世界で一番やさしい 資料作りの教科書
ビジネス関連の雑誌を見ていると、定期的に記事化されるのが「第一線で活躍する人が進める1冊」と言った、ビジネスパーソンにおすすめの書籍を紹介するような内容。
そういった記事を見ていると、いわゆる古典的名著と言われる、ドラッガーのマネジメントであったり、孫氏の兵法なんかがよく出てきます。
紹介者も真面目な顔して「読み返すたびに発見があります」「読み方によってさまざまな解釈ができ、お陰でこれまでの困難を乗り越えることができました」的なことを語るのが半ばお決まりのパターンのような感じです。
良いように捉えると、紹介される書籍はそれほどに普遍的な内容を解いてるものだからこそ古典になったとも言えますね。
しかし、です。
私のような一般人?(一般より低レベルじゃねえか、という声は置いておいて)には敷居が高すぎて読んでもちんぷんかんぷん、むしろ読む気すら起こらないという状況ではないか、と勝手に想像しております。
そんな中、数年前に手に取った本書。
表紙には女の子の絵は載っているし、世界一優しい、ときた。
こんな私にうってつけ、と思ったわけです。
でも、自分が社会人になって最も影響を受けた本はなんですか?と仮に問われたとすると、間違いなく本書は候補に入ってきます。
巷には資料というと、スライドの作り方であったり、1枚にまとめる技術と言ったテクニカルな部分にフォーカスしたものが多いですが、本書はもっと根本的なところから教えてくれます。
会社に入って資料作成の教育をまともに受けたことがなく、
・前例踏襲で資料を作っては、上司に赤字を入れられて修正を繰り返してしまっている人
・なんで赤字を入れられたのか理解できない人
・資料を作れと言われていきなりパワポを開いてしまう人
そんな人は必読の一冊かと思います。
タイトルと一部齟齬がありますが、コミュニケーションにも踏み込んでいる一冊です。
以下、自分も気をつけている本書で紹介されている内容です。
・いきなりパソコンは立ち上げない。まずは紙とペンで考えよ。
パワポを立ち上げてからウンウン唸っている人、いませんか?
アウトです。
というのも、パソコンなりアプリというのは、相手に伝えるべきメッセージ(キーメッセージ)がはっきりし、それを補足する文章なり図が確定した段階で使うものだから。じゃないと、フォントなり色なり図なり余計なところに目が言ってしまい、効率が激しく低下します。
むしろ、特に自分のようなアナログ人間は、パソコンと考えることの親和性がよろしくないため、思考が進まない、まとまらない・・・。
スライドの絵コンテが決まってから電子データにするためだけにパソコンを使う。これを徹底するだけで、業務効率が格段にアップしました。
・会話に見出しを入れる
「質問なんですけど」「これは意見なんですけど」「感想ですけど」のような枕詞を会話の冒頭につけるだけで、聞き手はだいぶ理解がスムーズになります。
相手にダラダラと喋られて、「で、何が言いたいんだ?」とイライラした経験、ありませんか?そういうストレスを防止する観点でも良い対応策ですし、ビジネスに限らず、日常会話でも少し意識するとコミュニケーションのストレスがガクンと減ります。
・作業に対し、自分の言葉で「なぜそれをやるのか」を語れるようにする
「言われたからやった」「業者がそう言ってたから」
働いているとよく聞く言葉。(かつ、一部の人からは激しく忌み嫌われる言葉)
もっと矜持を持ってやれよ、という話ではなく、言われた通りの作業をするだけであれば、そのうちAIに代替されることは目に見える段階まで来てしまいました。
是非、どういう理由・背景があってなんのためにその作業をしているのか。
自分の言葉で他人に説明できるようにすることを心がけましょう。
それができると、仕事に対し工夫したり楽しみを見出したりという副産物もあります。
見た目は柔らかですが、本格的な一冊。
小説形式で読みやすいので、新入社員にもおすすめ。
もっと早く読みたかった・・・