ギャグマンガ家増田こうすけができるまで〜あの頃の増田こうすけ劇場 ギャグマンガ家めざし日和
ギャグ漫画家、増田こうすけ先生の自伝的漫画。
三重県桑名という田舎でバイトをしながら生きていた自意識過剰な(?)増田先生は、如何にしてギャグ漫画家になったのかが、「あの」テイストで淡々とかかれています。ちなみに桑名はこんなとこみたい↓
漫画家、というと小さい頃から絵を描くのが好きで〜、とか、手塚治虫の漫画を読んで身体中を電撃が走って〜というイメージを想像しがち。
でも、本書ではそういった溢れ出る情熱みたいなものは書かれておらず、名古屋の本屋さんで漫画用のペンに出会い、赤塚賞の受賞から漫画家になるまでが淡々と絵が枯れています。
起業家さんや漫画家を取り上げたドキュメンタリーをみると、ストーリーが整えられ過ぎている部分があり「やっぱりプロは違うなぁ」と思ってしまいますが、多分、そういった情熱駆動型の人はそこまで多くないのかも。
あと、本作品では増田先生の脳内トークが淡々と描かれており、その自意識過剰ぶりが面白い。売れている漫画家ということもあってか、メタ認知能力が高い。
赤塚賞に入選し、東京の集英社に行くのですが、自意識が過剰すぎて一度通り過ぎたりしてます。
また、バイトをしている時のエピソードもクスッとさせられます。
バイトメンバーから、「だれが喋りやすい」と聞かれて「いねーよ」と思ったり、ちくわを詰めるバイト先で社員がちくわを落としたのを助けるために拾ってたら、増田先生が落としたと勘違いされたけどうまく言い返せなかったり。
日常、だれもが経験するようなちょっとしたモヤモヤもシュールに描かれていて薬としてしまいます。
実際、漫画家という職業は非常に忙しいというのをテレビ番組等でみます。
連載を持つと、一定のクオリティの作品を途切れずに発表し続けないといけなくなり、その走るのを止められないプレッシャーや物量を考えると相当な重労働かと。
しかし、本作はそういった悲壮感が全く描かれておらず(大変なんでしょうが)爽快感すら感じられます。
ただ、本作品を見て、簡単に漫画家になれそうと思うのは危険。
おそらく、敢えて詳しくは書いていないですが、増田先生本人もバイト中に赤塚賞に応募する作品のストーリーを考えていたり、図書館に行ってネタを探したり。
また、小さい頃のジャンプや三国志といった一定のインプットがあっての今のポジションであるということは付記しておきたいところ。
個人的にですが、漫画家さんが描いた自伝って結構当たりが多い気がします。
東村アキコ先生だったり、王様ランキングの十日草輔さんだったり。
共通するのは、大なり小なりきちんと準備(訓練)をしていること、挑戦をやめないことの2点でしょうか。
漫画家に限らず、学びのある作品です。