考えるってどうすりゃいいの?〜自分のアタマで考えよう/ちきりん
ふざけた(?)著者名で表紙もポップですが、周りに流されることなく、主体的に人生を送るにあたり何よりも大事な力である「考え方」を具体例を交えて懇切丁寧に説明してくれている一冊。各章では身近なことを題材に、ちきりんさんが実際にデータなりグラフを見て「考える」プロセスを順を追って示してくれる構成になっており、ふむふむと納得しながら読み進めることができます。
以下、自分にとって学びとなった3点についてご紹介・
決定プロセスを決めてから情報収集する
仕事、プライベートに関わらず、なんとなくでインターネットで検索を始めてしまうこと、ないでしょうか?
卑近な例で恐縮ですが、例えば飲み会の幹事を任された場合。
ホットペッパーなりぐるナビでとりあえずお店を検索・・・自分もよくやってしまいます。で、カタログ的にいろんな店を見、なんとなく良さそうなところを徐々に絞り、最終的に1つに決め予約。大体、こんなプロセスが多いです。
でも、これって非常に非効率ですよね。検索条件によってはある程度絞りこみが可能であるものの、場所が遠かったり、想定してた予算と乖離があったり。
そういった店も候補として表示される中で見ていくわけで、見るだけで時間がかかります。
じゃあ、効率的に短時間で決めるにはどうしたら良いか?
その答えが「決定プロセスを先に決める」ということ。店選びでいえば、検索窓の詳細条件を先に決めてやる、というイメージでしょうか。
こんなこと、とうにわかりきったことなのですが、自分の業務に当てはめてみても、案外実行できていないことが多い気がします。
何か打ち合わせをする、としてもただ素材なり調査した結果の報告にとどまってしまうようなケースが結構ある。
そういう時に大事なのは、具体的に「AがBなら採用、それ以外は不採用」とあらかじめ決めて調査に取り掛かること。この時に大事なのは、その条件を皆で共有できるよう明文化・言語化することだそう。
考え漏れをなくすために手を動かして分解図を書く
ある書類を作成して上司に説明するとき、全然予想もしていなかった視点からの指摘を受けて焦った経験がある方も多いのでは?
そう言った思考の抜け漏れを減らす・なくすのに有効なのが、分解図を書くこと。
これは、なぜなぜ分析によるロジックツリーのようなイメージで、大分類から小分類へという順で考えることになります。
例えば、「ダイエットするには?」という課題があったとして、いきなりどうしよう?と考えて
・運動する
・食事を制限する
・痩身手術を受ける
と言った個別具体を考えるのではなく、一例ですが、まずは
(1)摂取カロリーを減らす
(2)消費カロリーを増やす
というふうに大分類します。その後、摂取カロリーを減らすというのを分解して・・・というのを繰り返し、個別の対策まで検討するという流れですね。
正直、意識をしてもすぐにMECEな分類ができるとは限りませんが、少なくとも訓練を継続することで精度は上がっていきます。逆にこういうプロセスを踏んでからであれば、抜け漏れを指摘されても「ここが抜けていた」と明確なフィードバックが得られるので、成長速度も早くなりますね。
多くの思考の棚を頭の中に持っておくこと
たまに、この人頭いいな〜と思う人に出会います。で、この歳(40歳手前)になって気づいたできる人・できない人の差は「頭の回転か常人離れして早い人も稀にいるけど、ほとんどは日常・事前にどれだけ考えているか」ということ。
質疑応答なり説明なりでめちゃくちゃスマートにこなす人がいますが、頭がいいのではなくて大抵は事前の準備・思考の量が多いというのが大半でした。瞬発力で100点満点の対応ができる人なんて、多分存在しません。
ちなみに、自分の大学時代の恩師はその道では有名な方で、接していても優秀さが滲み出るレベルでした。で、学会賞なども多数受賞していたので、コツを聞いてみたところ、シンプルに「ちゃんと練習すること」だそう。
なーんだ、とお思いの方もいるかもしれませんが、その方のいう「ちゃんと」は2回とか3回のレベルではなく50回とかそういうオーダーでしたw
優秀に見える人も、その裏には日常の膨大な思考なり準備がある。
当たり前のことかもしれません。
学問に限らず、いろんなことに王道はなさそうです。
ちきりんさんはブログやvoicyの番組も持ってたり。
ちょっと変わった視点で世の中を切り取った内容のものが多く、知的好奇心を満たしてくれるとともに、新しい「見る目」を提供してくれるので、本のみならずこちらもおすすめです。