想もない。
なんとも心地よい空間が漂っている文房具店が僕は大好きだ。

そんな都心の伊東屋さんでスーベレーンの試筆をさせてもらった。
スタッフさんに『気になっている万年筆があるんですが、試筆させていただけませんか?』と声を掛けると快く対応してくれた。
さすが伊東屋さん。僕が気になっていたスーベレーンm800は試筆用のものが予め用意されており、つけペンではなくインクが吸引された状態で試筆させてもらえた。

筆記感やm1000とのサイズ感の比較をしたり、過不足なく僕が知りたい情報を教えてくれたり楽しい時間だった。

忙しいだろうに親身になって僕の万年筆選びに向き合ってくれたことが、とても嬉しかった。ただ余計な詮索はしてこない。

帰り際、お礼を伝えると『ご検討宜しくお願い致します』と軽く会釈された。

今の時代、ネットで購入したほうが安く買える。

高級万年筆を買う場合は差額で叙々苑に行ける程、店頭と通販には開きがある場合もあるだろう。
そんな時代だからか、スタッフ最後の一言に僕は哀愁を感じた。

店頭で試筆だけしてネットで購入することを肯定も否定もしないけれど、良かったらお店に買いに来てね。とメッセージを受け取ったような気がした。

叙々苑にいけるくらいの差はあるが、試筆させていただいた恩もある。
僕はこのお店でスーベレーンを買うことを心に決めた。

そんな体験やストーリーは、きっと安さ以上の価値があると僕は感じる。

いつまでも万年筆を筆記出来る環境が残り続けますように。

そんな願いを込めて僕はアマゾンのカートから、スーベレーンの文字を削除した。

ではまた。


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