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いくら何でも大学入試の朝に…!【ドジママの子育ては、なぜか東大につながっていた】

「何バカなこと言ってんの!?」

こんな言葉を、ぶつけたくなかった。


でも…


今日これから、大学入学共通テストにあたる
センター試験の本番だというのに!!



当日の朝になって

次男は、いったい何をしようと
しているのか…!?


「だって、僕がA太を
 迎えに行ってあげないと…

 あいつ、ショックなことがあって
 めちゃめちゃ傷ついてて

 今日、やっぱりセンター受けれないって

 今、電話で泣きじゃくっていたんだ…!」



家庭の事情が、とても複雑で

進学校を、中退してしまったA太くん。


それでも、がんばって独学で大検を受けて

高校卒業の資格を取ったので

今日は、センター試験を受験する。


そう言っていたはず…!



「あいつ、ガラスのハートなんだ。

 僕を頼って、電話してきたんだ」



「迎えに行く、って言ったって…。

 家の場所は、知ってるの?」



「いや、知らない。割りと近いはずだけど。

 今から、LINEで住所送ってくる」



 はああ…!?

「何バカなこと言ってんの!?」



「今日、センター試験に遅刻したら

 自分が、受けられなくなるでしょーーーっ!!

 これまでの努力が、水の泡になるでしょう?」

母が、泣きたい気持ちになっている。


なのに、次男は友達を見捨てることが
できないでいる。


刻々と迫る、家を出る時間。



やむを得ず、ある提案をした。


「じゃあ、中間の三角公園の前で
 会うことにしたら?

 家を探して迎えに行くのは、危険すぎる。

 公園の前で、7時40分。

 それで会えなかったら
 一人で行くことにして。

 それ以上待ってたら、あなたが遅刻する」



「わかった。

 そうするよ」



三角公園は、駅に向かうよりも

逆方向に、戻らないとならない。


A太くんの家の方向だ。

でも、譲歩してそこまでだ…!



次男を、玄関まで見送ったけれど

母は、ハラハラが止まらない。

居ても立ってもいられない。


とうとう我慢できず

家を出た。


右に行けば、三角公園、

左に行けば、試験会場へと向かう駅。


左の遠く彼方に、1人で歩く紺色のダウン
ジャケットを着た、後ろ姿が見えた。


次男に見える。

が…、確信が持てない。


早足で追いかけて

やっと追いつくと…

それは、知らない男性だった…!



じゃあ、次男は

まだ、三角公園の前にいる?

来るか来ないか分からない

A太くんを待ち続けてる?



生きた心地がしない。

絶望で、足をもつれさせながら

今来た道を、再び戻る。



なんて、バカな子!!!



すると、700メートルも先

三角公園の方から、走って来る

次男の姿が……やっと見えた!



「A太、来なかった」

ポツリと漏らす次男。



「分かった!

 遅れないように、急いで行きなさい!


 頑張るんだよ!!」


「うん!!」




今度こそ、本当に

次男の後ろ姿を、目で追いながら

こぼれ出る涙を、袖口で拭いた。



子どもの受験は…本当に

ハラハラさせられ過ぎる!



こんな事って、普通はないと思うけど。


子どもが、ちゃんと冷静でいられるとは限らない。

友達のために、自分の人生を棒に振りかねない。



いつ何が起こるか、分からない。

リスク対応も、必要なんだ。

✅家まで、迎えに行くのではなく
 公園の前にさせたのは、良かった…。

✅待つ時間を、決めておいて
 「会えなかったら行く」
 ことにさせておいて、
 ホントに良かった…。
 


センター試験の結果は、いつもの模試と
同じならば、9割行くと思っていたのに、
届かなかった。


けれど、次男は
「自分の実力だ」
と言った。


落ちたとしても、きっと
友達のせいには、しなかったんだろう。



#共通テスト
#大学入試
#東大受験


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真夏 純 Jun Manatsu
子育てのヒントになるようなことや読んでホッと安らいでいただける記事で、世の中のパパママお爺ちゃんお婆ちゃん👨‍👩‍👧‍👦を応援したい📣と思っています! ありがとうございます。

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