『8がけ社会 消える労働者 朽ちるインフラ』
「長年傾向が変わらない少子高齢化の結果として生じる最大の問題は、働き手の減少によるサービス不足にある。そして、あらゆる業界で悲鳴が上がる人手不足は、今後、年を経るごとに深刻化していく。」と述べている本があります。
本日紹介しているのは、朝日新聞取材班が書いた、こちらの書籍です。
朝日新聞取材班『8がけ社会 消える労働者 朽ちるインフラ』(朝日新書)
この本は、リクルートワークス研究所の力を借りながら、16年後の2040年、現役世代がいまより2割減ることで社会サービスの担い手はその分減るが、サービスを必要とする高齢者の高齢化は止めようもないという「不都合な未来」に向けて、いま何が起き、これからどう向き合うべきか、その解決策を取材・分析・考察している書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.現場から
2.ともに支える
3.能登半島地震
この本の冒頭で著者は、「8がけ社会の未来が、必ずしもいまの延長線上にはなく、新たな価値観や発想のもとに描き出す社会だと考えれば、不安に思うより前向きに第一歩を踏み出す力も湧いてくる。」と述べています。
本書の前半では、「現場から」ついて以下のポイントを説明しています。
◆ 2040年に1,100万人の労働力が不足するというリクルートワークス研究所の予測
◆「8がけ社会」を前に、人材の奪い合いは地方で加速
◆「8がけ社会」を止められなかったのは「男性・年配・東京」に偏った意思決定の形
◆ 人口爆発を経た国は、産業構造の転換・女性の社会進出・結婚観や人生観の変化・子育てコストの上昇・経済的格差の拡大によって、急速に出生率が低下して「少産少死」に
◆ 遅れて近代化した国ほど、人口が急激に増え、急激に減少する傾向
◆ 人口学の分析では、日本の人口減少は起こるべくして起こったこと
◆ 人口減少は日本だけの問題ではない
◆ 人口学による将来推計人口は、政治・経済など他の社会事象と比べ予測の精度が高い
◆ 日本の農業従事者は今後20年間で4分の1に
◆ 空き家率32%に上昇することをチャンスと前向きな発想に転換する
◆ 視点を変えて今あるものの価値に気づいてブレイクした盛岡
◆「お手伝い経済圏」をつくるスケッターの将来性
◆ エッセンシャルワークを楽しくする仕組み「TEKKON」
この本の中盤では、「ともに支える」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆「8がけ社会」で最も困ることは、医療・介護サービスの低下
◆「世代間格差」を見て、現役世代が政策の失敗に気づき始めた
◆ 将来の介護「受けられぬ心配」9割
◆ 異質な文化をつなぐ力を持つ人材を生み出せるかが鍵
本書の後半では、「能登半島地震」ついて説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 被災した地域では、自助、共助、公助のすべてが限界
◆ 築50年超えの橋が19万以上
◆ 選択肢を持つことが大事
◆ 災害復興では、中心集落や市街地への集約化も必要
この本の締めくくりとして著者は、人口減と超少子高齢化、そして働き手不足という壮大な社会問題の解決策を模索していく中で、「世の中に高齢者をお荷物扱いする空気が漂っていないか」「世代間で損得を考える空気が漂っていないか」という問題意識がたびたび挙がってきたと述べています。
続けて、作家の多和田葉子さんがインタビューで言語化した次の言葉を改めて紹介しています。
「年寄りが弱くて子どもが強い、という考えは通用しなくなる。動けない若い人をケアするのは90代かもしれない。若くて体が元気でも、心を病んでいたら動けません。」「8がけ社会に向け、必然的に価値観は変わってくる。どんな未来になったら幸せか。想像できないなら、その未来を作れる可能性も少ない。」
あなたも本書を読んで、2040年に1,100万人の労働力が足りなくなる「8がけ社会」に向けて、どう危機を乗り越えるのかを考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3515冊目】