プロメテウスの火を持ってしまった我々が考えねばならないこと
私には尊敬する方が何人かいます。
その方は防災のとある分野の第一人者とも言える人で、人間が原子力発電所を造り、活用していることを指して「プロメテウスの火を持ってしまったものの責任」といったことをおっしゃっていました。
ご存知の方もいらしゃるかも知れませんが、プロメテウスとはギリシャ神話の神様の一人で、人間に「火」をもたらしてくれたとされています。
人間は、火の利用により大きな発展を遂げ今の現代社会が成立しており、プロメテウスの火とは、その現代科学の発展を象徴として用いられているわけです。
一方で、この神話には裏話があります。
プロメテウスの火は、もっと偉い神様ゼウスから盗んだ火とされており、プロメテウスはその罪で永久に内臓を啄まれるという苦行を受け続けるというものです。
見方によっては、この苦行は現代、特に電力会社が今対峙している原子力の再稼働とも対比ができるかも知れません。
危機感
自分は、原子力含むエネルギーのことを取り扱う会社に勤務しているという背景もあって、その手のニュースはできるだけ幅広にインプットするように心がけてきました。
また、専門家レベルまではもちろん到達できないものの、関連書籍も読むようにしています。
で、原子力に限らずもしかしたら政治等、他の大多数の分野も同じかも知れないのですが、自分たちの生活にも大きな影響を及ぼしうる選択なのに、関心が薄すぎないか、メディアも一方的すぎないか?と思うことが多々あるのです。
福島の事故で、避難民の苦しい生活を聞き、反原発の意見を持つ。
東京電力の杜撰な対応を見て、安心できないからと原発反対を表明する。
日本では言論も表現も自由ですので、各々が情報を仕入れて判断、表明するのはどんどんやるべきと思います。
しかしながら、情報を仕入れるにしても、(おそらく視聴率稼ぎなのでしょうが)基本、メディアの情報だけ見ていると、「そのメディアの考え」に無意識に影響されてしまう可能性が極めて高く、判断の仕方としては間違ってないか?と感じます。
再生可能エネルギーをどんどん導入すればいいじゃん、への解
業界人は皆知っているのに、世間一般にほとんど知られていないことの一つとして、
「再生可能エネルギーをたくさん導入したとしても、火力発電所をなくすことはしばらくはできない」
ということがあります。
反原子力の方の論理としては、
・原子力は危険だから廃止すべき
・廃止した分はどんどん再生可能エネルギーを導入すれば問題ない
というものかと思います。
しかし、2つ目の再生可能エネルギーは、水力を除いて発電量を人為的にコントロールできない、という特徴を有しています。
電力供給は需要と供給をイコールにしないといけない(じゃないと、周波数が乱れて電気の質が悪くなってしまう)原則があります。
となると、コントロールできない再生可能エネルギー分に関して調整代が必要になります。
これには調整したいと思ったときにタイムラグなく発電を増加・停止させられるという能力を有す発電方式である必要があり、現在のところ火力発電しか選択肢がないというロジックです。
そのため、アンモニア混焼、水素混焼など二酸化炭素を多く排出するといわれる火力発電所においてもゼロエミッションを達成するための技術開発が急ピッチで進められているものの、今現在では全国への導入までは至ってません。
ある意味ではエネルギー素人だった私が、関連業界に身を置くことにより得た知識を整理しつつ、皆さんに判断・考える材料を提供できればと思っています。
以降、何回かに分けてアウトプットしていきますので、興味のある方はご覧いただけますと幸いです。
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