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病気じゃないイコール健康じゃないぞ、という話〜トップ1%の人だけが知っている「若返り」の真実/辻直樹・俣野成敏


本書のポイント

・医療の発達により寿命が伸びたこともあり、健康寿命と寿命との差が開いてきている。老後を考える、ということは寿命を延ばすことだけではなく、いかに健康寿命と寿命とのタイムラグを小さくするかという視点が必要
・健康診断や人間ドックで病気を見つけることはできるが、それは予防医療ではなく、あくまで事後の対策になる。
・老化を「気(エネルギー感)・能(体の機能)・美(見た目)」つの軸から考えるべし。特に、気についてはみな意識しないが、エネルギッシュであることは何よりも大事。疲れも老化の一つと捉えられる。
・本書には、具体的にどうすれば若返るのか、という具体的なメソッド記されていない。本書の提示する軸に従って、自分にあった健康法(健康寿命延伸法)を試すべし。

はじめに

健康。
人により程度の差はあれど、興味のない人はいないかと思います。
自分も、比較的というか周囲からみるとオタクに近いレベルで健康情報を集め、自分なりに学んでいます。
パレオさんこと鈴木祐さんのメルマガに登録したり・・・

で、健康について考えを巡らせる時、自分を含め多くの人は「病気や不調がない状態」と認識しているかと思います。
ここで、健康のゴールである寿命に目を向けてみます。

平均寿命 男性81.41歳 女性87.45歳
健康寿命 男性72.68歳 女性75.38歳

だそう。
すなわち、今生きている人は、死ぬまでに平均して生活をじりつできない人生を10年程度続ける、とも言い換えることができます。
健康、というと何歳まで生きられるか?ということばかりを考えてしまいますが、本書は「単なる寿命ではなく健康寿命を伸ばすための取り組みを始めた方がいいのでは?」というのが出版にあたっての問題提起になっています。

確かに、100歳まで生きられたとしても、介護されまくりながら30年過ごした、というのは介護されることが悪いとは思いませんが、寂しい気がします。

健康の定義は自分で決めるべし

単なる寿命と健康寿命との間に大きな差があるとすると、健康、特に寿命に対する考え方も複数生じうることがわかります。
もしかしたら、健康寿命はどうでもいいから、とりあえず寿命だけは伸ばしたい、という人もいるかもしれませんし、健康寿命と寿命をイコールにしてピンピンころりで死にたいのだという人もいるかも。
というわけでは、本書の中で貫かれている主張は

「病気ではない」=「健康に生きている」のではない、ということ。
では、健康とは何か?
それは、「自分がどう生きていくか」という価値観によって変わってきます。
〜中略〜
それぞれの目指す生き方を、身体的な制約を受けずに実現させるというのが、真の意味での「健康の追求」だと思うのです。

自分は上述のとおり、病気も不調もないことをなるたけ長期間継続することを目標にしていましたが、もう少し、長期的なスパンかつより貪欲に健康を追求してもよいかなと思える記述でした。

体の声をキャッチする

(眠りが浅い)

朝疲れが残っている。

なんだか食欲が落ちた。

こういった疲れや不調は、老化や大病の前兆といえます。各種検査項目に大きな問題がないからといって、こういった全長を無視してしまう事は非常に危険です。

ちなみに、疲労の根本原因も脳であることがほとんどと言われています。

脳のエネルギー値が下がることによって、体の炎症と酸化が進んでいき、これが細胞に悪影響与え、いわゆる疲労、倦怠感となり、老化慢性疾患の大元となるわけです。

忙しくて寝不足、なんていう場合は別にして、なんとなく疲れた、なんとなく倦怠感があるということは、一定年齢以上の人は多くが経験済みかと。
それを、仕方ないで済まさずにちゃんと調べよう、対処しようというのが第一歩かもしれません。

エネルギー値を高めるために

「エネルギーを高める治療」
「酸化と炎症を抑える治療」

この2つが気(エネルギー値)にアプローチする医療です。ターゲットとなるのは人間の細胞、ミトコンドリアです。

気=エネルギーの治療とはミトコンドリアを修復し、エネルギー値を高め、かつ活性酸素を除去して炎症を抑える必要があります。

ミトコンドリアはATPというエネルギーを合成する発電所であり、究極的に、気の治療とはミトコンドリアにフォーカスし、ATPというエネルギーの生産を促すというものになります。

ATPの生産にはNADという酵素が必要です。
一時期、lifespanという本で取り上げられ、若返りの薬としてNMNが注目されましたが、それらが代謝された先がNAD(ニコチンアミドアデニンジヌレクレオチド)です。

そのため、NADを増産したり、浪費を防ぐことが大事になります。
本書は、浪費を防ぐためにストレスフルな生活からの脱却等には触れられていますが、具体的にNADを増やすため・老化を防ぐための戦略・手法についてはほぼ述べられていません。

ミトコンドリアについて、自分はあまり学んできませんでしたが、これを機に勉強してみようかと。本も何冊か出てるみたいですね。

具体のメソッドまで提示してほしかった、というのが本音ですが、健康という概念に対する新しい視点を提供してもらっただけでも本書を読んだ価値は十二分にあったと思っています。

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