食事で血圧を下げる
今日のポイント
塩分の摂取制限や排泄を促すことが高血圧を防ぐのに有効である
DASH 食はミネラルや食物繊維を摂取し、一部の脂質の摂取を減らすもの
生活習慣を改善することで高血圧症のお薬を減らすことが出来ることがある
本文
いきなりですが、DASH食をご存知でしょうか。DASHとは Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、米国国立衛生研究所が提唱したものです。一般的に塩分の摂りすぎが血圧に対して悪い (=血圧を上げてしまう) ということは広く知られていると思います。塩分の摂取量を減らせば良いのですが、塩分を減らすと食事が美味しく感じにくくなる人も多く、理想的な塩分摂取制限を実現するのはなかなか難しいです。DASH食は塩分の排泄を促すことで、高血圧を防ぐ効果が得られます。塩の成分であるナトリウムが高血圧の原因となるので、塩分の摂取制限をするか、排泄を促すことが高血圧を防ぐのに有効ということです。
DASH食で推奨される食材や回避すべき食材に関しては詳しく解説しておられる web サイトが多くありますので、本稿では簡単に触れるにとどめます。カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルや食物繊維を多く摂取し、脂質(飽和脂肪酸、コレステロール)の摂取を減らす、といったものがDASH食です。推奨される食材として、豆類、ナッツ類、野菜、果物、海藻、青魚などが挙げられます。牛肉、豚肉、バターなどは必要な栄養素も多く含みますが、一方で飽和脂肪酸も多く含みますので、食べ過ぎには注意した方が良いでしょう。
このように、塩分や一部の脂質の摂取量を減らし、ミネラルや食物繊維を摂取することで、高血圧をある程度は防ぐことができます。既に治療が必要な程度の高血圧症の方は、お薬での治療を行いつつ、並行して食事を含めた生活習慣の改善を行うことが大事です。生活習慣を改善した結果、お薬を減らしたり、やめることすら可能になる患者さんもおられます。
高血圧症は脳卒中や心筋梗塞、認知症とも関係する基礎となる疾患ですので、しっかり血圧の上昇を防いでいきましょう。