(本)世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
問題解決、という単語を聞くとビジネス上の課題のことでしょ?と考えてしまいがち。もちろん、仕事というのは突き詰めると全部「課題や問題の解決の繰り返し作業」になりますが、仕事やビジネスに限らず、人生のほとんどは問題解決なのかもしれません。
ちょっと抽象度を高めてみると、学校の成績を上げることだって問題解決だし、希望の大学・会社に入ることだって問題解決とも言える。マクロで見れば世界の貧困や戦争をなくすことだって、ミクロで見れば家のトラブルを解決することだって、問題解決。
日々出会う課題に対し、先人の人たちが残してくれたメソッドをわかりやすく紹介してくれるのが本書。
見た目からして子供向けで、内容もわかりやすいですが、課題解決系のビジネス書を読んでもピンとこない若手の社会人にもおすすめできる一冊。ビジネス雑誌を読んでいると、学識者なり企業の社長が「おすすめの本」として大層立派なタイトルの本を取り上げられること多々、ですが、きちんと内容を理解し・実践で少しでも役立てる方が何倍も大切。
本書では中学生(食材?)の三人組バンドが集客を増やすという課題に取り組んだり、半年後に6万円のパソコンを買うといった、非常に身近なことを題材にして、課題解決のプロセスを紹介してくれています。
①現状の理解
②原因の特定
③打ち手の策定
④実行
が主な流れ。
んなことわかってるわい!という方も多いか思いますが、頭の中でなんとなくやってしまっていることをきちんと言語化すること、アウトプットして紙に落とすことが何より重要です。
というのも、人間はそんなに頭が良くないから(爆)自分だけかもしれませんが・・・
恥ずかしながら、自分は社会人に入ってから数年間、紙に書くことの重要性をあまり理解せず、(そこそこ名の知れた大学を卒業したこともあって)自分は人並みに優秀だと勘違いし、頭の中だけで考え、実行することが多々ありました。
新入社員の頃の、単純なタスクだけであればそれで問題なかったのですが・・・ある程度の難易度の仕事になると、自分が直感的に頭に浮かんだ答えだけが正しい、というケースは減っていきます。なぜそうしたのか、他にもっといいやり方はないのか。
そういうQに明確に答えるためには、やはり順番に、論理的に考える必要が出てくる。となると、記憶力がイマイチな自分は特に、紙とペンが必須になってくるというわけでした。
なので、①〜④のプロセスも書いてしまうと単純ですが、ある程度重要な事項なり難しい事項は是非、紙に書きながらやってみましょう。
学業の成績を上げる、なんていうのが一番わかりやすいかも知れないですね。
あるテストで数学の点数が悪かったとします。その際に、「やべっ、数学の勉強時間増やさなきゃ!」という人は、多分成績が悪いであろうことは想像に難くないですねw というのも、なぜ点数が悪かったか?ということも理解できてないですし、それ故に勉強時間を増やすことが解決につながるかもわからないから。
もしかしたら、前日きちんと寝ることが解決策だったりするわけです。
まずは、きちんとテストの解答用紙を見て、そして当日の自分の様子を思い出して、なぜ・どこで点数が取れなかったのかを分析する。
スタートは、そこからなんですね。
終わりに、にある著者渡辺さんの経験も興味深かったです。
どちらがいい悪い、はないのでしょうが、アメリがでの中学時代に黒人差別問題に対し、本書のようなプロセスの授業があったそう。実際の差別の映像を見せ、キング牧師のスピーチを聞き、迫害する側のクークラックスクランが著したものにも目を通す。そして、なぜこんな差別が起こったかを考え、具体的な対策を議論する。
やってることは、大人と同じですね。
自分の子供にも早いうちに読んでほしいと思う、そんな一冊でした。