自分の頭で考えて判断するために〜エネルギー問題から
社会人になって強く感じたことの一つは、
新聞・テレビといったメディアは一面しか報道しない
と言うこと。
今、自分は縁あってエネルギー業界に身をおいており、直接的に対応することはあまりないですが、間接的にそういったメディアに接する機会がよくあります。
たとえば、よくニュースになる原子力発電所の問題。
いわゆる賛成派、推進派と言われる一部のメディアを除いては、反対運動に携わる人のドキュメンタリー、被災者の悲痛な思い、電力会社の無責任さといった、明らかに「原子力発電所ってよくないよね」と言う空気を醸成するような報道がほとんど。
個人的には、こういった報道は虚偽の内容が含まれないことを前提にどんどんなされていいと思います。
エネルギーに携わるものとしては、今の安全審査に合格した原子力発電所は、想像できる範囲で、可能な限りの対策をしていると言えます。
電力会社の審査に携わる人の労力や、そこまで重箱の隅を突くようなことを、とも思うような原子力規制委員会のコメントなどを一定程度の距離を保ちながら見ていても、それらを感じるところです。
で、そうなってくると供給側の論理としては、「事故なんてもう絶対起こらないから大丈夫!」と言う説明の仕方に陥ってしまいがち。
でも、3.11から我々が学び、今後考えていく上での前提は、まずは福島の事故の原因と原発の事故によってもたらされた被害に目を背けずに直視すること、そしてその上で安全とはどうあるべきか、電力の安定供給をどうあるべきか、と考えるべきだと思うからです。
エネルギー業界は、早期の再稼働を目指し「絶対大丈夫です!」という主張を、他方、反対派の方は「それでももし事故が起こったら・・・」という、永久に終わらない議論を続けてしまうことになりません。
ある程度アンテナを張って情報収集をしている人は、
・今、日本で停電は起きてはいないものの電力供給システムは非常に脆弱な基盤の上に成り立っていること
・3.11地震以降、火力偏重とも言える電力供給をしてきたが、エネルギー価格のボラティリティ、そして二酸化炭素の排出という観点から、SDGsな対応ではないこと
・再生可能エネルギーを導入すればなんとかなるという単純な議論ではなく、同時同量を達成するために調整用の電力、現在では主に火力発電所も有していなければいけないこと
・しかしながら、二酸化炭素のネットゼロという挑戦的な目標も控えていること
ちなみに、電力業界から排出される二酸化炭素の量は日本全体の約4割を占める、とのデータもあります。
一部の原子力反対派の人がいう、再生可能エネルギーをどんどん導入すれば良いというのは数字だけの議論であり、仮に最大発電電力量が再エネのみで現在の数値を包含するようになったとしても、太陽・風で自動で同時同量を達成できるわけもなく、じゃあどうやって調整するのかという話が抜けているわけです。
さらにいうと、日本は国土面積の問題から水力の開発はもうし尽くしてると言えるレベルに達しており、太陽光も風力もこれから何十倍も増える、という候補地は残ってないと言われいてます。
だからこそ、陸を諦め海(洋上風力)に出るというのが今後の進むべき方向の1つとされてるわけです。
正直、自分もこれまで地球温暖化とか、エネルギー問題とか、国の偉い人が議論してて決めてくれりゃ従うよというある意味丸投げに近い姿勢でした。
しかし、勉強をしだすと、本当に今真剣に考えねば、自分の子供世代の人々が大人になった時に「なんでこんなひどい状態の地球を私たちに引き渡してくれたのよ」となりかねない状況であることが痛切に感じられるようになってきました。
エバンジェリスト、とはいかずそんなに影響力はありませんが、少しずつでも自分で考えるネタを提供していければと思っているとこです。
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