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(漫画)賭博黙示録 カイジ

アゴも鼻もトガり気味のちょっと特徴のある顔。
初見の時はそういう些細なことが気になっていたのですが・・・読み始めるとそんなことは気にならなくなるくらい、のめり込めます(失礼)

藤原竜也さんが主演で映画化もされたので、ご存じの方も多いかと。
典型的なダメ人間、伊藤カイジがさまざまなギャンブルをするのが基本フォーマット。シリーズ第一作、「賭博黙示録」では

・カードじゃんけん
各人にグーチョキパーのカードが配られ、カードを出し合い勝負。勝つと別に配布された「星」を敵から奪える。時間内に多くの星を得、カードを使い切れば上がり。

・一本橋
映画にもなったやつ。ビル間に渡された先細りの一本橋を渡り切れば良いというシンプルなルール。落ちたら即死。橋には高圧電流が流れており、触ったらアウト。

・Eカード
敵サイドの大物(?)の一人、利根川との直接バトル。
皇帝側と奴隷側に分かれて5枚のカードの出し順で争う心理戦。市民カード4枚と皇帝もしくは奴隷カード1枚の計5枚のカードをきる順番で勝負するもの。皇帝は奴隷にだけ負ける、というシステムで
市民<皇帝
奴隷<市民
しかし、
皇帝<奴隷
となっている。すなわち、皇帝側になったら、相手が奴隷カードを出さないタイミングで皇帝カードを切れればよく、逆に奴隷側になったら相手が皇帝カードを出してきた時に奴隷カードをぶつけられればかち、というシンプルなシステム。

・黒幕 兵藤和尊とのくじ引き
ティッシュ箱にペーパータオルで作ったくじを入れ、あたりを引いがほうが勝ちというシンプルなものだが・・・

と4つのバトルが繰り広げられます。

自分は10年ほど前は少し付き合いでパチンコに行ったりしてましたが、ギャンブルらしいギャンブルは競馬やパチンコを少し齧った程度で、今は何もしていません。なのに、ギャンブル漫画を面白いと思うのはなんなのでしょうか。

ストーリーはもちろんですが、まずは、カイジへの感情移入と負けると命・人生がかかっているというヒリつき感を疑似体験できることかと思います。
日常生活では、「これで失敗したら人生が終わる」という勝負に臨むことはまずありません。エクストリームスポーツにハマる人がいるように、人生の危機的状況にあるとある種の脳内物質の放出によりいわゆる「フロー状態」に入りやすくなるのだとか。自分はエクストリームスポーツ経験はないですが、ものの本を読むと、そのフロー体験の快感を知ると抜け出せなくなるそう。
漫画という手軽な手段で、人生の窮地を切り抜けるという疑似体験ができる。そういう魅力があります。

1巻が特に、ですがカイジは「ダメ人間」の代表のような存在。世間に何か利益をもたらすどころか、車にいたずらしたり、ベンツのエンブレムを収集したりとロクでもない。ちなみに、自分の知り合いの通っていたヤンキー高校では自転車のサドルだけ盗まれるという怪事件が頻発していたそう。なぜサドルだけ?
ある程度の年齢になって社会で生きていくためには、大半は「仮面」をかぶる必要がありますが、多くの人の中には大きかれ、小さかれ「カイジ」がいるのではないでしょうか?表には出さなくとも、他人の成功を羨んだり。自分のライバルの失敗を願ったり。
苦境に立たされがならも、自らの頭だけでそれを切り開いていこうとする。そんなカイジを応援したくなるという”サポーター”的な見方もしているのかもしれません。
考えて考えて考えて、それが見事にハマったときの爽快感。
みなさんも大なり小なり経験あるのでは。

という、スリルを味わえる楽しい一冊です。
「ざわ・・・・ざわ・・・」など、独特な表現も魅力の一つ。ちなみに自分は日常生活でも使っています(?)。
ギャンブルを楽しむのは良いですが、くれぐれもみなさんは耳を切ったり、指を賭けたりしませぬよう、ご注意を・・・

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