(本)別冊NHK100分de名著 わたしたちの手塚治虫
NHK100分de名著シリーズは非常に分かりやすい+執筆人が豪華。
最近はkindle unlimitedでも取り扱ってくれているので、興味のあるタイトルがあればダウンロードして読んでいます。
最近配信が始まった標記。
ブラックジャックを始め、ルードヴィヒ・B、ジャングル大帝、リボンの騎士などにハマった人間としては見逃すわけにはいかぬ、ということで読んでみました。
想像以上に手塚治虫が後世に大きな影響を及ぼしていることがよくわかるとともに、四人の立場の異なる著者がそれぞれの立場から作品を取り上げ深読みして解説してくれており、紹介されている未読作品も読みたくなってきました。
各著者のおすすめ作品はこちら ↓
斉藤環
・きりひと讃歌
・奇子
園子温
・火の鳥 未来編
・鉄腕アトム
ブルボンヌ
・リボンの騎士
・MW
釈徹宗
・火の鳥 鳳凰編
コマ割りや擬音語、キャラクターの描き方など、手塚治虫が初めて取り入れた技法が後世に多大な影響を及ぼしていることは存じておりましたが、一つ一つの作品を丁寧にみていくと、現代でも通じるような性の捉え方をしていたり、いわゆる萌えキャラの走りでもあったりで、一人の人間がやった仕事量とは思えません。
冒頭の一文です。そこまでして彼が表現したかったものは一体なんだったのか。
そのヒント(答え?)も本書の中に・・・。
ちなみに、本書で初めて知りましたが、朝日新聞は手塚治虫の死の翌日、衝撃的な社説を掲載したそう。
新聞というある種公共性が求められる媒体にて、ここまでの賞賛。
今と多少なりとも環境が異なり、牧歌的、おおらかな時代であったにしたにせよ、会社の顔である社説にここまでのことが書かれる。
それくらい、残した足跡が大きかったのですね。
漫画、というと楽しい楽しくないという表面上の評価に留まってしまいがちですが、表現手段の1つである以上、作者には伝えたいメッセージがあります。
本書で一番興味深かったのはブルボンヌさんの記事でした。
確かに、リボンの騎士を具にみていくと、今の時代では普通になっている”性のグラデーション”が描かれており、手塚治虫なりのリベラルな考え方が示されています。
今やLGBTなんて言葉も一般化し、性同一性障害のカミングアウトも一時期よりは社会に許容されやすいような雰囲気が醸成されてきつつあるなという印象ですが、ちょっと前まではオカマ・オナべと言って、多少蔑視していたような節があります。
にもかかわらず、手塚治虫は作品の中で今の世を予言していたかのようなフレーズ・描写をたくさん盛り込んでいます(男だって、女だって構わない、等)
漫画の表現技法だけでなく、読者の思想や考え方への影響度合いと行った面でも、残した影響は多大でした。
kindleでも手塚作品が気軽にみられるようになってきております。
本書を読んだからには読まねば、ですね!
手塚治虫の創作時のエピソードを知るには上の漫画もおすすめ。
漫画
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